更新日: 2022.12.20 国民年金
手取り17万新卒社会人です。「奨学金」と「学生時代の年金」の支払いがつらいです…無理のない返還のためにどうすれば良いですか?
この記事では、大学新卒で都内在住社会人の経済状況を想定しながら、奨学金の返還や学生のときに猶予された年金の扱いについて考えていきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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大学新卒で都内在住社会人の経済状況
厚生労働省が発表している令和3年賃金構造基本統計調査によれば、新規学卒者の賃金は短大卒で19万9800円、大学卒で22万5400円、大学院卒で25万3500円となっています。諸経費や税金などが引かれると、諸手当がなければ大学卒なら手取り17万円程度と考えられます。もし、社員寮などに入らず都内で1人暮らしをしていれば、家賃負担が発生します。
例えば、中野エリアの1LDKの賃貸マンションであれば、最も手頃な家賃でも月額10万円程度は必要です。そうなると、食費などを1日2000円程度の出費に抑えたとしても、奨学金や年金に充当できる経済的余裕はほとんどないと考えてよいでしょう。
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奨学金の返還猶予制度
2019年3月に発表された、奨学金や教育費負担に関する労働者福祉中央協議会の調査によれば、奨学金の借入額の平均は324万3000円で、総額が500万円以上の割合が12.4%に達しています。毎月の返還額でみても、平均1万6880円となっており、中には毎月3万5000円以上返還しているケースもあります。
例に挙げた都内在住の大学新卒で手取り17万円のケースでは、この平均額1万6880円であっても、ボーナスなどがなければかなり厳しくなるでしょう。
日本学生支援機構では、奨学金返還が困難な事情があれば、返還期限の猶予申請を受け付けています。災害、傷病、失業などの理由とともに、経済困難でも申請可能です。
給与所得者の場合、税込みの年間収入金額が300万円以下で、審査に通れば最長10年まで返還猶予が受けられます。新卒時の給与水準では返還が難しければ、将来的に収入が安定してから払うという選択肢があるのです。また、減額返還制度もあるので、経済事情に合わせて柔軟な返還計画が立てられます。
年金の学生納付特例制度
日本国内に住むすべての居住者は、20歳になった時点で国民年金の被保険者となります。このとき、保険料の納付義務が生じるのですが、特定の収入条件を満たす学生であれば、在学中の納付が猶予されるのです。これが「学生納付特例制度」です。免除ではなく、あくまでも猶予なので追納が可能です。
この制度では10年間さかのぼって納めることができるので、将来受け取る年金額の増額を希望するのであれば、追納したほうがよいでしょう。例に挙げた手取り17万円のケースでは余裕がないかもしれませんが、将来的に給与額が増えたり、ボーナスが出たりしたときに無理のない金額で随時補填(ほてん)しておく方法が考えられます。
余裕ができてから返還・納付する選択もあり
奨学金の返還や年金の納付は重要ですが、まずは自らの健康的な生活の維持を優先したほうがよいでしょう。無駄な出費を抑えることを前提にしたとしても、返還や納付する余裕がない収入レベルであれば、ひとまず猶予を申請してみるのも選択肢の一つです。経済的余裕が出てから、改めて対応できる制度があるので、条件が合えば利用してみましょう。
出典
厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査
労働者福祉中央協議会 奨学金や教育費負担に関するアンケート調査(2019年3月)
日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
日本学生支援機構 返還を待ってもらう(返還期限猶予)
日本学生支援機構 経済困難(一般猶予の申請事由)
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部