更新日: 2022.10.11 その他年金

自営業者のための上乗せの障害年金制度はない?

自営業者のための上乗せの障害年金制度はない?
厚生年金保険には老齢年金・障害厚生年金・遺族厚生年金がありますが、自営業者、すなわち国民年金の第一号被保険者には、そもそも厚生年金保険がありません。
 
第一号被保険者には老齢厚生年金がない代わりに、老後資金の準備方法として、国民年金基金・確定拠出年金(iDeCo)・小規模企業共済・付加保険料などの上乗せ制度が設けられています。
 
では、第一号被保険者には障害厚生年金に代わる制度はあるのでしょうか?
大泉稔

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

国民年金基金の加入者が障害を負った場合

国民年金の第一号被保険者が障害を負い、障害基礎年金を受け取ることになった場合、障害基礎年金を受け取る人は国民年金の法定免除に該当し、国民年金を納める義務がなくなります。
 
そして、国民年金の保険料を免除されている人は、国民年金基金に加入することができなくなりますので、掛け金を納めることもできなくなります。65歳になった時に、それまで納めていた国民年金基金の掛け金を基にした老齢年金を受け取ることになります。
 
なお、国民年金の法定免除に該当しても「国民年金保険料免除期間納付申出書」を年金事務所に提出すれば、国民年金保険料を納めることができます。つまり、国民年金基金にも加入でき、掛け金を納めることができます。
 
こうした場合、国民年金基金で受け取ることができるのは、老齢年金と遺族一時金の2種類です。障害を負うことで受け取ることができる年金はありません。
 

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確定拠出年金(iDeCo)加入者が障害を負った場合

確定拠出年金(iDeCo)加入者が障害を負った場合、国民年金の法定免除に該当し、障害基礎年金を受け取ることになっても、確定拠出年金(iDeCo)を続け、掛け金の納付もできます。
 
また、障害給付金を受け取ることもできます。もっとも、障害給付金といっても、それまでに納付した掛け金(=手数料控除後)と運用の成果(=マイナスもあり得る)に基づくものです。
 

小規模企業共済の加入者が障害を負った場合

小規模企業共済は、国民年金の保険料の免除の有無や被保険者の種別についての要件はありません。つまり、障害を負ったとしても、小規模企業共済の加入資格(要件を満たした事業を続けている)に該当すれば、掛け金を納め続けることができますが、該当しなければ掛け金を納めることはできません。
 
また、受け取ることができる共済金にも、障害を事由としたものはありません。仮に障害を負ったことで個人事業を廃業する場合は、小規模企業共済から共済金Aを受け取ることになります。
 

国民年金の付加保険料を納めている人が障害を負った場合

障害基礎年金を受け取っていると、国民年金の保険料は法定免除制度に該当します。国民年金の保険料が免除されていると、付加保険料を納めることはできませんが、「国民年金保険料免除期間納付申出書」を年金事務所に提出すれば、国民年金保険料を納めることができます。つまり、付加保険料を納めることもできます。
 
なお、付加保険料は、将来、老齢基礎年金を受け取るときに付加年金を受け取ることができます。また、付加保険料を36ヶ月以上納めた人が、老齢基礎年金や障害基礎年金を受け取ることなく亡くなり、かつ遺族基礎年金の要件にも該当しなければ、死亡一時金8500円が加算されます。
 

まとめに代えて

国民年金の第一号被保険者の、老後資金準備の上乗せ制度として第一号被保険者国民年金基金・確定拠出年金(iDeCo)・小規模企業共済・付加保険料があります。
 
しかし、これらに加入されている人が万が一障害を負っても、その保障だけでは足りない可能性があります。自営業者の方は、民間の保険商品の就労不能に備えた保険なども検討したほうがよいかもしれません。
 

出典

日本年金機構 国民年金保険料の法定免除制度
国民年金基金 加入条件・資格
国民年金基金 給付の種類
iDeCo公式サイト iDeCo(イデコ)の仕組み
中小機構 小規模企業共済 加入資格
中小機構 小規模企業共済 共済金(解約手当金)について
日本年金機構 国民年金付加年金制度のお知らせ
日本年金機構 現在、障害基礎年金(1級または2級)を受給しています。加入する国民年金は法定免除になっていますが、保険料を追納する際や納付申出制度を利用する際に注意する点はありますか。
日本年金機構 死亡一時金
 
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役

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