更新日: 2022.09.01 国民年金

国民年金を払わないのは違法。払えないときの正しい対処法は?

国民年金を払わないのは違法。払えないときの正しい対処法は?
勤務先が倒産してしまったり、学生でアルバイトができなかったりなどの理由で、国民年金保険料を払えなくなる可能性は、十分にあります。
 
しかし、払わないままにしておくのは、何かと弊害が起きるので絶対にやめましょう。
 
この記事では、国民年金保険料を払うべき理由を、法律上の扱いや、起きうるトラブルの観点から解説します。どうしても払えない場合の対処法も紹介するので、参考にしてみてください。
FINANCIAL FIELD編集部

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国民年金保険料を払わないのは違法?

まず、国民年金保険料を払わないのは違法かについて解説します。
 

結論からいうと違法

結論からいうと違法です。法律で明確に定められています。

国民年金法
第八十八条 被保険者は、保険料を納付しなければならない。

出典:国民年金法
 
払わなかったからといって、何らかの罰則があるわけではありません。ただし、詳しくは後述しますが、被る実害が大きい点には注意しましょう。
 

それでも払わない人は一定数いる

明確な罰則がないのも関連しているのか、国民年金保険料を払わない人はいます。
 
厚生労働省は、国民年金保険料の納付率を毎月調査、発表しているのでデータを紹介しましょう。
 
なお、国民年金保険料の最終的な納付状況を示す指標として、「3年経過納付率」が用いられます。これは、保険料は本来の納期限から2年以内であればさかのぼって納付できるため、2年たったところで最終的な納付率が確定するためです。
 
令和4(2022)年5月末現在の最終的な納付率(3年経過納付率)は、77.2%でした。およそ8割が最終的に納付しているものの、残りの2割は何らかの理由で納付していない(できていない)ことになります。
 

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国民年金保険料を払わないと何が起きる?

国民年金保険料を払わなくても、法律上の罰則はありません。しかし、実害が大きいので、具体的に解説しましょう。
 

最終的には財産の差し押さえが実行される

国民年金保険料を未納のままにしておくと、最終的には差し押さえにまで至ります。差し押さえに至るまでの一般的な流れは、以下のとおりです。

1.電話や書面で催告が行われる
2.特別催告状が届く
3.最終催告状が届く
4.督促状が届く
5.差し押さえが実行される

なお、以下のものが差し押さえの対象になります。

・給料の一部
・銀行預金(普通預金、定期預金など)
・自宅などの不動産
・自動車
・生活必需品以外の動産(宝石、貴金属など)
・有価証券などの債権

 

何か起きても年金が受け取れない

国民年金保険料を払わないままにしておくのは、別の弊害ももたらします。
 
仮に、自分に万が一のことが起きたり、大けがや病気で働けなくなったりしても、年金が受け取れなくなる可能性が出てくるので注意しましょう。
 
当然、65歳を過ぎても、年金が受け取れなくなります。遺族基礎年金、障害基礎年金、老齢基礎年金の受給要件を満たせなくなるためです。
 
それぞれの年金について受給要件をまとめました。
 
【図表1】

図表1

 
出典:日本年金機構「遺族基礎年金」より筆者作成
 
【図表2】
図表2

 
出典:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」より筆者作成
 
【図表3】
図表3

 
出典:日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」より筆者作成
 

国民年金保険料を払えないときの対処法

国民年金保険料を払えない場合は、適切な対処をしましょう。
 

免除制度・納付猶予制度を利用しよう

収入が急激に減ったり、失業したりしたなどの理由で国民年金保険料を納められない場合は、国民年金保険の免除制度・納付猶予制度が利用できます。
 
両者の違いは以下のとおりです。
 
[保険料免除制度]
本人、世帯主、配偶者の前年所得(1月~6月の申請の場合は前前年の所得)が一定額以下だったり、失業したりした場合などに、承認されれば保険料の納付が免除される
 
[保険料納付猶予制度]
20~50歳未満であって、本人、配偶者の前年所得(1月~6月の申請の場合は前前年の所得)が一定額以下の場合は、承認されると保険料の納付が猶予される
 
これらの手続きには、以下のメリットがあります。

1.保険料を免除された期間については、老齢年金を受け取る際に2分の1(税金分)受け取れる
 
2.保険料免除、納付猶予を受けた期間中にけがや病気をしたり、万が一のことが起きたりしたとしても、障害年金や遺族年金が受け取れる

 

学生の場合は学生納付特例制度も要検討

大学などに通っている学生の場合は、申請により、在学中の国民年金保険料の納付を猶予してもらう制度(学生納付特例制度)が利用できます。以下の条件に当てはまるなら、利用可能です。

・所得が一定額以下である(※1)
・大学(大学院)、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校および各種学校、一部の海外大学の日本分校に通っている

※1:「128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等」で計算される額以下であること
 

学生の場合は学生納付特例制度も要検討

国民年金保険料を払うのは、いざというときのセーフティーネットを用意する意味でも、非常に重要です。
 
国民年金保険料を払えない場合は、免除制度・納付猶予制度や、学生納付特例制度を利用しましょう。最寄りの社会保険事務所や市区町村役場で相談に乗ってくれるので、困っているなら一度足を運んでみてください。
 

出典

日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
取手市 国民年金保険料未納で差し押さえ?!対処法は?(くろまめ)
e-GOV法令検索 国民年金法
厚生労働省 令和4年5月末現在 国民年金保険料の月次納付率~令和4年5月の最終的な納付率(令和元年5月分保険料)は、77.2%~
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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