更新日: 2022.11.27 その他年金

年金を繰下げして、受給前に亡くなった。そんな場合、支払い済み保険料はどうなる?

年金を繰下げして、受給前に亡くなった。そんな場合、支払い済み保険料はどうなる?
年金を繰下げ受給すれば、本来受け取れる年金額よりも多い金額を受け取ることができます。とはいうものの、もしも繰下げ受給をして受給前に死んでしまったら、これまで納めた保険料は無駄になってしまうのではないかと不安になってしまう人もいるかもしれません。
 
そこで今回は、年金の繰下げ受給をして受給前に死んでしまった場合はどうなるのか、詳しく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

未支給年金とは?

年金を受給している人が亡くなった場合、その人は年金の受給権利がなくなります。そのため、日本年金機構に個人番号(マイナンバー)が収録されていない限り、遺族は受給権者死亡届を提出しなければなりません。
 
その際に受給権者がまだ受け取っていない年金があった場合には、未支給年金を請求することで遺族が未支給分を受け取ることができます。例えば、受給権者が6月分と7月分の年金を受給する前の8月に亡くなった場合、6月分と7月分の年金が未支給年金となるわけです。
 
未支給年金を受け取ることができるのは、受給権者が亡くなった際にその人と生計を同じくしていた家族です。受け取れる順位は (1)配偶者(2)子(3)父母(4)孫(5)祖父母(6)それ以外の3親等内の親族となります。受給権者死亡届や未支給年金請求書の提出先は最寄りの年金事務所か年金相談センターです。
 
もしも繰下げ受給を選択して受給前に死んでしまった場合はどうなるのでしょうか。その場合、繰下げ受給によって増額される前の年金額が未支給年金となります。例えば、75歳まで繰下げ受給をすると年金額が84%増額されますが、69歳で亡くなってしまった場合には増額前の年金額で4年分が未支給年金となるわけです。そしてその分は遺族が請求することで受け取れます。
 

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受け取った遺族は確定申告が必要になるかも?

遺族が未支給年金を受け取る際、注意するべきことがあります。それは、未支給年金の金額によっては確定申告が必要になるということです。
 
例えば、先ほどの例だと4年分の未支給年金を遺族は受け取れます。仮に受給権者が繰下げ受給したのが満額の老齢基礎年金だったとすると、未支給年金は令和4年度の場合「77万7800円×4年」で311万1200円です。この金額が受け取った遺族の一時所得となります。一時所得である以上、受け取った遺族は確定申告をする必要があるというわけです。
 
しかし、どのような場合でも確定申告をしなければならないわけではありません。なぜなら、確定申告の際の一時所得は「一時所得の総収入額-収入を得るために支出した金額(経費)-特別控除額」によって計算されるからです。
 
未支給年金の場合、経費は掛からないので0円です。特別控除額は最高50万円となっています。ということは、一時所得の金額が50万円以内であれば確定申告の計算上は所得が0ということになり、申告は必要ないのです。
 
未支給年金の場合であれば、未支給年金額が50万円以内であれば、受け取った遺族は確定申告をする必要がありません。しかし、50万円超の場合には確定申告をする必要があります。
 

受け取れなかった年金額は遺族が受け取れる!


繰下げ受給をして年金を受け取る前に死んでしまった場合、時効にならない5年以内の請求であれば、本来受け取るはずだった年金額は未支給年金として生計を一にする遺族が受け取ることになります。
 
もしそのようなことになってしまっても、遺族に年金額を残すことができるのです。その際、未支給年金の額によっては受け取った遺族は確定申告をしなければならないことを覚えておきましょう。
 

出典

日本年金機構 か行 繰下げ受給
日本年金機構 年金を受けている方が亡くなったとき
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
国税庁 No.1490 一時所得
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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