年金って老齢年金だけじゃないの? いまさら聞けない公的年金について解説

配信日: 2023.01.11

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年金って老齢年金だけじゃないの? いまさら聞けない公的年金について解説
「年金」と聞くとまず、65歳以降に受け取ることができる「老齢年金」というイメージが浮かぶのではないでしょうか?
 
しかし年金制度は老齢年金だけではなく、私たちのさまざまな「万が一」を支えてくれるものなのです。ここではいまさら聞けない年金制度の基礎について、分かりやすく説明します。
 
渡辺あい

執筆者:渡辺あい(わたなべ あい)

ファイナンシャルプランナー2級

公的年金は3種類で2階建て構造

まず公的年金には、「老齢年金」「遺族年金」「障害年金」の3種類があります。これらの年金には、それぞれ国民年金と厚生年金の2種類ずつあります。
 
国民年金は20歳以上60歳未満の国民がすべて加入しているもので、厚生年金の加入者は会社員や公務員です。厚生年金は国民年金に上乗せされる、いわば2階建ての構造となっています。
 
国民年金のみに加入している人は1階建て部分の老齢基礎年金、遺族基礎年金、障害基礎年金を受給でき、厚生年金に加入している人は1階部分の基礎年金に加えて、2階建て部分の老齢厚生年金、遺族厚生年金、障害厚生年金を受給できます。
 
つまり、厚生年金に加入している人の方が、各種年金の受け取りに関して手厚い保障を受けられるというわけです。もちろんこれらの年金にはそれぞれ特徴や受取要件があります。次の章で詳しくみていきましょう。
 

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老齢年金

老齢年金は国民の老後を支える年金制度です。老齢基礎年金の対象者には1号から3号まで分かれており、図表1のように区分けされます。
 
【図表1】

被保険者 第1号 第2号 第3号
対象者 自営業者
学生など
会社員
公務員
第2号に扶養されている
配偶者

出典:日本年金機構 老齢年金より筆者作成
 
国民年金は原則として次の要件を満たすと受給資格が得られます。

・保険料納付済み期間+保険料免除期間+合算対象期間≧10年
・65歳以上であること

 
一方、老齢厚生年金は、国民年金に上乗せして加入する年金制度で、民間企業に勤める会社員や公務員が加入しています。
 
つまり老齢基礎年金の第2号にあたる人たちは、老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方に加入しているということです。また、厚生年金の保険料は労使折半といい、半分を事業者が負担してくれることになっています。
 
老齢厚生年金の受給には、原則として次の要件が必要です。

・老齢基礎年金の受給要件を満たしていること
・65歳以上であること
・1ヶ月以上の厚生年金の被保険者期間がある

老齢年金の受給のしかたは複数あり、それによって受給要件は異なりますが、原則としては以上の要件が必要であることを覚えておきましょう。
 

障害年金

障害年金は病気やケガが原因で障害者となったときに支給される年金です。障害年金も国民年金と厚生年金の2階建て構造です。また障害の程度によって級数が設定され、家族構成によって支給額の加算もあります。障害年金の全体像は図表2のようになっています。
 
【図表2】

厚生年金 障害厚生年金 1級
配偶者の加算
2級
配偶者の加算
3級 障害手当金
国民年金 障害基礎年金 1級
子の加算
2級
子の加算

出典:日本年金機構 障害年金より筆者作成
 
このように、障害基礎年金の場合は1級と2級に分けられ、子の加算がされます。一方、障害厚生年金の場合は1級から3級に分けられ、1級と2級には配偶者加算がされます。
 
また厚生年金加入者の場合、障害が軽度の場合は障害厚生年金は支給されませんが、代わりに障害手当金が支給される仕組みとなっています。
 
障害基礎年金も障害厚生年金も、保険料の納付期間と免除期間の合計が全体の3分の2以上あることが、支給の条件となっています。
 

遺族年金

遺族年金は年金の加入者である被保険者が亡くなった場合に、残された家族を支える年金制度です。遺族年金のうち、遺族基礎年金は亡くなった方に生計を維持されていた子のある配偶者、または子に支給されます。そのため遺族基礎年金は残された子を養育するための年金ともいえます。
 
遺族厚生年金は、亡くなった方に生計を維持されていた一定の遺族が対象です。配偶者や子の優先順位が高いとはいえ、その受給対象の範囲は父母、孫、祖父母にも及びます。
 
遺族年金を受給するには、保険料の納付済み期間と免除期間の合計が全保険者期間の3分の2以上あることが必要です。
 

公的年金についてしっかり理解しよう

一言で「年金」といっても、種類も受給要件もさまざまです。自分や家族がどの年金制度に加入していて、いざというときにどの年金を受給することができるのか、本記事で紹介したポイントを踏まえ、その内容や要件をしっかりと確認しておきましょう。
 

出典

日本年金機構 公的年金制度の種類と加入する制度
日本年金機構 老齢年金
日本年金機構 障害年金
日本年金機構 遺族年金
 
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級

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