再婚しました。前の夫の「遺族年金」は継続して受け取れますか?
配信日: 2022.12.15
執筆者:渡辺あい(わたなべ あい)
ファイナンシャルプランナー2級
遺族年金とは
遺族年金には基礎年金の「遺族基礎年金」と会社員や公務員が加入している厚生年金の「遺族厚生年金」の2種類があります。遺族基礎年金と遺族厚生年金はいわゆる2階建ての構造をしていて、遺族基礎年金が1階部分で遺族厚生年金が2階建て部分になっています。つまり、遺族厚生年金に加入している人は、1階部分である国民年金を含めて両方の年金制度に加入しているということになります。
【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資
【PR】J.P.Returns
おすすめポイント
・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる
遺族年金の受給要件
遺族基礎年金は亡くなった人に生計を維持されていた「18歳未満の子のある配偶者」と「その子」が受給対象になります。つまり18歳未満の子を養育する子育て世代でなければ遺族基礎年金は支給されません(子が障害等級1級・2級の場合は20歳未満)。
一方遺族厚生年金の場合は、死亡した人に生計を維持されていた一定の遺族に受給権があります。配偶者の場合は子どもの有無にかかわらず、生計を共にしていれば支給されるということです。ただしいずれの場合も年金の加入期間の3分の2以上、保険料の納付または免除期間があることが条件となりますので注意が必要です。
再婚すると遺族年金は停止される
亡くなった方によって生計を維持されていた人が受け取ることのできる遺族年金ですが、新たなパートナーと再婚して新しい家庭を築いていく場合は、遺族基礎年金と遺族厚生年金、両方の受給が停止されます。これを「受給権消滅事由」といいます。再婚による受給の停止要件は法律婚のみでなく、事実婚でも生計を共にするパートナーがいる場合は同様に適用されます。
再婚後、子どもの遺族年金はどうなる?
遺族年金を受給できるのは配偶者だけではなく、子にもその権利があります。子は親の再婚に関わらず遺族年金を受け取ることが可能です。しかし、子のすべてに受給資格があるわけではなく、受給には一定の要件が必要となります。
●18歳になった年度の3月31日までの間、あるいは20歳未満で障害等級1級または2級の状態にあること
●婚姻していないこと
●父母と生計を同じくしていないこと(遺族基礎年金の場合)
これらの条件をすべて満たした場合、子は遺族年金を受け取ることができるのです。
また、親が再婚すると、再婚相手と子が養子縁組することもあります。原則として養子縁組をした場合は、遺族年金の受給資格を失います。
しかし、直系血族や直系姻族との養子縁組は遺族年金の受給停止の要件とはなりません。直系血族とは、祖父母や父母、子や孫のことをいい、直系姻族とは、婚姻によって結ばれた家族関係のうち自分の直系血族でない人や直系血族の配偶者のことを指します。つまり、親の再婚相手は直系姻族に当たるため、その養子となる場合は引き続き遺族年金を受給できるのです。
ただし、親や再婚相手と生計を共にしている場合は遺族基礎年金の受給権は消滅してしまいます。よって、親の再婚相手と養子縁組をし、かつ生計を共にしている場合でも受給できる遺族年金は、遺族厚生年金のみということになります。
再婚による受給権消滅は憂うべきことではない
家族の万が一を支えてくれる遺族年金ですが、再婚によって配偶者の受給資格が失われることになります。「遺族年金を受け取れなくなるから」と再婚をためらう人もいるかもしれません。しかし、新たなパートナーとの出会いは今後の未来を明るくしてくれるものになるでしょう。遺族年金の有無にとらわれず、あなたにとって最良の未来を選択してみてください。
出典
日本年金機構 遺族年金
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族年金を受けている方が結婚や養子縁組などをしたとき
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級