更新日: 2022.11.19 その他年金

60歳間近の専業主婦(夫)がいる世帯必見!「国民年金基金」という選択肢

60歳間近の専業主婦(夫)がいる世帯必見!「国民年金基金」という選択肢
会社員または公務員である世帯の専業主婦(夫)で、20歳になってから就職するまでの数年間など、国民年金保険料の未納期間がある方は将来受け取る国民年金額がその分減ります。国民年金の受取額を増やす方法として「60歳からの任意加入と付加年金」が知られていますが、もう一つの選択肢をご存じですか?
 
本記事では、もう一つの方法である「60歳からの任意加入と国民年金基金」について紹介し、付加年金と国民年金基金の収支試算を比較します。
福嶋淳裕

執筆者:福嶋淳裕(ふくしま あつひろ)

日本証券アナリスト協会認定アナリスト CMA、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本商工会議所認定 1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)

リタイアメントプランニング、老後資金形成を得意分野として活動中の独立系FPです。東証一部上場企業にて、企業年金基金、ライフプランセミナー、DC継続教育の実務経験もあります。

https://www.fp-fukushima.com/

専業主婦(夫)の国民年金

会社員または公務員(国民年金の第2号被保険者)である配偶者と専業主婦(夫)である本人で構成される夫婦(生計を共にしていれば事実婚や同性婚も該当します)の場合、本人が60歳になるまで国民年金の第3号被保険者に区分されます。
 
配偶者とその勤務先が厚生年金保険料を毎月負担することにより、第3号被保険者は国民年金保険料を納めているものとして扱われ、将来受け取る年金の額も毎月増えていく仕組みです。
 
本人が60歳になったとき、配偶者が引き続き勤めていたとしても、国民年金の被保険者ではなくなるため将来受け取る年金の額はこの時点でおおむね確定します。
 

任意加入とは

国民年金の「任意加入」とは、20歳になってから国民年金保険料を納めなかった期間がある人などが、60歳以降でも国民年金保険料を納付できる制度です。
 

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付加年金とは

国民年金の「付加年金」とは、国民年金保険料に上乗せして付加保険料を納めることにより、将来受け取る年金の額を増やせる仕組みです。付加年金の利用は国民年金基金との二者択一であり、併用はできません。
 

国民年金基金とは

国民年金の第2号被保険者(会社員・公務員など)は原則、65歳から国民年金(老齢基礎年金)に加え厚生年金(老齢厚生年金)を受け取れます。一方、第1号被保険者(自営業者・フリーランスなど)は国民年金(老齢基礎年金)だけです。このような働き方の違いによる年金格差を縮小するため、第1号被保険者向けの“年金上乗せ制度”として「国民年金基金」が1991年に創設されました。
 
国民年金基金は第1号被保険者向けであることから、会社員や公務員世帯にはまだあまり知られていません。しかしながら、第3号被保険者(第2号被保険者の被扶養配偶者)である専業主婦(夫)が被保険者の資格を失ったとき(60歳に達したとき)、国民年金保険料を納めていなかった期間があれば国民年金への任意加入と併せて国民年金基金に加入することができます。
 

国民年金基金に1年間加入するケースの収支試算

2022年度に60歳に達する専業主婦を例にとり、国民年金基金に1年間加入するケースの収支を試算してみましょう(以下、本ケースと表記)。
 

●20歳になってから就職するまでの1年間、国民年金保険料を納めていなかった
●就職時に厚生年金に加入(国民年金の第2号被保険者)、中途退職後は専業主婦に(国民年金の第3号被保険者)
●60歳の1年間、国民年金に任意加入して受取額を増やしたい
●併せて国民年金基金も利用したい

 

国民年金基金に1口加入する場合、支払う掛け金はいくら?

国民年金基金は毎月の掛け金の範囲内で何口でも加入できますが、1口目は終身年金の「A型」または「B型」のいずれかを選ぶ必要があります。
 

●終身年金A型:15年間の保証付き
●終身年金B型:保証期間なし

 
本ケースでは、60歳到達月から1年間、終身年金A型に1口加入するとします。支払う掛け金の合計を以下の手順で計算してみましょう。インターネットで「国民年金基金パンフレット」と検索し、「国民年金基金連合会」のウェブサイトから最新版のパンフレットを「ダウンロード」します(本記事執筆時点では2022年4月版が最新です)。
 
2 「60歳以上で加入した場合の1口当たりの掛金月額および年金額(年額)」を参照します(2022年4月版であれば10頁)。
 
60歳以上の女性が終身年金A型に1口加入する場合の掛け金は月額2万3750円であることが分かります。したがって本ケースの場合、支払う掛け金の合計は、2万3750円×12=28万5000円 です。
 

国民年金基金の年金は、いつからいつまでいくら受け取れる?

1口目は終身年金のため、65歳に達したときから亡くなるまで受け取れます。また、受け取る年金の額(1年分)は、国民年金基金パンフレットの「60歳以上で加入した場合の1口当たりの掛金月額および年金額(年額)」を参照しながら、次のように計算します。
 
(1)「加入時年齢60歳0月」の1口目A型の年金額 = 6万円
 
この6万円は、5年間加入できたら年額6万円受け取れるという意味です。
 
(2)「加入時年齢61歳0月」の1口目A型の年金額 = 4万7640円
 
本ケースの加入期間は1年のため、1年後の61歳0月を参照します。
 
本ケースで受け取れる年金の額(1年分)は、(1)-(2)= 1万2360円 と計算できます。
 

付加年金との比較

本ケースで付加年金を選択した場合の収支を試算し、国民年金基金と比較します。
 

●支払う付加保険料:月額400円×12(付加保険料納付月数)= 4800円
●受け取る付加年金:200円×12(付加保険料納付月数)= 2400円(1年分)

 
付加年金は4800円の支払いに対し、年金を毎年2400円増やせます(65歳から受け取りを始める場合)。国民年金基金は28万5000円の支払いに対し、年金を毎年1万2360円増やせる計算でした。
 

回収期間

続いて、回収期間や生涯収入の視点から比較してみましょう。
 

●付加年金:2年(67歳)で回収(4800円÷2400円)
●国民年金基金:23年(88歳)で回収(28万5000円÷1万2360円)

 

生涯収入増加額

90歳まで生きると仮定した場合

●付加年金:2400円×25年=6万円
●国民年金基金:1万2360円×25年=30万9000円

 

100歳まで生きると仮定した場合

●付加年金:2400円×35年=8万4000円
●国民年金基金:1万2360円×35年=43万2600円

 
以上の比較はあくまでも一例です。国民年金基金は加入時の年齢や加入可能期間、型の選択、2口目以降との組み合わせなどにより、受け取る年金額や回収期間が異なります。この機会に、ご自身または配偶者の条件で計算してみてはいかがでしょうか。
 

出典

日本年金機構 国民年金の「第1号被保険者」、「第3号被保険者」とは何ですか。

日本年金機構 任意加入制度

日本年金機構 付加年金

国民年金基金連合会 制度について知る

国民年金基金連合会 国民年金基金パンフレット

 
執筆者:福嶋淳裕
CMA、CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、1級DCプランナー

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