更新日: 2022.09.14 国民年金

配偶者の「国民年金未納」で自分の財産を差し押さえられる場合があるって本当?「連帯納付義務」について確認してみよう

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

配偶者の「国民年金未納」で自分の財産を差し押さえられる場合があるって本当?「連帯納付義務」について確認してみよう
国内に住む20歳以上60歳未満の人が全員加入している国民年金ですが、支払う余裕はあるのに保険料の納付が滞っている人もいるかもしれません。
 
もし未納のまま放置しておくと、最悪の場合、財産を差し押さえられてしまいます。差し押さえは未納の本人だけでなく、同居の家族にまで及びます。
 
なぜそのようなことになってしまうのか、詳しく解説します。
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国民年金の保険料未納で財産を差し押さえられる可能性がある

国民年金には、国内在住の20歳以上60歳未満の人全員が加入しています。「国民年金法」の第88条では、「被保険者は、保険料を納付しなければならない」とされており、加入者に年金保険料の納付を義務づけています。
 
ところが、なかには特別な事情があるわけでもなくても、「納めたくない」「面倒だ」といった理由で保険料を納めていない人もいるようです。もし、保険料を納付するだけの金銭的余裕があるにもかかわらず保険料の未納を続けていると、財産を差し押さえられてしまう可能性があります。
 

国民年金保険料の未納は「世帯主」と「配偶者」の連帯責任になる

「国民年金法」の第88条では、他にも国民年金保険料の納付に関わる義務について定められています。一般に「連帯納付義務」といわれるもので、同条2項には「世帯主は、その世帯に属する被保険者の保険料を連帯して納付する義務を負う」、同条3項には「配偶者の一方は、被保険者たる他方の保険料を連帯して納付する義務を負う」と書かれています。
 
かみ砕いていえば、「同じ世帯の人に保険料の未納があるときは、その人の代わりに世帯主が保険料を納付しなくてはならない」「自分の配偶者に保険料の未納があるときは、代わりに自分が保険料を納付しなければならない」ということです。
 
自分の配偶者の保険料未納を放置していると、配偶者の財産だけではなく自分の財産まで差し押さえられる可能性があるのです。
 

財産差し押さえまでの過程

保険料の未納が続き、財産を差し押さえられるまでには、いくつかの段階があります。
 
最初の段階は「納付督励」で、未納者や連帯納付義務者(世帯主や未納者の配偶者)への電話や文書、戸別訪問を通じて納付を促したり、年金事務所から「特別催告状」が送付されたりした後、「最終催告状」が送られます。最終催告状で応じなかった場合、「督促状」が送られてきます。
 
督促状では「指定期限」が定められており、この期限までに納付しなければ、保険料に延滞金が加算されることになります。
 
督促状の指定期限を過ぎても保険料を納付しないと、再度の納付督励を経て「差押予告」が通知されます。その後、未納者や連帯納付義務者の財産調査が行われ、いよいよ差し押さえが実施されます。
 
なお、未納期間が24ヶ月以上、未納者、連帯納付義務者のいずれかの直近所得が1000万円以上で、滞納処分を逃れるために財産を隠ぺいしている可能性があり、保険料納付への誠実な意思がないと認められた場合、年金保険料の滞納処分が「国税庁」に委任されることもあります。
 

年金保険料の未納は家族全体の問題。一刻も早く対応しましょう

十分な収入がある場合は、家族や配偶者に迷惑をかけないように、とにかく早く年金保険料を納付することが大切です。
 
経済的な事情でやむを得ず保険料が未納になっている人は、年金事務所で保険料の免除や納付猶予の手続きをしておきましょう。そうすれば、あとから過去の未納分を最長10年までさかのぼって追納することが可能になります。自分のため、家族のために、保険料未納の放置は絶対しないことです。
 

出典

日本年金機構 公的年金制度の種類と加入する制度
厚生労働省 強制加入被保険者(法7)
日本年金機構 国民年金保険料の延滞金
日本年金機構 「国民年金保険料の強制徴収の取組強化」について
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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