「年金は払うだけ損」は本当? 老齢給付以外の機能を解説!
配信日: 2022.08.31
ただ、年金制度が「崩壊」する可能性を極力回避するため、さまざまな対策が講じられていることも事実です。
年金制度には、老後の生活を支える年金を給付する老齢年金のほかにも、私たちが安心して暮らすために役立っている重要な機能があります。本記事では年金制度が将来にわたってその機能を維持するための仕組みや、制度が担うさまざまな役割について改めて確認していきます。
執筆者:木元泰徳(きもと やすのり)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
本当に年金制度は崩壊するのか?
年金制度はその機能や給付額を計画通りに維持できるよう、さまざまな方法が模索されています。
その方法の一つが国の財源からの補填です。厚生労働省が発表した「厚生年金・国民年金の令和2年度収支決算の概要」によると、国民年金は歳入の48.7%が、厚生年金では20.8%が国の税金である一般会計から補填を受けています。
ほかにも、年金の支払額の引き上げや支給開始年齢の引き上げ、年金支給額の引き下げといった複数の手段を組み合わせ、年金制度を維持できるよう調整が図られています。
つまり、将来的に受け取ることができる年金の総額が減少する可能性はあっても、年金を1円も受け取れない「崩壊」や「破綻」のような状況に陥る可能性は低いといえるでしょう。
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老齢年金だけじゃない! 年金制度の3つの機能
年金制度は、老齢年金を支給する制度として知られていますが、実はほかにも大切な機能を担っています。老齢年金を含め、改めて制度の役割を確認してみましょう。
・老齢年金
原則65歳から亡くなるまでの間、「老齢基礎年金」を受給できます。厚生年金に加入している場合は「老齢厚生年金」を上乗せして受給できます。
・障害年金
病気やけがで生活や仕事に支障が出たとき、法令で定められた障害等級表の1級・2級に該当する状態になると「障害基礎年金」を受給できます。
厚生年金に加入している場合は「障害厚生年金」も上乗せして支給されます。
さらに、厚生年金に加入している場合は、2級に該当しない軽度の障害に認定されると、3級の障害厚生年金を受給できます。また、初診日から5年以内に病気・けがが治った上で、障害厚生年金より軽度の障害が残ると一時金として「障害手当金」が受給できます。
具体的な金額は図表1のとおりです。
図表1
出典:日本年金機構 障害年金ガイド(令和4年度版)より筆者作成
障害年金は万が一、事故に遭遇して障害が残る場合に備える、保険的な機能の一つです。
・遺族年金
一家の中心的な働き手が死亡したとき、その働き手の収入によって生計を維持していた遺族が受けられる年金が「遺族基礎年金」です。厚生年金に加入していた場合は「遺族厚生年金」が上乗せで支給されます。
対象となる遺族は、子のある配偶者、または子のどちらかです。
受け取れる年金額は図表2のとおりです。
図表2
出典:日本年金機構 遺族年金ガイド(令和4年度版)より筆者作成
一家の大黒柱に万一の事態が起きたときに備えるという意味で、障害年金と同じく年金制度の保険的な機能の一つといえます。
公的年金の三つの機能を把握しよう
公的年金の三つの機能について解説しました。年金制度の「損得」について考える際は、老齢年金だけでなく、自身や家族が障害を負ったり死亡したりといった万が一の際に支えとなる障害年金や遺族年金などの機能にも目を向けるべきといえるでしょう。
年金制度全体の働きについてしっかり理解した上で、加入している民間保険の内容も加味しながら、老後・障害・死亡などさまざまなリスクに過不足なく対処できるような対策を検討してみましょう。
出典
厚生労働省 厚生年金・国民年金の令和2年度収支決算の概要
日本年金機構 障害年金ガイド(令和4年度版)
日本年金機構 遺族年金ガイド(令和4年度版)
執筆者:木元泰徳
2級ファイナンシャル・プランニング技能士