更新日: 2022.10.28 その他年金

公的年金の「受け取り開始手続き」はどうやるの? 公的年金の裁定請求を解説

公的年金の「受け取り開始手続き」はどうやるの? 公的年金の裁定請求を解説
65歳は一般的に公的年金が受け取れるようになる節目の年齢です。年金受給はまだ先のことと思っていたはずが、いよいよ目の前に差し迫ってきたと感じる人もいることでしょう。

ところが公的年金の受け取り開始に必要な裁定請求手続きを理解している人はごくわずかです。公的年金は受給開始年齢に達したら自動的に振り込まれると楽観的に考えている人さえいます。

結論からいいますと、公的年金は「裁定請求手続き」を経なければ受け取れるようにはなりません。本記事では年金受給開始において必要となる年金の裁定請求手続きを分かりやすく解説します。
茂野博起

執筆者:茂野博起(しげの ひろき)

AFP・2級ファイナンシャルプランニング技能士

公的年金の裁定請求とは

公的年金の裁定請求手続きにおける「裁定」とは、年金受給権があるかどうかの確認作業のことです。この「裁定」を経て、年金受給権と年金額が確認され、年金受け取りの開始に至ります。「裁定」の申し込みをすることを「裁定請求」といいます。
 

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公的年金の裁定請求の流れ


 
年金受給が目前となったとき、どのような流れで年金の裁定請求手続きをしていくかのイメージがつかめない人がほとんどでしょう。裁定請求手続きまでの一般的な流れは以下のとおりです。
 
(1)年金がもらえる誕生月の3ヶ月前に年金請求書が送られてくる
 
(2)年金請求書に必要事項を記入する
 
(3)年金振込口座を指定した金融機関の証明印を年金請求書に押してもらう
ただし、年金事務所等の窓口に預貯金通帳を持参し確認をしてもらうことで、金融機関の証明印にかえることも可能です。
 
(4)誕生日を迎えたら必要書類を添付して年金請求書を提出する
 
(5)「年金証書・年金決定通知書」が送られてくる
送られてきた「年金証書・年金決定通知書」は大事に保管しておきましょう。
 
なお60歳から64歳で特別支給の老齢厚生年金を受給している方は、65歳の月初にあらためて年金請求書が送られてきます。65歳到達月末日までに必要事項を記入の上、返送しなくてはなりません。これを「年金の再請求」といいます。
 
(6)年金受け取りが開始される
図表1 「年金決定通知書」の(1)に記載されている年金額が偶数月の15日に2ヶ月分振り込まれることになります。
 
図表 1 年金決定通知書
 

 
出典:日本年金機構 「年金決定通知書・支給額変更通知書」より引用
 

公的年金の裁定請求に必要な書類

年金を受け取るためには準備が必要になることが分かっていただけたと思います。裁定請求手続きもその準備の一つに位置づけられますが、次のものが必要になります。
 

(1)年金手帳または厚生年金保険被保険者証
 
(2)戸籍謄本(または戸籍抄本、住民票の写し)
 日本年金機構にマイナンバー登録している場合、未登録でも年金請求書にマイナンバーが記載されていれば戸籍謄本は不要になります。
 
(3)本人名義の年金振込先予定の金融機関の通帳
ただし、年金請求書に金融機関の証明印が押されている場合は不要です。
 
(4)印鑑

 
また、次の対象者はそれぞれ別に書類が必要となります。
 

▼加給年金・振替加算受給対象者

・課税または非課税証明書、源泉徴収票
・世帯全員の住民票の写し
 

▼雇用保険受給者

・雇用保険被保険者証の写し
 

▼老齢基礎年金の繰上げ受給希望者

・国民年金老齢基礎年金支給繰上げ請求書
 
他にも添付書類が必要な場合があります。事前に年金事務所、年金相談センターもしくは自治体に問い合わせることをおすすめします。
 

まとめ

公的年金を受け取り始めるためには、公的年金の裁定請求手続きを経る必要があることを紹介しました。また、それとは別に、取引金融機関から年金相談会開催の案内が届くケースもあり、実際に社会保険労務士を招き、裁定請求書の記入を個別指導してくれる金融機関もあります。
 
もし裁定請求手続きが難しいと感じたら、まずは金融機関で定期的に開催されている年金相談会に注目してみてはいかがでしょうか。
 

出典

一般財団法人年金住宅福祉協会 くらしすと はじめて老齢年金をもらう人の手続き

日本年金機構 老齢年金の請求手続き

 
執筆者:茂野博起
AFP・2級ファイナンシャルプランニング技能士

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