更新日: 2022.12.16 その他年金

年金の「受給権」が消滅する場合があるってホント? 条件を確認

年金の「受給権」が消滅する場合があるってホント? 条件を確認
年金を受給する権利は、受給権者が死亡した場合など、受給要件を満たさなくなったときには消滅します。
 
今回は、年金の種類ごとに受給権が消滅するケースについて説明します。
辻章嗣

執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)

ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/

老齢年金の受給権が消滅するケース

1. 老齢基礎年金の受給権の消滅

老齢基礎年金の受給権は、受給権者が死亡したときに消滅します(国民年金法第29条)(※1)。
 

2. 老齢厚生年金の受給権の消滅

老齢厚生年金の受給権は、受給権者が死亡したときに消滅します(厚生年金保険法第45条)(※2)。
 

障害年金の受給権が消滅するケース

1. 障害基礎年金の受給権の消滅

障害基礎年金の受給権は、以下のいずれかに該当するに至った場合は消滅します(国民年金法第35条)。

(1)受給権者が死亡したとき
 
(2)障害等級(※3)に該当する障害の状態にない者が65歳に到達したとき(ただし、障害等級に該当する状態にあった者が、その状態に該当しなくなった日から3年を経過していないときを除く)て、障害等級の状態に該当することなく3年を経過したとき(ただし、3年を経過した日において当該受給権者が65歳未満であるときを除く)
 
(3)障害等級に該当する障害の状態にあった者が、その状態に該当しなくなった日から起算して、障害等級の状態に該当することなく3年を経過したとき(ただし、3年を経過した日において当該受給権者が65歳未満であるときを除く)

なお、障害等級2級の障害基礎年金を受給していた方が、さらに障害を負い、2つの障害を合わせて1級の障害基礎年金を受給することになった場合は、2級の障害基礎年金の受給権は消滅します(国民年金法第31条第2項)。
 

2. 障害厚生年金の受給権の消滅

障害厚生年金の受給権は、以下のいずれかに該当するに至った場合は消滅します(厚生年金法第53条)。

(1)受給権者が死亡したとき
 
(2)障害等級(※3)に該当する障害の状態にない者が65歳に到達したとき(ただし、障害等級に該当する状態にあった者が、その状態に該当しなくなった日から3年を経過していないときを除く)
 
(3)障害等級に該当する障害の状態にあった者が、その状態に該当なくなった日から起算して、障害等級の状態に該当することなく3年を経過したとき(ただし、3年を経過した日において当該受給権者が65歳未満であるときを除く)

なお、障害厚生年金を受給していた方が、さらに障害を負い、2つの障害を合わせて上級の障害厚生年金を受給することになった場合は、従前の障害厚生年金の受給権は消滅します(厚生年金保険法第48条第2項)。
 

遺族年金の受給権が消滅するケース

1. 遺族基礎年金の受給権の消滅

遺族基礎年金は、亡くなった方に生計を維持されていた子のある配偶者、および子に受給権がありますが、以下のいずれかに該当するに至った場合は消滅します(国民年金法第40条)。

(1)配偶者の受給権の消滅

・死亡したとき
・婚姻したとき
・養子となったとき(直系血族または直系姻族の養子となったときを除く)
・遺族基礎年金の受給要件の対象となるすべての子の受給権が消滅したとき

(2)子の受給権の消滅

・18歳に達した日以後、最初の3月31日が終了したとき ・死亡したとき
・婚姻したとき
・養子となったとき(直系血族または直系姻族の養子となったときを除く)
・離縁により、死亡した被保険者または被保険者であった者の子でなくなったとき

なお、一定の要件を満たす子のない妻に支給される寡婦年金の受給権は、上記の配偶者の要件に加え、妻が65歳に到達した時点で消滅します(国民年金法第51条)。
 

2. 遺族厚生年金の受給権の消滅

遺族厚生年金は、被保険者が死亡したときに生計を維持されていた遺族のうち、配偶者、子、父母、孫または祖父母が受給対象者となり、優先順位に従い受給権を得ます。ただし、妻を除いて以下の要件を満たす場合に限ります。

(1)夫、父母または祖父母は55歳以上であること
 
(2)子または孫は18歳に達した日以後の最初の3月31日までにあり(または20歳未満で障害等級1級・2級の状態にある方)、婚姻をしていないこと

遺族厚生年金の受給権は、以下のいずれかに該当するに至った場合は消滅します(厚生年金保険法第63条)。
 
<共通>
(1)死亡したとき
(2)婚姻(事実婚を含む)したとき
(3)直系血族および直系姻族以外の者の養子(事実上の養子縁組を含む)となったとき
(4)離縁により、死亡した被保険者または被保険者であった者との親族関係が終了したとき
 
<妻の受給権の消滅>
遺族厚生年金の受給権を取得した時点で、30歳未満の子のない妻に対する遺族厚生年金の受給権は、受給開始から5年を経過したときに消滅します。
 
また、厚生年金の受給権を取得した時点で遺族基礎年金の対象となる子があった妻が、30歳に達する前に子を亡くし、遺族基礎年金の受給権を消失した場合は、その時点から5年を経過したときに受給権は消滅します。
 
<子または孫の受給権の消滅>
18歳に達した日以後、最初の3月31日が終了したとき(障害等級1級・2級に該当する障害の状態にある方は20歳に達したとき)に受給権は消滅します。
 
<父母、孫または祖父母の受給権の消滅>
父母、孫または祖父母の遺族厚生年金の受給権は、被保険者または被保険者であった者の死亡当時、胎児であった子が出生したときは消滅します。
 

まとめ

年金の受給権は、受給権者が死亡した場合や、子が18歳の年度末に到達した場合など、老齢・障害・遺族年金ごとに定められた条件により消滅します。
 
なお、年金を受けている方が亡くなったときに、まだ受け取っていない分は未支給年金として、その方と生計を同じくしていた遺族が請求手続きを行うことにより受け取れます(※4)。
 

出典

(※1)e-GOV法令検索 国民年金法
(※2)e-GOV法令検索 厚生年金保険法
(※3)日本年金機構 障害等級表
(※4)日本年金機構 年金を受けている方が亡くなったとき
 
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

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