更新日: 2022.12.26 その他年金
【図表で解説】「60歳」から年金を受け取ると「65歳」と比べて何歳で「損」をする? 注意点も解説
そこで本記事では、60歳から年金を受け取ると、65歳から受け取る場合と比べて何歳で損をするのかについて解説していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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60歳から受け取ることも可能
年金の繰上げ受給制度を利用すると60歳から65歳までの間に年金を受け取ることもできます。繰り上げることができるのは、振替加算を除いた老齢基礎年金と加給年金を除いた老齢厚生年金です。65歳よりも早く年金を受け取れますが、受け取る時期が早いほど大きく減額されます。
繰上げ受給の注意点
繰上げ受給は65歳よりも早く受け取れるというメリットがありますが、注意点もあります。
まず、繰上げ受給によって確定した年金額は原則として生涯変わりません。そのため、受け取る年金額の累計は65歳から受け取る人と比べて、徐々に差が縮まっていき、やがて65歳から受け取る人の方が上回ってしまい、さらに長生きするほど差が拡大していくことになります。また、繰上げ受給は途中で取り消せないので、繰上げ受給を選択する際は慎重に決めましょう。
老齢基礎年金と老齢厚生年金を両方受け取る権利がある場合、どちらか片方のみを繰り上げることはできません。繰下げ受給については別々に繰下げることができますが、繰上げ受給については異なるので注意してください。
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年金額はいくらになる?
年金を繰り上げると、「0.5%もしくは0.4%×繰上げ請求してから65歳になる前月までの月数」という計算式で表される減額率が適用されます。1962年4月1日よりも以前に生まれた人は0.5%、それ以降に生まれた人は0.4%です。そのため、0.5%の場合は60歳0ヶ月から受給すると30%、0.4%の場合に60歳0ヶ月から受給すると24%減額されます。
60歳から年金を受け取ると、65歳から受け取る場合と比べて何歳で損をする?
繰上げ受給をした場合、何歳ごろから65歳で受給開始した場合を下回ってしまうのでしょうか?
厚生労働省の「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」の平均年金額14万6145円の年額分175万3740円を基準として、2022年5月で60歳になった人を例として計算していきます。2022年5月時点で60歳になった人は1962年4月1日以降生まれなので0.4%を乗じて計算します(円未満四捨五入)。
60歳0ヶ月から繰上げ受給をした場合と65歳から受給を開始した場合とを比較して累計額がどのようになっているかを、図表1で確認しましょう。
図表1
筆者作成
図表1のように計算すると、60歳0ヶ月から繰上げ受給をした場合は、80歳頃に65歳で受給する場合を下回ることがわかりました。80歳以上長生きする人が繰上げ受給を選択すると、損をしてしまうことになります。
日本の平均寿命は延びていますが、いつ何が起こるかがわからないのが人生です。そのため、早めに年金を受給したいと考えている人は、繰上げ受給を検討することも選択肢の一つかもしれません。繰上げ受給を検討する場合は、80歳頃で65歳から受給する場合を下回ることを参考にしてください。
繰上げ受給を検討する場合は慎重に
本記事では、60歳から年金を受け取ると、65歳から受け取る場合と比べて何歳で損をするのかについて解説してきました。繰上げ受給は早く年金を受け取ることができますが、受給が始まると修正することができません。注意点もあるので、繰上げ制度の利用は慎重にしましょう。ご自身の老後の将来設計について参考にしてください。
出典
日本年金機構 年金の繰上げ受給
厚生労働省 令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部