「企業型確定拠出年金(DC)制度」の概要と活用のメリットについて確認
配信日: 2022.12.08
運用成績によって将来受け取れるお金が変動するため、個々人が自分に見合ったリスク商品を選ぶことが重要です。
本記事では企業型DC制度の概要、および税制面での優遇措置などについて解説します。
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執筆者:山崎和義(やまざき かずよし)
2級ファイナンシャル・プランニング技術士
企業型DCの仕組み
企業型DCは、拠出された掛け金とその運用益との合計額をもとに、将来の給付額が決まる制度で、企業に勤務する従業員が加入対象者となります。掛け金は個人ごとの専用口座に拠出し、あらかじめ用意された運用商品を個人が選ぶ仕組みです。
なお、企業による掛金限度額は以下となります。
・確定給付型の年金を実施していない場合:5万5000円/月
・確定給付型の年金を実施している場合:2万7500円/月
掛け金が確定している制度のため、退職金と違い積立不足は発生しない仕組みです。そのため、会社にとっても費用予想が容易で、将来の資金計画が定めやすくなります。
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企業の掛け金に上乗せする「マッチング拠出」
企業の掛け金だけでは将来不安だという個人のために、「マッチング拠出」という制度が設けられています。この制度は、企業が拠出する掛け金に個人が掛け金を上乗せする仕組みです。ただし、企業型DCは導入しているもののマッチング拠出の制度を導入していない会社もあるので、人事担当者などに確認してください。
なお、マッチング拠出の限度額は事業主掛金額を超えず、かつ事業主掛金額とマッチング拠出による事業主掛金額の合計が5万5000円/月(確定給付型の年金を実施している場合は2万7500円/月)の範囲内とされています。
企業型DCの税制メリット
企業型DCの大きな特徴が、個人に3つの税制上の優遇措置があることです。第1にマッチング拠出時、第2に運用時、第3に60歳以降の給付時にそれぞれ税制メリットがあります。では詳しくみていきましょう。
マッチング拠出による掛け金は全額所得控除
マッチング拠出による掛け金は、個人の給与所得から控除されるため、この控除された金額には所得税・住民税がかかりません。また、社会保険の基準報酬月額対象から除外されるため、社会保険料も削減できる効果があります。
運用益が非課税
一般の金融商品の場合、運用益(利子や配当)に対しては約20%の税金がかかります。企業型DCの場合、運用益に対する課税はありません。
受取時に一定の非課税枠あり
企業型DCで積み立ててきた年金資産は、60歳以降に年金か一時金で受け取ることになりますが、いずれの場合でも以下の税制優遇があります。
・年金として受給:公的年金等控除
・一時金として受給:退職所得控除
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公的年金だけに頼らず、計画的な資産形成を
厚生労働省は2022年1月、令和4年度の公的年金額を前年度から0.4%引き下げると発表しました。今後わが国では、さらなる少子高齢化が予想されています。現役世代はできるだけ若いうちから老後に向けた資産形成を図る必要があります。
企業型DCは、政府の後押しのもと大きな税務上のメリットを受けられる資産形成手法です。この機会に、自分が勤務する会社が企業型DCを導入しているかどうか、確認してみてはいかがでしょうか。
出典
厚生労働省 確定拠出年金制度の概要
厚生労働省 Press Release(令和4年1月21日)
執筆者:山崎和義
2級ファイナンシャル・プランニング技術士