更新日: 2022.10.11 年金

年金だけでは老後を暮らせない。そんな場合の「年金生活者支援給付金」とは?

執筆者 : 辻章嗣

年金だけでは老後を暮らせない。そんな場合の「年金生活者支援給付金」とは?
年金だけで生活することが困難な方を支援する制度として、「年金生活者支援給付金制度」というものがあります。今回は、この「年金生活者支援給付金制度」について、詳しく解説していきます。
 
辻章嗣

執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)

ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/

年金生活者支援給付金制度の概要


 
「年金生活者支援給付金」は、消費税率引き上げ分を活用し、公的年金などの収入やその他の所得が一定基準額以下の年金受給者の生活を支援するため、年金に上乗せして支給するものです。消費税が8%から10%に引き上げられた2019年から施行されています。(※1、2)。
 
「年金生活者支援給付金」には、老齢基礎年金を受給している方が対象となる「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金」、障害基礎年金を受給している方が対象となる「障害年金生活者支援給付金」、遺族基礎年金を受給している方が対象となる「遺族年金生活者支援給付金」があります(※2、3)。
 

給付金の支給要件と給付額

令和4年度におけるそれぞれの「年金生活者支援給付金」の支給要件と給付額は、以下のとおりです(※2、3)。
 

1.老齢基礎年金受給者が対象となる「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金」

(1)支給要件
以下の支給要件を全て満たしている方が対象となります。

●65歳以上の老齢基礎年金の受給者である。
●同一世帯の全員が市町村民税非課税である。
●前年の公的年金等の収入金額(注1)とその他の所得との合計額が88万1200円以下(注2)である。
注1:障害年金・遺族年金などの非課税収入は含まれません。
注2:78万1200円を超え88万1200円以下である場合は、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

 
(2)給付額
保険料納付済期間と保険料免除期間の月数に応じて算出され、以下のAとBを合わせた額となります。

A:保険料納付済期間に基づく額(月額)=5020円×保険料納付済期間(注3)÷480月(注4)
B:保険料免除期間に基づく額(月額)=1万802円(注5)×保険料免除期間(注3)÷480月(注4)
注3:保険料納付済期間や保険料免除期間は、年金証書や支給額変更通知書などで確認できます。
注4:昭和16年4月1日以前に生まれた方は、生年月日により480月が短縮されます。
注5:保険料全額免除、4分の3免除、半額免除期間は1万802円、保険料4分の1免除期間は5401円となります。毎年度の老齢基礎年金の額の改定に応じて変動します。

 
老齢年金生活者支援給付金(月額)=A+B
 
なお、前年の年金収入額とその他の所得額の合計が78万1200円を超え88万1200円以下の方には、Aに調整支給率を乗じた「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

補足的老齢年金生活者支援給付金(月額)=A×調整支給率
調整支給率=(88万1200円-前年の年金収入と所得の合計額)÷10万円

 
(3)給付額の例
前年の年金収入額とその他の所得額の合計が78万1200円以下の方で、被保険者期間480月のうち納付済月数が420ヶ月、免除月数が0ヶ月の場合の給付額は、下式のとおりとなります。

A:5020円×420月÷480月≒4393円※
B:1万802円×0月÷480月=0円
給付額(月額)=4393円+0円=4939円
※計算結果に50銭未満の端数が生じたときは切り捨てて、50銭以上1円未満の端数が生じたときは1円に切り上げて計算します。

 

2.障害基礎年金受給者が対象となる「障害年金生活者支援給付金」

(1)支給要件
以下の支給要件を全て満たしている方が対象となります。

●障害基礎年金の受給者である。
●前年の所得(注6)が「472万1000円+扶養親族の数×38万円(注7)」以下である。
注6:障害年金などの非課税収入は、年金生活者支援給付金の判定に用いる所得には含まれません。
注7:同一生計配偶者のうち70歳以上の者または老人扶養親族の場合は48万円、特定扶養親族または16歳以上19歳未満の扶養親族の場合は63万円になります。

 
(2)給付額
障害等級により、以下の額が支給されます。

障害等級1級の方:6275円(月額)
障害等級2級の方:5020円(月額)

 

3.遺族基礎年金受給者が対象となる「遺族年金生活者支援給付金」

(1)支給要件
以下の支給要件を全て満たしている方が対象となります。

●遺族基礎年金の受給者である。
●前年の所得(注8)が「472万1000円+扶養親族の数×38万円(注9)」以下である。
注8:障害年金などの非課税収入は、年金生活者支援給付金の判定に用いる所得には含まれません。
注9:同一生計配偶者のうち70歳以上の者または老人扶養親族の場合は48万円、特定扶養親族または16歳以上19歳未満の扶養親族の場合は63万円になります。

 
(2)給付額
給付額は、一律5020円(月額)になります。
なお、2人以上の子が遺族基礎年金を受給している場合は、給付額を子の数で割った金額がそれぞれに支給されます。
 
(3)給付額の例
3人の子が遺族基礎年金を受給している場合、1人当たりの支給額は下式のとおりとなります。
5020円÷3人≒1673円※
※計算結果に50銭未満の端数が生じたときは切り捨てて、50銭以上1円未満の端数が生じたときは1円に切り上げて計算します。
 

「年金生活者支援給付金」の受給手続きと留意点

1.受給するための手続き

老齢・障害・遺族基礎年金の受給者で、令和4年度において、所得額が前年より低下したことなどの理由により新たに「年金生活者支援給付金」の支給対象となる方には、令和4年9月頃から順次、はがき型の「年金生活者支援給付金請求書」が日本年金機構から送付されます。
 
「年金生活者支援給付金」を受け取るには、請求書の提出が必要です。給付金は申請手続きをした翌月からの支給となりますので、請求書が届いたら速やかに手続きをしましょう。なお、すでに「年金生活者支援給付金」を受給している方は、新たな手続きは必要ありません(※2、3)。
 

2.受給の流れ

「年金生活者支援給付金請求書」の提出から1~2ヶ月後に「年金生活者支援給付金 支給決定通知書」が日本年金機構から送付されます。
 
給付金は、原則2ヶ月分を翌々月の中旬に、年金と同じ受取口座へ年金とは別に振り込まれます。なお、給付金が支払われる月の上旬に、日本年金機構から振込通知書が送付されます(※2、3)。
 

3.給付額の改定

給付額には、毎年度、物価の変動による改定(物価スライド改定)があります。また、給付額が改定された場合は、日本年金機構から「年金生活者支援給付金 支給金額改定通知書」が送付されます。
 

まとめ

年金生活者のうち、所得が一定以下の方には「年金生活者支援給付金」が支給されます。令和4年度において、新たに「年金生活者支援給付金」の対象となる方には、9月以降順次、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書」が届きますので、速やかに手続きしましょう。
 
なお、すでに「年金生活者支援給付金」を受給している方や、受給要件を満たさない方には請求書は届きません。
 

出典

(※1)日本年金機構 年金生活者支援給付金制度について
(※2)厚生労働省 年金生活者支援給付金制度
(※3)日本年金支援機構 年金生活者支援給付金
 
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

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