50歳からのiDeCo(イデコ)加入を考える
配信日: 2022.11.29
健康診断や人間ドック等で、体の不調等を目の当たりにしたという方もいると思います。60歳以後も働く機会を得られたとしても、果たして以前と同じ時間を働けるだけの体力があるのか気になるところです。
本稿では50歳からの老後の資金の作り方として、iDeCoの加入について考えてみましょう。
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執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役
専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。
iDeCoの加入を検討する
老後が視野に入る50歳代の方の中には、iDeCoの加入を検討される方もいらっしゃるのではないでしょうか。
iDeCoは掛金の全額が小規模企業共済等掛金控除の対象ですから、所得額を減らすことができる、いわば節税の効果を得ることができます。つまり、節税をしながら老後資金の準備ができるのです。
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いつまで納めて、いつからもらう?
50歳代の方がiDeCoに加入する場合、まず確認しておきたいのが「何歳まで掛金を拠出することができるか?」と「何歳から受給することができるか?」の2点です。
■掛金の拠出は何歳まで?
iDeCoの掛金の拠出は65歳まで可能です。60歳以後は「国民年金の任意加入被保険者」か「厚生年金保険の被保険者」のいずれかに該当する人に限られます。
つまり、50歳代でiDeCoの加入を検討する場合、60歳代以後も厚生年金保険の被保険者として働き続けられるか否かも、シミュレーションしておく必要があるでしょう。
また、自営業者やフリーランス(国民年金第一号被保険者)、専業主婦や専業主夫(国民年金第三号被保険者)で、40年間きっちり国民年金保険料を納めた方は、国民年金の任意加入被保険者にはなれませんから、60歳以後、iDeCoの掛金の拠出はできません。
■何歳から受給することができるのか?
iDeCoは60歳から受給を始めることができますが、それは60歳の時点で通算加入者期間(掛金を拠出した期間など)が10年以上ある人のみです。50歳代でiDeCoの加入を検討している人のなかには、すでに60歳まで10年に満たない人もいるでしょう。
その場合、支給開始年齢が、以下のように段階的に先延ばしになります。
●8年以上10年未満→61歳
●6年以上8年未満→62歳
●4年以上6年未満→63歳
●2年以上4年未満→64歳
●1月以上2年未満→65歳
例えば、iDeCoの掛金の拠出を始めたのが53歳とします。60歳以後、国民年金の任意加入者や厚生年金保険の被保険者でなかったとすると、iDeCoの受給を開始できるのは62歳からになります。
この場合、2つの課題を想定しておく必要があるでしょう。
まず1つ目は、掛金の拠出額です。
iDeCoの掛金の拠出限度額は加入者の属性により決められます。例えば、公務員の方ですと、1ヶ月あたり1万2000円で、掛金の拠出期間が7年間だとすると、拠出した掛金の総額は100万8000円になりますが、この額から手数料が引かれます。もちろん、運用の成果(プラスもマイナスもある)しだいですが、老後の資金の額としては十分でしょうか?
2つ目の課題は、53歳の場合、掛金の拠出を終えて受給開始まで2年間の時間があります。運用の商品を「元本確保型」のみにしておけば、運用の成果はプラスもマイナスもないですが、やはり手数料が掛かりますので、手数料の分はマイナスになります。逆に運用の商品を投資信託等の「リスク商品」にした場合、リーマンショックのようなことがあった場合はつらい結果になるかもしれません。
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50歳代でiDeCoの加入を検討する際の留意点
65歳まで、国民年金の任意加入者や厚生年金保険の被保険者として働き続けることができるか否かがポイントでしょう。もちろん、会社が雇ってくれるか、掛金を拠出できるくらいの給料をもらえるかも大切ですが、もう1つ、ご自身の体力についても考えておかなくてはなりません。
なお、iDeCoは申し込んでから掛金の拠出ができるまで、数ヶ月かかることもあります。50歳代の方は、こうした時間も含めてiDeCoの加入を検討したほうがよいでしょう。
出典
厚生労働省 確定拠出年金制度の概要
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役