更新日: 2022.09.06 その他年金

企業年金にはどのようなものがある? 種類と内容を解説

執筆者 : 新井智美

企業年金にはどのようなものがある? 種類と内容を解説
公的年金である国民年金保険や厚生年金保険の上乗せとして、企業年金や個人年金があり、この2つを合わせて私的年金と呼ぶこともあります。企業年金は厚生年金保険の上乗せ給付になるもので、企業や働き方などによって企業年金の有無や仕組みが異なります。
 
今回は、企業年金の種類と内容について解説します。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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厚生年金基金(※1)

厚生年金基金とは、老齢厚生年金の報酬比例部分の一部を国に代わって支給する代行部分に、企業独自の上乗せを行うことにより、手厚い老後保障を行う企業年金制度として存在していました。
 
しかし、社会経済情勢の変動や運用環境の悪化などにより、総合型などで代行部分に積立不足が生じる基金が現れるようになってしまい、その結果、平成26年4月の改正により、厚生年金基金が解散、もしくは他の企業年金制度へ移行しています。
 

確定給付企業年金(※2)

事業主と従業員が同意を得て、制度の内容を規約に定めて実施し、将来の給付額については、加入した期間などに基づいてあらかじめ定められている企業年金制度です。加入者は老後の生活設計が立てやすいですが、運用の低迷などで必要な積立基準を下回った場合は、企業が掛け金を追加拠出しなければなりません。
 
将来の給付内容があらかじめ定められていることから、DB(Defind Benefit Plan)とも呼ばれています。確定給付企業年金には、「規約型」と「基金型」があります。
 

■規約型

確定給付企業年金の規約型とは、労使合意の上で、企業の外部で年金資産を管理および運用し、年金給付を行う仕組みです。
 

■基金型

規約型は、厚生年金基金とは異なり、代行部分の運用を行わず、別法人として設立された企業年金基金が年金資産を管理および運用し、年金給付を行う仕組みです。
 
規約型、そして基金型どちらも受給権が保護されており、労使合意による規約に基づき、法律で定められたルールの中で柔軟な制度設計が可能です。中でも確定拠出型年金と確定給付型年金の両方の特徴を備えた年金制度は、より柔軟な制度になっています。
 

確定拠出年金(※3)

確定拠出年金(DC:Defind Contribution Plan)には、企業型と個人型(iDeCo)があります。拠出した掛け金が個人ごとに明確に区分され、掛け金と運用収益の合計額に基づいて給付額が決定されます。積立期間は加入者自らが管理および運用を行い、将来の給付額が決定する仕組みで、原則として60歳以降に受け取ることができます。
 
企業型確定拠出年金は、企業が従業員のために資産管理機関に拠出した掛け金を、従業員ごとに管理および運用し、従業員自らが運営管理機関を通じて運用の指図を行うものです。掛け金拠出時、運用時、受取時の3つの場面で税制優遇が受けられる点が特徴です。
 
個人型確定拠出年金(iDeCo)は、自営業者や企業の従業員などが、個人単位で任意に加入する個人年金で、自ら決めた掛け金を拠出し、加入者ごとに積み立てて管理および運用を行い、加入者自らが選んだ運用管理機関を通じて運用の指図を行うものです。国民年金基金連合会が主体となって、運営管理機関(受付金融機関)が加入者の窓口となって運営されています。
 

国民年金基金(※4)

自営業者など、国民年金保険料の納付をしている人(第1号被保険者)が、国民年金の上乗せとして加入する制度です。全国国民年金基金のほか、職業単位で全国に1つ設置される「職能型国民年金基金」があります。
 
個人型確定拠出年金とは異なり、運用および管理は国民年金基金が行います。原則として65歳から終身で年金を受け取れますが、60歳や65歳から受け取れる確定年金(有期年金)などもあります。
 

まとめ

以前、厚生年金基金や確定給付企業年金がある企業に勤めていた人は、企業年金連合会などに移管した年金の受け取りを忘れないように注意しておきましょう。
 
厚生年金基金のある企業に原則10年未満加入していた場合や、厚生年金基金が平成26年3月31日までに解散した場合(一定の要件あり)は、企業年金基金連合会(※5)から受け取れる年金があります。
 
企業年金連合会とは、厚生年金基金や確定給付企業年金などを退職により脱退した人(中途脱退者)や解散基金の加入員だった人などの年金資金を引き受け、将来的な年金給付を一元的に行う機関です。
 
厚生年金基金は、国から受け取る報酬比例部分の一部を代行運用していますので、厚生年金基金に請求の有無や、どこに請求すればいいかなどについては、年金事務所などで加入歴を確認することで、確かめることができます。
 
もし、自分が該当する場合は、年金事務所などに確認し移管した年金の受け取り手続きを忘れないように注意しておきましょう。
 

出典

(※1)厚生労働省 厚生年金基金制度
(※2)厚生労働省 確定給付企業年金制度
(※3)厚生労働省 確定拠出年金制度
(※4)全国国民年金基金 国民年金基金とは
(※5)企業年金連合会 企業年金連合会について
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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