更新日: 2022.10.28 国民年金

産休期間の年金はどうなるの? 「国民年金の産前産後期間免除制度」を解説

産休期間の年金はどうなるの? 「国民年金の産前産後期間免除制度」を解説
少子化に歯止めをかけつつ、女性が活躍する社会を推進するには、子を産み、育てやすい社会環境を作る制度的な後押しが欠かせません。国民年金の「産前産後期間免除制度」も、そうした問題意識に基づいた政策の一つといえます。
 
本記事では第1号被保険者の女性を対象として設けられている国民年金の産前産後期間免除制度のポイントについて、分かりやすく解説していきます。
茂野博起

執筆者:茂野博起(しげの ひろき)

AFP・2級ファイナンシャルプランニング技能士

産前産後期間の免除制度は年金保険料免除制度の一つ


 
国民年金の産前産後免除制度は、2019年に新たに設けられた国民年金の免除制度の一つです。
 
そもそも、国民年金の免除制度は図表1の通り、おおまかに3つに分類できます。その立場になると同時に免除を受けることになる法定免除、申請しないと免除が認められ申請免除、そして特別なケースでのみ認定される特例免除です。
 
図表1 国民年金の主な免除制度

出典:日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度より筆者作成
 
産前産後期間免除制度は申請免除の一つで、申請を経て認定されると、保険料が全額免除される上に納付実績期間にも含まれるという特徴があります。
 
図表2 保険料免除・猶予における受給資格と納付済月数の反映関係

出典:日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納税猶予制度 より著者作成
 
また、各種免除制度の受給資格と納付済月数の関係をまとめた図表2から読み取れる通り、産前産後期間免除は、保険料が「免除されても納付済と同じ扱い」を受けられます。
 
産前産後期間免除制度では保険料負担がないことから、届け出をしなくてもそのまま免除されると誤解されがちです。しかし、実際は先述の通り申請免除の一つとして位置付けられるため、届け出をしなくては、免除を受けることができません。
 
産前産後期間免除制度は学生や既に免除を受けている人でも受けられる免除制度です。該当する場合は、忘れずに届け出を検討するようにしましょう。
 

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国民年金の産前産後期間免除制度の詳細

国民年金の産前産後期間免除制度の適用要件は以下の通りです。
 

1.対象者

国民年金の第1号被保険者
 

2.期間

出産予定日または出産日が属する月の前月から4ヶ月間(付加保険料の納付は可能。なお、死産、流産、早産された方も含まれます)
 

3.届け出方法

届け出自体は出産後も可能ですが、その時期は出産育児で忙しくなることも想定されるので、早めの届け出がおすすめです。出産予定日の6ヶ月前から、住民登録がされている自治体の国民年金担当窓口で受け付けています。
 
産前産後免除制度の対象者は年間20万人ほどであり、2019年以降の国民年金保険料を約100円値上げすることで財源を確保しています。
 

まとめ

子育て支援の分野ではさまざまな課題が山積する中、国民年金の産前産後期間免除制度には引き続き、女性活躍社会の実現に向けた足がかりの一つとして期待がかかります。産前産後期間免除制度は申請しなければ免除を受けられない申請免除の一つです。産前産後の時期には何かと忙しくなるため、くれぐれも申請漏れがないよう、できるだけ早めの届け出を心がけましょう。
 

出典

日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
 
執筆者:茂野博起
AFP・2級ファイナンシャルプランニング技能士

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