更新日: 2022.12.16 その他年金

65歳以上の年上妻は受け取れない? 加給年金とは?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 高橋庸夫

65歳以上の年上妻は受け取れない? 加給年金とは?
厚生年金保険加入者に生計を維持されている配偶者、または子どもがいる場合、一定の要件を満たしていれば、年金額に加給年金が上乗せされます。つまり、本来の年金額より多くの金額を受け取れるため、老後資金に余裕が生まれます。
 
しかし、加給年金を受けるためには年金受給者と配偶者、子どもがいくつかの条件をクリアしなくてはいけません。
 
例えば妻が年上で65歳以上の場合は、加給年金の対象になるのでしょうか?
 
ここでは、加給年金や振替加算の条件、対象者について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

加給年金とは

加給年金とは、厚生年金に20年以上加入している方が65歳になったときに、その方に生計を維持されている配偶者や子どもがいる場合、厚生年金に加算されるものです。
 
加給年金を受給するには、受給者や配偶者、子どもが要件を満たしておくことが必要です。また、加給年金額は、配偶者や子どもなど対象者で異なります。
 

加給年金の受給条件

加給年金の受給条件は、以下のとおりです。
 

■年金受給者の主な条件

●厚生年金保険の被保険者期間が20年以上
●生計を維持している配偶者もしくは子どもがいる

 

■配偶者や子どもの主な条件

●配偶者が65歳未満であること
●配偶者が老齢厚生年金[被保険者期間が20年以上または共済組合等の加入期間を除いた期間が35歳(女性の場合は35歳)以降15年以上の場合に限る]、退職共済年金(組合員期間20年以上)を受け取る権利を持っていないこと
●配偶者が障害年金を受給していないこと
●子どもが18歳到達年度の末日までであること
●1級・2級の障害状態にある子どもは20歳未満であること

 
年齢条件に該当しなくなった場合や、離婚や死亡などで生計の維持ができなくなった場合は、加給年金は終了となります。
 
生計を維持されている配偶者の年齢は「65歳未満」である必要があるため、生計を維持されている配偶者がすでに65歳以上の場合は加給年金を受け取れません。
 

加給年金額

加給年金額は、図表1のとおりです。
 
【図表1】
 

対象者 加給年金額(年額) 年齢制限
配偶者 22万3800円 65歳未満。
※大正15年4月1日以前生まれの方は年齢制限がありません。
1〜2人目の子ども 各22万3800円 18歳到達年度の末日まで。
障害状態(1級・2級)にある子どもは20歳未満。
3人目以降の子ども 各7万4600円 18歳到達年度の末日まで。
障害状態(1級・2級)にある子どもは20歳未満。

 
配偶者の加給年金には、厚生年金の受給者の生年月日に応じた特別加算が上乗せされます。特別加算額は、図表2のとおりです。
 
【図表2】
 

受給者の生年月日 特別加算額(年額) 加給年金額+特別加算額
昭和9年4月2日~
昭和15年4月1日
3万3100円 25万6900円
昭和15年4月2日~
昭和16年4月1日
6万6000円 28万9800円
昭和16年4月2日~
昭和17年4月1日
9万9100円 32万2900円
昭和17年4月2日~
昭和18年4月1日
13万2100円 35万5900円
昭和18年4月2日以後 16万5100円 38万8900円

 
※令和4年4月からの場合
 
図表2のとおり、配偶者加給年金額として最大38万8900円を受け取れます。
 

振替加算とは

加給年金の対象者の配偶者が65歳になると、加給年金が打ち切られてしまいます。その際に一定の基準を満たした場合、加給年金の代わりに配偶者の老齢基礎年金額に上乗せされるのが、振替加算です。
 
振替加算額は配偶者の生年月日に応じて決まり、月額1249円〜1万8650円、年額1万4995円〜22万3800円です。
 

振替加算の対象者

振替加算の対象となるのは、加給年金の対象である配偶者が65歳になったときに老齢基礎年金を受給する資格を得た上で、次の条件を満たす場合です。
 

●大正15年4月2日から昭和41年4月1日の間に生まれている
●配偶者と受給者本人が老齢基礎年金のほかに老齢厚生年金や退職共済年金を受給している場合は、厚生年金保険と共済組合等の加入期間が合わせて240月未満
●妻の厚生年金保険の35歳(夫は40歳)以降の加入期間が、図表3の期間未満であること(共済組合等の加入期間を除く)

 
【図表3】
 

生年月日 加入期間
昭和22年4月1日以前 180月(15年)
昭和23年4月2日から昭和24年4月1日 192月(16年)
昭和24年4月2日から昭和25年4月1日 204月(17年)
昭和24年4月2日から昭和25年4月1日 216月(18年)
昭和25年4月2日から昭和26年4月1日 228月(19年)

 

65歳以上の年上妻は加給年金を受け取れない

加給年金の対象者となる配偶者の受給要件の1つは、65歳到達時点で厚生年金の被保険者期間が20年以上ある年金受給者に生計を維持されている、65歳未満の配偶者です。そのため、夫が65歳到達時点で妻の年齢が65歳以上の場合は、加給年金の対象にはなりません。
 
ただし、対象となる子どもがいる場合は、夫の年金額に加給年金が上乗せされる場合があります(※一定の条件あり)。
 
また、振替加算は加給年金の対象者だった配偶者が65歳以上になった場合に上乗せされる金額であり、加給年金の対象外だった配偶者は振替加算の対象にもなりません。
 
このように、夫が被保険者で、配偶者の妻が年上で65歳以上の場合は、加給年金や振替加算が受け取れないことを覚えておきましょう。
 

出典

日本年金機構 加給年金額と振替加算

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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