更新日: 2022.11.29 国民年金

転職時に年金の手続きを忘れてしまった! どうしたら良い?

執筆者 : 伊藤秀雄

転職時に年金の手続きを忘れてしまった! どうしたら良い?
転職時のさまざまな手続きの中には、年金の手続きもあります。もし、それを忘れてしまったらどうなるのでしょうか。転職時の年金手続きを確認するとともに、手続きを忘れ未納期間が発生してしまった時の対処法もお伝えします。

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伊藤秀雄

執筆者:伊藤秀雄(いとう ひでお)

FP事務所ライフブリュー代表
CFP®️認定者、FP技能士1級、証券外務員一種、住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー協会会員

大手電機メーカーで人事労務の仕事に長く従事。社員のキャリアの節目やライフイベントに数多く立ち会うなかで、お金の問題に向き合わなくては解決につながらないと痛感。FP資格取得後はそれらの経験を仕事に活かすとともに、日本FP協会の無料相談室相談員、セミナー講師、執筆活動等を続けている。

手続きが漏れるのは国民年金保険

転職先への年金加入には、次のパターンが考えられます。
 

(1) 厚生年金⇒厚生年金
(2) 国民年金⇒厚生年金
(3) 国民年金⇒国民年金
(4) 厚生年金⇒国民年金

 
転職先で厚生年金に加入する(1)(2)の場合、手続きは会社が行います。本人は年金手帳を提示するなど、転職先の指示に従えばよいので、本人が手続きを漏らすということは起こりません。
 
(3)の場合、国民年金を継続すればよいので、手続きを忘れて未加入期間が発生しやすいパターンは、厚生年金から国民年金に変わる(4)となります。
 
厚生年金の適用事業所から、非適用事業所への転職あるいは個人事業主となる場合など(第二号被保険者の扶養に入らない場合)は、退職から14日以内に市区町村役場へ国民年金第一号資格取得の手続きを行う必要があります(※1)。
 

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未納が続くとどのような影響が?

もし、国民年金保険料を未納のままだと、次のような不利益が生じます。
 

・将来の老齢基礎年金の減少

保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上ないと、年金をもらうことができません。もし受給資格期間を満たしていても、未納期間があると将来の年金受給額が減少します。2022年の受給額で試算すると、未納1年で年間2万円弱の減少となります。
 

・障害基礎年金・遺族基礎年金の受給権利への影響

未納期間の時期・長さによっては、障害を負った際に障害基礎年金を受給できない、あるいは死亡した際に遺族が遺族基礎年金を受給できない場合があります。
 
なお、最近は未納者への督促が強化されており、2年間の時効を過ぎ未納期間が確定してしまう人を減らすよう、取り組みが進んでいます。
 

未加入に気付く方法と手続き

まず、個人で気付く機会としては、ねんきん定期便に加入情報が反映していない、家計支出に入っていない、国民健康保険の未加入が判明し年金の未加入にも気付いた……といったケースが考えられます。
 
実際には、厚生年金脱退の情報が、勤務先から年金事務所に届くため、手続きを忘れていても国民年金加入のお知らせが届きます。
 
また、ある程度時間がたつと、電話や戸別訪問、通知も届きます。未加入が続いても長期間放置しないための督促の仕組みがあるので、実際は早めに気付き手続きできることがほとんどです(※2)。令和3年度では、日本年金機構から新規で1ヶ月および3ヶ月の未納者に対して、催告文書を送付しています(※3)。うっかり未納していた場合でも、ここまでで対応できるでしょう。
 
もし、放置すると最悪差し押さえまで進みますので、必ず加入手続きを行ってください。
 
万一、未納から2年経過し未納期間が確定してしまった場合、年金を増やすには60歳以降の任意加入制度の利用が考えられます。
 

その他の留意事項

国民年金ではありませんが、休職出向(移籍型出向)経験者も気を付けてください。例えば、民間企業と官公庁間の人材交流で相互出向が行われる場合、疑似的な転職手続きとして、厚生年金などの社会保険加入や給与計算実務を移管することがあります。この転籍手続きの際、出向先での手続き漏れが考えられますので、レアケースですが併記しておきます。
 
また、企業型確定拠出年金もあります。転職先に同年金制度があれば移管できますが、ない場合はiDeCoに移管するのが一般的です。運用していた資金はいったん国民年金基金連合会に移ります。退職から6ヶ月以内にiDeCoに移管しないと、資産は同連合会に自動移換されてしまい、そのままでは年金で受け取ることができなくなってしまいます。                       
 

最後に

会社によっては、厚生年金適用事業所なのに、保険料負担を避けるために故意で手続きせず、社員に国民年金への加入を指示する悪質なケースがあります。もし、そのような場合、遡及(そきゅう)した加入・支払い手続きが行われれば、個人で支払った国民年金保険料は還付されます。
 
いずれにしろ、転職・退職の際は、社会保険手続きの結果を必ず確認するようにしてください。
 

出典

(※1.)日本年金機構 会社を退職した時の国民年金の手続き
(※2.)日本年金機構 国民年金保険料の延滞金
(※3.)日本年金機構 日本年金機構の令和3年度の取組状況について
 
執筆者:伊藤秀雄
FP事務所ライフブリュー代表
CFP®️認定者、FP技能士1級、証券外務員一種、住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー協会会員