更新日: 2022.12.12 その他年金

遺族年金って誰でも受け取れるの? 「遺族の優先順位」ってある?

遺族年金って誰でも受け取れるの? 「遺族の優先順位」ってある?
遺族年金について、詳しくご存じでしょうか。遺族年金には受け取れる方の範囲や優先順位が定められています。今回は受給するための要件をはじめ、遺族年金について多くの方が気になっているであろうことを解説していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

遺族年金の種類

遺族年金とは、国民年金や厚生年金に加入していた方が亡くなったとき、その方に生計を維持されていた遺族が受け取ることのできる年金です。遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金とがあり、遺族がどれを受け取ることができるのかは、亡くなった方が加入していた年金によって変わります。
 
国民年金に加入していた場合は遺族基礎年金が、厚生年金に加入していた場合は遺族基礎年金に加え遺族厚生年金が上乗せされて遺族に支給されます。
 

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遺族年金を受け取れる方の範囲

遺族年金を受け取れるのは、亡くなった方に扶養されていた遺族なら誰でもいいわけではなく、範囲が明確に決まっています。遺族基礎年金の場合、受け取れるのは子のある配偶者または子に限られています。それに対して遺族厚生年金の場合、受け取れるのは妻や子、父母、祖父母、孫とかなり広い範囲に属する方が該当します。
 
ここでいう子と孫とは、18歳になってから最初の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方を指します。
 
遺族厚生年金における妻に関しては、子がおらず、かつ、30歳未満の場合は5年間のみの受給と定められています。また、遺族厚生年金における夫や父母、祖父母の場合、生計を維持していた方が亡くなった時点で、受給者が55歳以上でなければ対象となりません。
 

優先順位は?

遺族年金には優先順位が決まっています。該当者全員が受け取れたり、自由に当事者間で誰が受け取るか決められたりするわけではありません。遺族基礎年金の場合、「子のある配偶者」または「子」が受け取ることができます。
 
それに対して遺族厚生年金は、「子のある妻」「子のある55歳以上の夫」「子」から始まり「子のない妻」「子のない55歳以上の夫」、次に「55歳以上の父母」といった具合に、亡くなった方との関係性が近く、保護の必要性が高い人から優先して受給できるようになっています。
 

※「子のある妻」または「子のある55歳以上の夫」が遺族厚生年金を受け取っている間は、子に遺族厚生年金は支給されない。
出典:日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額) 「遺族厚生年金の受給対象者」
 
例えば、亡くなった方に妻と子、父母が扶養されていたとして、遺族厚生年金を受け取れるのは妻ということになります。
 

受給要件についても注意

亡くなった方の年金保険料が未納となっていた場合、遺族に遺族年金が支給されないことがあります。
 
例えば、亡くなった方が65歳未満の場合、死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納があると、遺族年金は支給されません(死亡日が令和8年3月末日までのとき)。
 
また、老齢基礎年金または老齢厚生年金の受給権者である方や受給資格を満たす方が亡くなった場合、保険料納付済み期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上なければ、遺族年金は支給されません。
 
このように、遺族年金には年金保険料の支払い状況に関連する受給要件があります。いざというときに支給されないということがないよう、遺族年金の受給要件については必ず確認しておきましょう。
 

遺族年金については受け取れる方の範囲と優先順位を確認しましょう

遺族年金は受け取れる方の範囲と優先順位が明確に決まっています。また、亡くなった方の保険料が未納であった場合などは、本来支給対象となるはずだった方に遺族年金が支給されないこともあります。万が一に備えたいと考える際は、遺族年金の対象者や優先順位、保険料の状況などを確認しておくと、より効果的に準備を進めることができるでしょう。
 

出典

日本年金機構 遺族年金
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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