あなたは忘れていませんか? 放置年金が「2400億円」!放っておくとどんなデメリットがあるの?
配信日: 2022.12.05
ここでは放置年金とはどのようなものなのか、また放置状態にしないための基本的な知識として、そのデメリットについて確認しておきましょう。
執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)
ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
放置年金とは
放置年金とは、転職や退職により企業型確定拠出年金(以下、企業型DC)の加入資格を失ったけれど、その後に必要な手続きなどをしないまま放置されている年金資産のことです。終身雇用から転職や中途退職が当たり前の時代に変わり、せっかく積み立ててきた年金資産を放置してしまうケースが増えているといいます。
確定拠出年金には、個人型確定拠出年金(以下、iDeCo)と企業型DCがあります。
iDeCoの場合は個人である加入者が自ら掛け金を決め、選択した商品に積み立てて運用を行いますが、企業型DCは原則、会社が掛け金や手数料などを負担し、社員が運用する形式が多く、自ら掛け金を拠出していない場合には自分の資産という意識が薄くなってしまう傾向があるようです。
企業型DCを導入している企業数は年々増加傾向にあるものの、中小企業では未導入のケースが多いといわれています。
例えば、企業型DCを導入している企業から転職したとき、転職先が企業型DCの制度がない中小企業だった場合には、当然、年金資産を企業型DCには移換できないため、個人型のiDeCoに移す手続きが必要となります。また、退職した場合でも同様に、自身での手続きが必要となることがあります。
転職などに伴い企業型DCからiDeCoに年金資産を移換する際、iDeCoの口座が未開設の場合には金融機関を選択し、新規での口座開設から手続きを行う必要があります。
転職や退職のタイミングでは、次の仕事の準備などで何かと慌ただしく、年金資産の移換に関する詳細を確認する余裕がなくなり、つい手続きを後回しにしてしまうこともあるでしょう。
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放置年金となると年金資産はどうなるのか?
移換手続きなどを行うことなく放置したまま、企業型DCの加入資格喪失から6ヶ月が経過すると、年金資産が国民年金基金連合会に自動的に移換されることになります。
そして、日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジー株式会社が業務の委託を受けた「特定運営管理機関」として、自動移換された年金の記録・管理などを行います。
国民年金基金連合会に自動移換された場合の主なデメリットは以下のとおりです。
(1)自動移換に関連する手数料の負担が生じる
●自動移換される際の移換手数料や事務手数料として4348円
●自動移換中の管理手数料として毎月52円(自動移換から4ヶ月間、移換などの手続きがされない場合)
●自動移換後に企業型DCやiDeCoに移換する場合の手数料として3929円
自動移換された後は、それまでの投資商品はすべて売却され、現金で管理される状態となり、新たな運用指図や積み立てはできなくなるため、上記の管理手数料分だけ年金資産が少しずつ目減りしていくこととなります。
(2)自動移換の期間は加入期間に算入されない
確定拠出年金は原則、加入期間が10年以上必要で、通算で条件を満たしていれば60歳から受け取りを開始することができます。しかし、自動移換されている期間は加入期間には算入されないため、状況によっては受け取りの開始時期が遅れることもあり得ます。
まとめ
老後資金について、公的年金だけでは不足することが想定されるなど、さまざまな情報が聞かれます。放置年金が増えているという企業型DCも、老後資金の不足分を補うほか、65歳を原則とする公的年金の受給開始までのつなぎ資金となる大事な年金資産の1つです。
今回は、企業型DCの年金資産が自動移換されるデメリットを説明しましたが、正直、メリットについてはまったくありません。せっかく積み上げてきた年金資産に対して関心を持ち、転職や退職をした場合は期限内に適切に手続きを行うようにしましょう。
出典
日本経済新聞 「放置年金」5年で7割増2400億円 運用機会111万人逃す
厚生労働省 企業型年金の規約数等の推移(規約数、事業主数、企業型年金加入者数)
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー