更新日: 2023.01.30 国民年金

去年1年間年金を「免除」されていました…追納しないと金額はどのくらい減りますか?

去年1年間年金を「免除」されていました…追納しないと金額はどのくらい減りますか?
国民年金には、年金保険料の納付が難しい人のために「免除制度」というものがあります。免除制度は前年の所得が少なかった人に対して、年金保険料の納付を免除する制度です。免除された期間は保険料を納付した期間と同様に「受給資格期間」に加算されるため、年金受給資格を得る妨げにはなりませんが、受給できる年金の額には影響が出ます。
FINANCIAL FIELD編集部

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国民年金の「免除制度」とは

国民年金の加入者は保険料を納付する義務を負っていますが、経済的な理由で納付が困難な人もいます。そのため、納付困難者に対して年金保険料の納付を免除する制度があります。
 
免除を適用されるのは、納付義務者とその配偶者、世帯主の前年の所得が一定以下の場合や失業した場合です。納付が免除される保険料の額は「全額」「4分の3」「半額」「4分の1」の4段階となっており、前年の所得額に応じて免除額が決定されます。
 
さらに、免除された保険料の額に応じて「全額」の場合は免除期間の8分の4、「4分の3」の場合は8分の5、「半額」の場合は8分の6、「4分の1」の場合は8分の7の期間の保険料を、国が納付義務者に代わって負担してくれます。
 
保険料を免除された期間は「受給資格期間」に加算されます。受給資格期間とは保険料を納付していた期間、保険料の納付を免除あるいは猶予された期間、かつて任意加入だった期間に加入していなかった期間等の合算対象期間の合計です。老齢年金を受給するためにはこの期間が10年以上なければなりませんが、免除期間も加算されるため年金受給条件を満たしやすくなります。
 

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年金を減らさないためには、追納や任意加入で保険料を納める

免除期間があったとしても「追納」したり、60歳以降に「任意加入」したりして保険料を納めれば、国民年金を満額受給することが可能になります。追納とは、免除制度を利用した人が、追納が承認された月の前10年分の未納保険料を納付できる制度です。追納するためには、免除や猶予などを申請しておく必要があります。
 
3年以上前の保険料を追納する場合は、経過期間に応じた追納加算額が保険料に上乗せされます。追納しても年金受給額が満額にならない場合は、60歳以降も国民年金に任意で加入して年金保険料を納める方法もあります。
 
65歳になるまで加入できるので、5年分の保険料を納めることが可能です。追納や任意加入を利用して480ヶ月分の保険料を納付すれば、国民年金を満額で受給できるようになります。
 

去年1年間だけ保険料を全額免除されていた場合、国民年金の受給額はどれだけ減るのか

去年1年間だけ保険料を全額免除され、追納しないまま年金を受給することになった場合、どのくらい年金受給額は減るのでしょうか。全額免除ならば免除期間の半分の保険料は国が肩代わりしてくれるため、年金が減らされるのは実質6ヶ月分です。
 
2022年度の国民年金の満額支給額である年額77万7800円をもとに、満額受給条件の480ヶ月から6ヶ月を差し引いて計算すると、1年間の年金受給額は76万8078円となります(端数は50銭以上1円未満は1円に切り上げ)。1年の年金減額分は9722円です。もしこの年金を20年間受け取るとすると、20年間の総受給額は満額受給時と比べて19万4440円少なくなります。
 
仮に、2022年度の1ヶ月の年金保険料1万6590円で1年分の保険料を追納した場合、納付額は19万9080円です。これは追納しなかった場合の年金の減額分より多い額で、追納しても元を取れません。
 
しかし、21年以上年金を受給するようになると年金減額分の方が多くなっていくため、追納した方が得になります。全額免除が1年だけで2022年度の年金保険料で追納を考えるケースでは、21年以上年金を受給できるかどうかが損得の分かれ目といえるでしょう。
 

免除期間が長い人は追納して年金の目減りを防ごう

全額免除が1年だけの場合は、年金を21年以上受け取れるかどうかが損得の分かれ目になりますが、免除期間が長い人は損得の分かれ目になる年金受給期間がもっと短くなります。男女とも長寿命化しているため、年金受け取り期間も必然的に長くなります。年金は老後の生活の基本収入となるものですから、可能な限り保険料を納付して備えておくことが老後生活の安心につながります。
 

出典

日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 か行 合算対象期間
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
日本年金機構 任意加入制度
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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