更新日: 2022.12.01 その他年金
「一人暮らしをしていた父」が亡くなりました…父が受け取るはずだった年金はどうなりますか?
「一人暮らしをしていた父」が65歳未満で年金受給前に死亡した場合、本人が受け取るはずであった年金はどうなるでしょうか。
本記事ではこの問題について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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亡くなった人への年金支給
年金を受け取れるのは原則として65歳になってからです。受給開始を60歳からに早めることも可能ですが、それが始まる前に死亡すると年金は支給されません。このような場合、死亡するまで払っていた保険料の返還を家族が請求することは認められません。なお、年金の受給を開始している人であっても、死亡すると年金は支給されなくなります。
ただし、未支給の年金があるとき、遺族はその支払いを請求することができます。例えば、年金受給者が、ある年の7月に死亡したケースで、6~7月分の年金がまだ支給されていないとき、同人と生計を共にしていた遺族はこの未払い分の請求が可能です。
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死亡一時金
国民年金の保険料を3年以上納めていた人が年金(老齢基礎年金)の受給を開始する前に死亡したとき、遺族は死亡一時金を受け取ることができます。ただし、死亡した人は老齢基礎年金だけではなく、障害基礎年金ももらっていなかったことが条件です。一時金の額は死亡していた人が保険料を納めていた月数によって変わりますが、12万~32万円です。
一時金を請求できる遺族は死亡した人と生計を共にしていた家族に限られる点に注意が必要です。亡くなった父親が一人暮らしをし、子どもも社会人として独立して生活していたような場合、この要件は満たされません。これに対し、子が学生で、父から生活費を仕送りしてもらっていた場合には生計を共にしている場合として扱われます。
請求できる遺族には優先順位が付けられており、父親に配偶者(妻)がいる場合は、その配偶者の優先順位が最も高くなります。なお、配偶者が寡婦年金も受給することができる場合は、どちらかの選択が必要です。配偶者の次に一時金を請求できるのは優先順位が高い人から順に、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹です。
遺族基礎年金
保険料を納めてきた人が年金受給前に死亡したとき、遺族は遺族基礎年金を受け取ることができます。ただし、死亡した人が保険料を長期にわたり滞納していないことが条件です。また、同人が遺族の生計を維持してきたことを条件としますが、この条件が満たされれば誰でもよいわけではありません。
つまり、遺族基礎年金を請求できるのは死亡した人の配偶者か子どもに限定されています。さらに、配偶者には「子がいること」という条件が付けられています。
他方、子の場合は「18歳になった年度の3月末までであること」、つまり、高校を卒業していないこと、または「20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にあること」が条件です。なお、生存中の親が遺族基礎年金を受け取る場合、子に遺族基礎年金は支給されません。
配偶者が受け取ることができる遺族基礎年金は77万7800円で、それに子の額が加算されます。2人目までの子の加算額は各22万3800円で、3人目以降の加算額は7万4600円です。配偶者にこの年金が支給されないとき、子は77万7800円の年金を受け取ることができます。子が複数いる場合は、この額に2人目以降の加算額を加えた額を子の数で割り、1人当たりの受給額を計算します。
なお、遺族基礎年金は前述した死亡一時金とあわせて受け取ることはできません。これに対し、死亡した人が厚生年金にも加入していたときは、その配偶者または子は遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受給することができます。
遺族年金について、子の請求は生存中の親に優先しない
「一人暮らしをしていた父親」が年金受給を開始する前に死亡したとき、父親本人に年金は支給されません。遺族である子どもは父親とは離れて暮らしていたとはいえ、父親から仕送りしてもらっていた場合は死亡一時金を請求することができます。
ただし、母親に優先して請求できるわけではありません。また、子どもが高校生以下であるときは遺族年金を受給できる場合がありますが、母親がこの年金をもらっているとき、子どもは受給できないことに注意しましょう。
出典
厚生労働省 厚生年金保険法第三十七条の疑義等について
厚生労働省 基礎編講義 未支給年金
日本年金機構 死亡一時金
日本年金機構 遺族年金
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部