更新日: 2022.12.03 国民年金
国民年金の納付期間が「45年」に延長? 負担が増える分「受給額」も増える?
本記事では、国民年金の納付期間が5年延長されることによって、受給額や負担額がどのように影響する可能性があるのかを解説します。
執筆者:川辺拓也(かわべ たくや)
2級ファイナンシャルプランナー
納付期間が5年延長されて受給額に影響はあるのか
国民年金の納付期間は、現行で20歳から59歳まで40年間です。2025年に提出を予定している改正案では、20歳から64歳までの45年間に変更を検討しています。
図表1
加入資格 | 20歳以上60歳未満で厚生年金に加入していない人 |
納付期間 | 480ヶ月(40年) |
保険料 | 1ヶ月当たり約1万6600円(2022年度) |
老齢基礎年金受給額(満額) | 月額約6万4800円(2022年度) |
出典:日本年金機構 国民年金より筆者が作成
国民年金の保険料は、毎月約1万6600円を支払っているので、納付期間が5年延長された場合、約100万円の負担になります。2022年度の保険料水準で、納付期間を40年間のケースと、45年間のケースで比べてみると、図表2の通りです。
図表2
国民年金の納付期間 40年間の保険料総額 |
国民年金の納付期間 45年間の保険料総額 |
負担額の割合 |
---|---|---|
約800万円 | 約900万円 | 113%増 |
筆者作成
納付期間が5年延長することで、トータルで納付する保険料の総額が約800万円から約900万円と、113%の負担増となります。国民年金の満額が、2022年度は約6万4800円です。負担が増えた分、受給額も増えるのでしょうか。
負担額と同じ割合で受給額が増えるケースで考えると、6万4800円の113%が約7万3200円なので、毎月で約9000円の増額、年間では約10万円の増額になります。とはいえ、同じ割合で受給額が増えるかは不透明です。
納付期間の延長を検討している理由は、少子高齢化の中で年金制度を今後も維持する財源を確保するためです。そのため、負担額が増えた分と同じ割合で、受給額を増やす可能性は低いといえるでしょう。
国民年金の納付期間が5年延長されることで、2022年度の保険料水準で計算すると5年で約100万円の負担増となります。少子高齢化が加速している中で、受給額にどう影響するのか注目が集まります。
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国民年金の受給者と受給額の推移
厚生労働省年金局「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2020年度に発表された国民年金の受給者数は、約3600万人と発表されました。2016年度は約3400万人なので、受給者の総数は5年で約200万人増えています。
図表3
国民年金受給者の総数 | 国民年金受給者の年金総額 | |
---|---|---|
2016年度 | 約3400万人 | 約22兆7000億円 |
2022年度 | 約3600万人 | 約24兆3000億円 |
出典:厚生労働省年金局 令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況より筆者作成
受給者が増えたことによって、年金総額も増加し続けている状況です。2022年度の年金総額は約24兆3000億円でした。2016年度は約22兆7000億円なので、約1兆6000億円増加しました。
国民年金を受給している人の平均年金月額は、2022年度で約5万6000円でした。2016年度は約5万5000円で、ほとんど変わりがありません。過去の年金月額の傾向を見ると、国民年金が増額される期待はしづらいといえるでしょう。
国民年金の制度がどのように改正されるのか注目
国民年金の納付期間が5年延長する方向で検討されている点について解説しました。現在の国民年金は、20歳から59歳までの40年間が納付期間です。制度改正によって、納付期間が45年間に延長すると、保険料負担が約100万円増える可能性が高まります。
とはいえ、安定的に国民年金を継続するための財源に使われるため、年金受給額の増加にはつながらない可能性が高いです。2025年に改正案の提出を予定している中で、納付期間の延長以外でどのような制度の変更が行われるのか、今後も注目です。
出典
厚生労働省 第1回社会保障審議会年金部会
日本年金機構 国民年金
厚生労働省年金局 令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況
執筆者:川辺拓也
2級ファイナンシャルプランナー