更新日: 2022.09.08 年金

定年退職したら海外に移住したい! そうしたら年金や税金はどうなるの?

執筆者 : 吉野裕一

定年退職したら海外に移住したい! そうしたら年金や税金はどうなるの?
定年退職後は海外でのんびり暮らしたいと考えている人もいるかと思いますが、海外に移住した場合、現役時代に保険料を払ってきた年金の受け取りはどうなるのでしょうか。
また、海外で受け取った年金に対する税金の扱いはどうなるのか、海外移住を考えている人に向けて説明します。
 
吉野裕一

執筆者:吉野裕一(よしの ゆういち)

夢実現プランナー

2級ファイナンシャルプランニング技能士/2級DCプランナー/住宅ローンアドバイザーなどの資格を保有し、相談される方が安心して過ごせるプランニングを行うための総括的な提案を行う
各種セミナーやコラムなど多数の実績があり、定評を受けている

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海外に居住する日本人は増加傾向にある

外務省の「海外在留邦人数調査統計」では、令和3年(10月1日時点)で海外に在留している長期滞在者と永住者は合計で約134万5000人となっています。
 
コロナ禍前となる令和元年の約141万人からは2年連続で減少していますが、30年前(平成3年の約66万3000人)に比べると2倍以上となっており、海外に住む日本人は増加している傾向が見られます。
 
この統計には、一時的に海外で生活している人や現役世代も含まれていますが、決して十分とはいえない年金収入でもなるべく豊かな老後生活を送りたいと考え、日本より物価の安い国に移住するケースも増えているのではないでしょうか。
 

海外でも日本の年金は受け取れるのか

定年退職後に海外へ移住した場合でも年金を受け取れるのかと不安に思う人もいるかもしれませんが、日本に住んでいなくても年金を受け取ることは可能です。
 
ただし、海外に移住する場合は年金事務所などで一定の手続きを行う必要があります。
 
また、年金の受取口座は日本国内の金融機関(一部を除く)だけではなく、海外の銀行の口座を指定することもできますが、国によって振り込まれる通貨が決められています。
 
海外に移住すると日本では非居住者となりますので、手続きとしては「年金支払いを受ける者に関する事項」の届け出を行うほか、それまで居住していた市区町村には「海外転出届」を提出します。
 

年金にかかる税金はどうなる?

日本国内に居住して年金を受け取る場合は公的年金等に係る雑所得として所得税の課税対象となり、所得に応じた控除が受けられるため、一般的な雑所得に比べて税制上で優遇されています。
 
しかし、非居住者が海外で年金を受け取る場合には、公的年金等に係る雑所得として課税されるのではなく、以下の計算式による金額が年金から源泉徴収される税額となります。
 
源泉徴収税額={年金支給額-5万円(65歳以上は9万5000円)×支給月数}×20.42%
 
非居住者になると年金にかかる税額も上がってしまい、海外への移住で豊かに暮らそうと思っていても、結局は限られた年金額で生活することになります。
 
ただし、日本と租税条約を締結している国に関しては、日本での課税を免除できる場合もあります。この適用を受けるには「租税条約に関する届出書」を日本年金機構に提出することになります。
 
課税方法は国によって違いもあり、日本のように国内所得については課税されるという税法であれば、公的年金は移住先での所得ではないので課税対象とはならないでしょう。
 
一方、すべての所得に関して課税されるような税法であれば、移住先で日本の公的年金による所得に対しても課税される可能性があるので、移住する国の税法についても確認しておく必要があります。
 

毎年の現況届の提出も必須

海外で年金を受け取っている場合、年に1回の「現況届」の提出が必須となります。
 
海外に居住している年金受給者には、日本年金機構から毎年の誕生月の前月末に現況届が送られてくるため、滞在国の日本領事館などで発行した在留証明書を添付して返送します。
 

まとめ

物価が安い国に移住して、日本の公的年金を受け取りながら生活することを考える人もいます。ただし、海外で年金を受け取るには一定の手続きが必要となり、税金の扱いも日本で受給する場合とは変わってきます。
 
また、海外への移住ではお金の面だけではなく、国や地域の治安について確認しておくほか、生活環境や文化が自分に合っているかなど、十分に考慮した上で移住先を決めることが大切です。
 

出典

外務省 海外在留邦人数調査統計

 
執筆者:吉野裕一
夢実現プランナー

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