更新日: 2022.12.07 その他年金

老後を公的年金だけで暮らしたい! 公的年金を増やす方法とは?

老後を公的年金だけで暮らしたい! 公的年金を増やす方法とは?
あなたは、老後の生活資金をどうお考えでしょうか。公的年金だけでは足りないと思い、他の手だてをお考えでしょうか。それとも公的年金だけで暮らしたいとお考えでしょうか。
 
本記事は、老後を公的年金だけで暮らしたいという方に向けて、公的年金を増やすにはどうしたらよいかについて、解説します。
中村将士

執筆者:中村将士(なかむら まさし)

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

公的年金そのものを増やすのは難しい

老後のための公的年金には、国民年金(老齢基礎年金)と厚生年金保険(老齢厚生年金)があります。国民年金は、20歳以上60歳未満の全ての方が加入する年金です。厚生年金保険は、会社員・公務員の方が加入する年金です。まずはご自身がどの年金に加入しているのかを、きちんと把握するようにしてください。
 
日本年金機構によると、令和4年4月分からの年金額(月額)は以下のとおりです。

●国民年金:6万4816円
●厚生年金:21万9593円

上記の年金額は、国民年金は「満額」、厚生年金は「夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額」です。老齢厚生年金の額は、平均標準報酬額43万9000円で40年間就業した場合の老齢基礎年金(満額)と老齢厚生年金の合計額とされています。
 
国民年金の受取金額の上限は、「満額」です。満額を受け取るためには、原則として、40年(480月)分の保険料を納付しなければなりません。満額受け取る要件を満たしていない方は、これを満たすことによって、受け取れる年金額が増えるといえますが、既に要件を満たしている方は、それ以上増えることはありません。
 
厚生年金の受取金額は、支払った保険料により増減します。しかし、これは個人の意思で変えることは難しいです。保険料は標準報酬額によって決められるからです。標準報酬額は、簡単にいえば毎月受け取る給料の額です。一般に、給料の額を個人で変えられないため、厚生年金の受取金額を単純に増やすというのも、難しいといえます。
 
したがって、将来の年金額を増やすためには、別の年金などを上乗せするというのが一般的かもしれません。例えば、付加年金、国民年金基金、小規模企業共済、確定拠出年金などです。
 

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年金の繰下げ受給を検討する

年金の受け取り時期を遅らせる(繰り下げる)ことで、公的年金の受取金額を増やすことができます(これを「年金の繰下げ受給」といいます)。原則として、65歳になれば公的年金を受け取れます。しかし、65歳になっても公的年金を受け取らず、繰り下げて受け取った場合には、その期間に応じて年金額が増加されます。
 
年金の繰下げ受給による年金の増額率は、1月当たり0.7%です。6ヶ月繰り下げれば4.2%、1年繰り下げれば8.4%増額されます。75歳まで繰り下げることができますので、増額率は最大で84%になります。
 
年金の繰下げ受給は、国民年金でも厚生年金保険でも可能です。両方を受け取れる方は、両方繰り下げることもできますし、どちらかだけを繰り下げることもできます。
 
年金の繰下げ受給は、ご自身の働き方、収入、資産状況を考慮して検討する必要があります。65歳時点で、公的年金を受け取った方がよいのかどうかが、判断基準となるでしょう。
 

まとめ

本記事では、公的年金(国民年金、厚生年金保険)を増やす方法について解説しました。65歳で公的年金を受け取ることを前提とした場合、公的年金を増やすことは難しいといえます。国民年金には上限(満額)があります。厚生年金は収入により年金額が決まります。このため、年金を増やすためには、別の年金などを上乗せすることが一般的でしょう。
 
公的年金の受取金額を増やす手段として、「年金の繰下げ受給」を紹介しました。公的年金は、原則として65歳になったら受け取れるものですが、これをあえて受け取り時期を遅らせることによって、受取金額を増やすことができます。その増額率は1月当たり0.7%です。75歳まで繰り下げることが可能です。
 
年金の繰下げ受給を検討する場合、ご自身の働き方、収入、資産状況を考慮する必要があります。65歳以降でも年金を受け取らずに生活をできるかどうかが鍵となります。これを判断するためには、資金計画を作成した方が良い場合もあります。そのようなときは、FP(ファイナンシャルプランナー)などに相談されるのもよいのではないでしょうか。
 

出典

日本年金機構 「公的年金制度の種類と加入する制度」
日本年金機構 「令和4年4月分からの年金額等について」
日本年金機構 「年金の繰下げ受給」
 
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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