更新日: 2022.10.03 年金

年金の「繰下げ受給」って? 何歳から受け取るのがお得? FPがシミュレーション

年金の「繰下げ受給」って? 何歳から受け取るのがお得? FPがシミュレーション
「人生100年時代」が到来するなか、老後の生計の柱となる年金の仕組みが気になっている方も多いのではないでしょうか。公的年金は65歳から受け取るのが一般的ですが、60~75歳の間で自由に選ぶこともできます。65歳より早める「繰上げ受給」は、前倒しで生活費を補てんできるメリットがありますが、受け取れる年金の額は減ってしまいます。
 
一方、65歳より遅らせる「繰下げ受給」では年金が増額されますが、かといって、むやみに遅らせるのは得策ではありません。
 
そこでこの記事では、支給開始年齢別に受け取れる年金受給総額を試算し、何歳から受け取れば一番お得なのか、検証してみます。
 
FINANCIAL FIELD編集部

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老後の所得保障となる「老齢年金」

公的年金のうち、繰上げ・繰下げが適用されるのは、所定の年齢に達することで支給される「老齢年金」です。老齢年金には国民年金と厚生年金の2種類があり、国内に居住する20歳以上60歳未満の全員が加入する国民年金を1階部分、会社員や公務員が加入する厚生年金を2階部分とする「2階建て構造」とよばれます。
 
「稼ぐ力」が衰える老後の所得保障として、国民年金から支給されるのが「老齢基礎年金」、厚生年金から支給されるのが「老齢厚生年金」です。年金は、保障が必要となる時期が個々人で異なることから支給開始年齢を選べるようになっており、2022年度の年金制度改正法で、繰下げの上限が70歳から75歳に引き上げられました。
 
受給額は物価・賃金の水準や計算調整の仕組みなどさまざまな要素で変動し、個々人でも大きく異なります。2020年度末時点の平均受給額を見ると、全国民に支給される老齢基礎年金は5万6358円、老齢厚生年金の受給者は基礎年金との合計で14万6145円となっています。
 

繰上げ・繰下げの増減額率

次に、繰上げ・繰下げによる増額・減額率を見ていきましょう。
 
まず、65歳より支給開始年齢を早める「繰上げ」の場合、減額率は以下の通りとなります。
 
・繰上げ減額率=0.4%※×繰上げた月数(60~64歳)
※1962年4月1日以前に生まれた人については0.5%
 
65歳の支給開始を60歳まで繰上げた場合、受給額は最大で24%減額されることになります。
 
次に、65歳より遅らせる「繰下げ」です。増減率は以下の通りです。
 
・繰下げ増額率=0.7%×繰下げた月数(66~75歳)
 
支給開始を75歳まで繰下げた場合、受給額は最大で84%増額となります。年金支給は受給者が亡くなるまで続くので、繰下げを活用した効果は長生きすればするほど、大きく発揮されます。しかし、そうでなかった場合、結果として「繰上げたほうが受給総額は大きかった」ということもあり得ます。
 

何歳から受け取るのがお得? 平均寿命で試算

それでは、本題である「何歳から受け取るのが一番お得なの?」との問いですが、残念ながら、明確な答えはありません。なぜなら、受給総額は死亡する年齢によって変わるからです。死亡する年齢を事前に把握することはできません。
 
ここでは目安の一つとして、平均寿命まで生きた場合を想定し、支給開始年齢別に受給総額を試算しました。基準となる65歳支給開始の年間受給額を100万円と仮定し、平均寿命は厚生労働省の「令和3年簡易生命表」に基づき、男性81.47歳、女性87.57歳とします。結果は図表1の通りです。
 
図表1
 

 
筆者作成
 
男性は67歳、女性は70歳を開始年齢とした場合に受給総額が最大となりました。年金はさまざまな要素で変動するため、試算通りになるとはかぎりませんが、男性は2年、女性は5年ほど開始年齢を遅らせると、お得になる確率が高まりそうです。
 

まとめ

これから先も平均寿命は延びていくと予測され、支給開始を遅らせるほど増額率が高まる繰下げ受給の利用価値はますます高まっていくと思われます。特に老後に差しかかった時点で十分な老後資金があり、目先の生活に困る心配がない方であれば、ぜひ繰下げを検討するべきでしょう。もちろん、個々人の状況によっては繰上げで受け取ることも有力な選択肢となりえます。
 
年金制度をよく知り、うまく使いこなせるかどうかで老後の暮らしぶりが変わってきます。早い段階からご自身に合った受け取り方法を考えていきましょう。
 

出典

厚生労働省年金局 令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況

日本年金機構 老齢年金ガイド 令和4年度版
厚生労働省 令和2年簡易生命表の概況

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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