「離婚予定」だけど生活費が不安…年金の「合意分割制度」でもらえるのは何割程度ですか?
配信日: 2022.12.28 更新日: 2023.01.04
そこで、この記事では、離婚などをした後の年金の受取について決める合意分割制度の内容や手続きについてわかりやすく解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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そもそも合意分割制度とは?
合意分割制度は、標準報酬月額や標準賞与額といった厚生年金の婚姻中の記録を、離婚などをした後も、夫婦だった当事者間で分割できる制度です。婚姻期間の夫婦間の収入差が大きかった場合、合意分割制度を利用すると、収入が少なかったほうの人は将来受け取れる年金を制度を利用しなかったときと比べて増額できます。
そもそも、年金分割には「合意分割」と「3号分割」の2種類の制度があり、合意分割は年金を分割するのに夫婦だった当事者双方の合意が必要です。
一方、3号分割は相手の合意がなくても年金分割の請求ができます。また、年金分割は、厚生年金の記録のみ分割できる制度です。国民年金や私的年金に対する記録は対象外となっているため注意しましょう。さらに、2007年4月1日に施行された制度であるため、制度を利用できるのは2007年4月1日以降に離婚しているケースに限ります。
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年金を分割する割合はどのように決める?
按分割合は基本的には当事者間の話し合いによって決定しますが、話し合いで決められない場合には、当事者のいずれかが裁判所に申し立てをし、手続きを行って決めることもできます。ただし、夫婦の合意があっても裁判所を通して決める場合であっても、按分割合は50%が上限です。
ちなみに、按分割合とは、夫婦だった当事者2人の対象期間標準報酬総額の合計額を合意分割制度により分割した後、分割を受ける人の持ち分の割合を意味します。また、対象期間標準報酬総額とは、年金分割を行う期間の厚生年金保険料納付記録を現在価値に計算し直した額の合計です。
合意分割の手続きの流れ
合意分割の手続きには、按分割合を決めるために標準報酬月額や標準賞与額などの正確な情報が必要です。そのため、まずは、情報通知書の請求を行わなければなりません。情報通知書の請求は当事者2人でも1人でもできますが、年金分割のための情報提供請求書、請求者の基礎年金番号またはマイナンバーがわかる書類、婚姻期間などがわかる書類の提出が求められます。
ちなみに、婚姻期間などがわかる書類とは請求日から6ヶ月以内に交付された、婚姻日や離婚日の確認ができる戸籍謄本(全部事項証明書)あるいは戸籍抄本(個人事項証明書)です。
婚姻期間に事実婚関係にあった期間が含まれている場合には、事実婚関係があったことがわかる住民票などの書類の提出も併せて求められます。情報通知書の請求は離婚前でも離婚後でもできますが、離婚などをした日の翌日から2年以内という期限があるため気をつけましょう。
年金事務所から情報通知書が届いたら次は当事者間で話し合いです。年金分割を行うことや按分割合について双方が合意したら年金事務所に合意分割の請求手続きを行い、合意できなかったら家庭裁判所に申し立てをします。
合意分割の請求を行う際には、標準報酬改定請求書のほか、請求者の基礎年金番号またはマイナンバーがわかる書類、婚姻期間などがわかる書類、請求日前1ヶ月以内に当事者2人が生存していることを証明する書類が必要です。
さらに、話し合いで決めた場合には年金分割の合意書といった年金分割の割合を証明する書類も、裁判所を通して決めた場合には審判書や調停調書の謄本や抄本などの書類も併せて必要となります。請求が受け入れられると年金事務所から「標準報酬改定通知書」が届き、手続きは終了です。
離婚後の生活で苦しまないためにも対象者は合意分割制度を上手に利用しよう!
離婚をする際には、住所変更や世帯主変更、社会保険の変更など、さまざまな手続きを行わなければなりません。忙しくしていると先のことまで考えられないこともあるでしょう。しかし、人生は長く続きます。その後の生活が苦しくならないようにするために、年金についてもしっかり考えておくことは重要です。
婚姻期間中に収入が少なかった人は、特に離婚後の生活費が不安なものです。老後に備えて、合意分割制度の仕組みや手続きの方法を把握しておき、上手に利用するとよいでしょう。
出典
日本年金機構 離婚時の年金分割
厚生労働省 第3号被保険者期間についての厚生年金の分割(3号分割)(平成20年4月施行)
日本年金機構 Q.按分割合は、どのようにして定められるのですか。
日本年金機構 Q.当事者間で分割される標準報酬とは何ですか。
日本年金機構 離婚時の年金分割について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部