更新日: 2022.09.27 その他年金
年金の受給資格期間、足りないときはどうすればいい? 任意加入など対処方法について解説!
今回は、受給資格期間の説明とともに、受給資格期間が10年に満たないときの対処法として、任意加入制度などについて解説します。
執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/
受給資格期間とは
受給資格期間とは、老齢年金を受給するために必要な国民年金、厚生年金および共済組合の加入期間をいいます。公的年金制度では、老齢基礎年金の受給資格期間である10年間が基本となり、すべての老齢年金の受給要件となります(※1、2、3)。
受給資格期間には、保険料納付済期間、国民年金の保険料免除期間および合算対象期間が含まれます。
1. 保険料納付済期間
国民年金の第1号被保険者として国民年金保険料を納付した期間に加え、厚生年金や共済組合に加入していた第2号被保険者の期間、第2号被保険者の被扶養配偶者である第3号被保険者であった期間が保険料納付済期間となります。
2. 国民年金の保険料免除期間
国民年金の第1号被保険者期間のうち、経済的な事情により保険料の納付を一部または全部免除された期間のほか、産前産後で保険料の免除を受けていた一定期間も受給資格期間に含まれます(※4、5)。
ただし、一部免除により減額された保険料を納付していない場合は未納期間となり、受給資格期間には含まれません。なお、年金額には反映されませんが、学生納付特例や保険料の納付猶予期間も受給資格期間に含まれます(※5、6)。
3. 合算対象期間
合算対象期間とは、受給資格期間を計算する際には算入されますが、年金額には反映されない以下の期間(20歳以上60歳未満に限る)で、「カラ期間」ともいわれます(※7)。
(1)昭和61年(1986年)3月以前に、国民年金に任意加入できる人が任意加入しなかった期間
(2)平成3年(1991年)3月以前に、学生であるため国民年金に任意加入しなかった期間
(3)昭和36年(1961年)4月以降、海外に住んでいた期間
(1)~(3)のうち任意加入を行い、保険料が未納になっている期間も対象となります。
【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資
【PR】J.P.Returns
おすすめポイント
・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる
受給資格期間を満たしていない場合の対処法
受給資格期間が10年に満たない場合の対処法として、未納の国民年金保険料を後から納付する方法や国民年金の任意加入、および厚生年金の高齢任意加入制度を利用する方法があります。
1. 国民年金保険料を2年以内に納付
毎月の国民年金保険料の納期限は、原則として対象月の翌月末日となりますが、納期限から2年以内であれば保険料を後から納付することができます(※8)。
なお、保険料の督促状が送付されている場合、2年を超えても納付できますが、督促状によって指定する期限より後に納付したときは、納期限の翌日から納付日の前日までの日数分の延滞金が加算されます(※9)。
2. 国民年金に任意加入
60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない場合は、60歳以降でも国民年金に任意加入できます(※10)。受給資格期間が10年に満たない方が国民年金に任意加入するには、以下のすべての条件を満たす必要があります。
(1)日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の方
(2)厚生年金保険、共済組合などに加入していない方
(3)日本国籍を有しない方で、在留資格が「特定活動(医療滞在または医療滞在者の付添人)」や「特定活動(観光・保養などを目的とする長期滞在または長期滞在者の同行配偶者)」での滞在ではない方
65歳まで任意加入しても受給資格期間を満たさない場合は、65歳以上から70歳になるまで任意加入することができます。
3. 厚生年金の高齢任意加入制度を利用
厚生年金の加入期間は受給資格期間に含まれますが、厚生年金の被保険者資格は70歳で失います。
ただし、70歳の時点で受給資格期間を満たしていない方が70歳以降も会社に勤める場合は、厚生年金の高齢任意加入制度を利用して、70歳以降でも厚生年金に任意加入することが可能です。
なお、厚生年金保険の適用事業所以外の事業所で働く70歳以上の方の場合、以下の要件を満たすことで、受給資格期間を満たすまでは厚生年金に任意で加入できます(※11)。
(1)厚生年金保険の被保険者となることについて、事業主の同意を得ていること
(2)厚生年金保険の加入について、厚生労働大臣が認可すること
まとめ
老齢基礎年金はもとより、老齢厚生年金を受給するためには、保険料納付済期間や保険料免除期間などを合わせた受給資格期間が10年以上であることが必要です。
受給資格期間を満たしていない場合は、未納の保険料を2年以内に納付する、60歳以降に国民年金に任意加入するなどの対処方法があります。
出典
(※1)日本年金機構 年金用語集 さ行 受給資格期間
(※2)日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
(※3)日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
(※4)日本年金機構 国民年金保険料の産前産後期間の免除制度
(※5)日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
(※6)日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
(※7)日本年金機構 年金用語集 算対象期間
(※8)日本年金機構 年金Q&A 保険料を納めなかった期間がありますが、今から納めることができますか。
(※9)日本年金機構 国民年金保険料の延滞金
(※10)日本年金機構 任意加入制度
(※11)日本年金機構 70歳以上の方が厚生年金保険に加入するとき(高齢任意加入)の手続き
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士