更新日: 2022.11.19 国民年金

老後は「国民年金だけ」で生活できる? 平均支出「約13万円」に足りない分はどうすればいいの?

老後は「国民年金だけ」で生活できる? 平均支出「約13万円」に足りない分はどうすればいいの?
40歳、50歳と齢を重ねるにつれ、老後の生活に金銭面の不安を感じてしまうものです。特に生活の要となる年金の受給額が低い国民年金加入世帯は、不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。
 
そこで本記事では、国民年金だけで老後の生活が可能なのか、また、難しいなら対策はあるのかについて検証しました。将来の不安を取り除くためにも、国民年金に加入している方は、ぜひ参考にしてください。
木元泰徳

執筆者:木元泰徳(きもと やすのり)

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

国民年金の不足金額はいくら?

まずは国民年金の受給額を確認しましょう。日本年金機構によると、20歳から60歳になるまでの40年間、保険料を全て納めた場合の令和4年度の年金額は、月額約6万5000円です。
 
次に、想定される老後の支出を確認します。総務省の調査によると、65歳以上の単身無職世帯の消費支出は約13万円です。平均的な支出の生活を送るためには、国民年金だけでは6万円を超える不足が生じることが明らかです。
 

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国民年金の不足への対処法

収入を国民年金に頼ると不足する、6万円超の赤字に対処する方法を3つ紹介します。
 

基本は支出を抑えること

1つ目は「支出をコントロール」することです。総務省の調査の消費支出は内訳が示されており、図表1のとおり項目によって構成比が異なることがわかります。
 
図表1
 

 
出典 総務省 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)家計の概要より引用
 
構成比の高い項目、例えば食料(27.4%)、交際費(11.6%)、住居(9.9%)に該当する支出を見直すことで、家計の赤字額は大幅に削れるでしょう。
 

仕事ができる健康状態の持続

2つ目は「仕事を続ける」ことです。仕事を続けて年金以外の収入を得られれば、家計の収支は大幅に改善します。内閣府が行った調査によると、60歳以上の37.3%が収入のある仕事をしており、80歳以上でも10.0%は仕事を続けているようです。
 
なお、仕事を続けることに対して「ツラい・きつい」というイメージを持つ人もいるでしょうが、同調査によると、仕事を続ける高齢者の82.7%は「仕事に満足している」と回答しています。さらに、厚生労働省の調査によると、男性の場合、就業している人のほうが就業していない人に比べ、健康な人の割合が10ポイント程度高くなるという結果も出ています。
 
健康だからこそ仕事ができるという見方もできますが、満足度の高い仕事を続けることで健康状態が維持され、家計の不安も解消できるという状態を目指しましょう。
 

受給開始を遅らせ「1階建て」を「2階建て」に

3つ目は、「国が準備している各種制度を利用」することです。例えば、国民年金の保険料を満額支払っていない人は「追納」や「任意加入」といった制度を利用して、まずは保険金を満額受け取れるようにしましょう。
 
続いて「繰下げ受給」を検討します。繰下げ受給は年金の受け取りを遅らせることで、1ヶ月ごとに0.7%ずつ受給金額が増える制度です。2022年時点では最大75歳まで遅らせると84%受給金額を増やすことができます。
 
この場合、受給金額が月額約12万円に増え、国民年金と消費支出の差額の多くが解消されます。65歳から75歳までの10年間を労働や「預貯金の取り崩し」で過ごし、増額された年金を受け取るのは賢い選択です。
 
他にも「iDeCo」や「NISA」など、投資で獲得した収益が非課税になったり、受け取りの際に「退職所得控除」や「公的年金等控除」が受けられたりする各種税制面でメリットが得られる制度もあるので、フル活用して資産を増やしておきましょう。
 

年金不足への対策はお早めに

本記事では国民年金で老後の生活を賄えるのか確認し、不足する金額を捻出する方法を解説しました。支出を極限まで切り詰めて国民年金の範囲内で生活する人もいますが、一般的に勧められるものではありません。
ストレスのない程度に収支を見直し、長く続けられる仕事に就いて各種制度の利用で不足分の準備をすることが大切です。どれも早いうちに動き出すことで効果を高められるので、早速検討を始めてみましょう。
 

出典

日本年金機構 令和4年4月分からの年金額等について

総務省 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)家計の概要

内閣府 令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査結果(概要版)

厚生労働省 中高年者縦断調査(中高年者の生活に関する継続調査)特別報告の概況

日本年金機構 年金の繰下げ受給

 
執筆者:木元泰徳
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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