更新日: 2022.12.23 その他年金

年金だけじゃ足りない……。そんなときは「年金生活者支援給付金」を上乗せできる?

執筆者 : 柘植輝

年金だけじゃ足りない……。そんなときは「年金生活者支援給付金」を上乗せできる?
公的年金などによる収入だけでは生活費が足りないという場合、年金に上乗せして年金生活者支援給付金が支給されるケースがあります。
 
年金生活者支援給付金とはどのような制度なのか、どういった方が対象となるのか解説していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

年金生活者支援給付金とは


 
年金生活者支援給付金とは、年金収入や他の所得が低い年金受給者の生活を支援するための給付金です。公的年金と同様に2ヶ月ごとに支給されますが、受給している年金によって次の3種類があります。

●老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金
●障害年金生活者支援給付金
●遺族年金生活者支援給付金

支給要件や金額はそれぞれの給付金で異なり、生活が苦しいという理由だけで受けられるものではないため、自身が対象となる給付金について要件などを確認することが必要です。以下、給付金ごとに概要を説明していきます。
 

老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金

老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金は、老齢基礎年金を受けており、前年の年金収入と他の所得が一定の基準額以下の方に支給されます。支給対象となるには、下記の要件をすべて満たす必要があります。

●65歳以上で老齢基礎年金を受給中である
●世帯全員の市町村民税が非課税である
●前年の年金収入額と、その他の所得額の合計が88万1200円以下である

1ヶ月当たりの給付額(令和4年4月以降)は、国民年金の保険料納付済み期間などによって下記の計算式で算出される金額の合計です。

(1)5020円×保険料納付済み期間÷480月
(2)1万802円(保険料4分の1免除期間は5401円)×保険料免除期間÷480月

例えば、保険料納付済み期間が420ヶ月で、免除期間が0ヶ月の場合、給付額は4393円(月額)となります。
 

障害年金生活者支援給付金

障害基礎年金を受けている方で、前年の所得が基準額以下の場合は障害年金生活者支援給付金が支給されます。下記の要件のすべてに該当している方が支給の対象です。

●障害基礎年金を受給中である
●前年の所得額が、472万1000円+扶養親族の数×38万円(同一生計配偶者が70歳以上または老人扶養親族の場合は48万円、特定扶養親族または16歳以上19歳未満の扶養親族の場合は63万円)以下である

給付額は、障害等級1級の方は月額6275円、2級の方では月額5020円となります。
 

遺族年金生活者支援給付金

遺族基礎年金の受給者で、以下の要件をすべて満たしている方は、遺族年金生活者支援給付金の支給対象となります。

●遺族基礎年金を受給中である
●前年の所得額が、472万1000円+扶養親族の数×38万円(同一生計配偶者が70歳以上または老人扶養親族の場合は48万円、特定扶養親族または16歳以上19歳未満の扶養親族の場合は63万円)以下である

給付額は月額5020円ですが、2人以上の子が遺族基礎年金を受給している場合、5020円を子の数で割った金額がそれぞれに支給されます。例えば3人の子が遺族基礎年金を受給しているケースでは、1人当たりの給付額は月額1673円となります。
 

年金生活者支援給付金を受け取るには?

すでに老齢・障害・遺族基礎年金を受給中の方が、新たに年金生活者支援給付金の支給対象に該当した場合、毎年9月頃から順次、日本年金機構より年金生活者支援給付金請求書が送られてきます。この請求書に必要事項を記入して返送し、年金生活者支援給付金の請求手続きを行います。
 
世帯人数の変更や税額の更正などによって支給対象に該当するようになった場合は、自身で年金事務所へ認定請求の手続きが必要です。
 
また、これからそれぞれの年金の受給が始まる方で、年金生活者支援給付金の支給要件に該当する場合、年金の裁定請求手続きと一緒に給付金の認定請求の手続きを行います。
 
手続きの詳細については、最寄りの年金事務所などへご相談ください。
 

年金だけでは生活できない場合、年金生活者支援給付金を受け取れることもある

公的年金を受給中、またはこれから受給する方は、年金収入や所得について一定の要件を満たすことで、年金生活者支援給付金を受けられます。
 
支給対象に該当する場合に手続きを忘れて請求が遅れてしまうと、年金生活者支援給付金が支給されるタイミングも遅くなるので注意してください。
 

出典

日本年金機構 老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要
日本年金機構 障害年金生活者支援給付金の概要
日本年金機構 遺族年金生活者支援給付金の概要
 
執筆者:柘植輝
行政書士

ライターさん募集