要注意!年金受給者の死亡を届け出ないと詐欺罪に問われるおそれがあります
配信日: 2022.08.24
残された家族は悲しみの中、山ほどの手続きをこなすことになります。「年金の手続きまで手が回らなかった」、「忘れていた」となる事情もあるでしょう。
しかし、死亡後の年金の受け取りは「不正受給」になります。悪質な場合には詐欺罪に問われるおそれがあるため注意しなければなりません。
今回は、年金支給停止に必要な手続きと、手続きを行わなかった場合の危険性について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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年金受給者が死亡したら受給権者死亡届を提出
年金受給者は死亡と同時に年金を受ける権利を失うため、「年金事務所」へ死亡の事実を知らせなければなりません。そのために提出するのが「受給権者死亡届(報告書)」です。
受給権者死亡届の「提出期限」は意外と短いため注意が必要です。
●国民年金:死亡日から14日以内
●厚生年金・共済年金:死亡日から10日以内
人が死亡した際には、まず居住地の市区町村役場に「死亡届」を提出しますが、これだけでは年金事務所へも連絡したことにはなりません。注意しましょう。
図表1
出典 日本年金機構 年金を受けている方が亡くなったとき
年金にマイナンバーが登録されている場合は届け出不要
居住地の市区町村役場と年金事務所はつながっていないと上で解説しましたが、日本年金機構に「マイナンバー」が登録されている場合には、死亡届の情報が年金事務所へも自動的に送られるため、受給権者死亡届を提出する必要はありません。
マイナンバーが登録されているかどうかは、「ねんきんネット」で簡単に確認することができるので、年金受給者の生前に一度確認しておくとよいでしょう。ネット利用が難しい場合には、年金事務所への問い合わせによっても確認できます。
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受給権者死亡届を提出しないと年金が支給され続ける
死亡した人の受給権者死亡届を期日までに提出しなかった場合(日本年金機構にマイナンバーが登録されている場合除きます)には、年金事務所は死亡の事実を知ることができないため、その人は生存しているものとして年金が支給され続けてしまいます。
本来ではもらえない年金をもらっているということであり、不正受給に該当します。
年金事務所側もあってはならない不正受給には目を光らせているため、いずれ一括返還の請求を受けることになるでしょう。
不正受給は詐欺罪で逮捕される場合も
年金の不正受給事件は、これまで何度も報道されています。
返還請求があっても、なお無視し続ける場合はもちろんですが、中には市区町村役場への死亡届を出さずに、葬儀も行わず生存を装っているケースまであります。
受給権者死亡届を期日までに提出しなかったというだけで、すぐには逮捕されないかもしれませんが、不正受給は詐欺という犯罪だということを十分に理解しておきましょう。
未支給年金の請求も忘れずに
年金の支給は2ヶ月に1回、偶数月の15日に支給される仕組みになっています。また、年金は「後払い方式」となっているため、支給日に振り込まれる金額は、その月の前月と前々月分の年金ということになります。
つまり、年金が最後に振り込まれた月から死亡した月までの年金は振り込まれていないことになり、これを「未支給年金」といいます。もちろん、受給する権利がある年金なので、死亡した年金受給者に代わって家族が受け取る手続きを行います。
未支給年金の請求手続きは、「受給権者死亡届と同時に行うことができる」ため、忘れずに行いましょう。
終活の一つとして準備しておくとよいこと
自身が死亡した後の手続きは、残された家族がすべて行うことになります。家族の負担を少しでも軽減するために、自身にできることは生前に準備しておくとよいでしょう。例えば次のような準備です。
●日本年金機構へのマイナンバー登録をしておく
●年金証書やマイナンバーカードを家族が分かるところに置いておく
まとめ
年金受給者が死亡したら、期限内に受給権者死亡届を提出して年金の支給を停止させましょう。
年金受給者の死亡後も年金を受給し続ける行為は、詐欺という犯罪にあたります。気を付けていたとしても、失念は誰にでも起こり得ることです。特に家族の死後であればなおさらでしょう。
万が一、受給権者死亡届を忘れてしまった場合には、年金事務所の指示に対して迅速かつ誠実に対応します。また、年金受給者自身においても、生前にできる限りの準備をして家族の負担を軽減しておくとよいでしょう。
出典
日本年金機構 年金を受けている方が亡くなったとき
日本年金機構 ねんきんネット
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部