65歳で離婚して「おひとりさま」になったら、元夫の年金は分割してもらえるの?
配信日: 2023.02.02
今回は、65歳で離婚した場合、年金分割ができるのかという疑問に答えていきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
年金分割とはどんな制度?
年金分割とは、離婚時に婚姻期間中の厚生年金の加入記録を夫婦で分割し、それぞれの年金記録とすることができる制度です。
例えば、会社員で厚生年金に加入している夫と、専業主婦などで厚生年金に加入していない妻が離婚した場合、年金分割が行われると夫の厚生年金記録(標準報酬額・標準賞与額)から妻が分割を受けた部分について、将来、自分の厚生年金として受給できるという制度です。
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合意分割と3号分割
年金分割には合意分割と3号分割があります。合意分割とは、婚姻期間中の厚生年金記録について夫婦間で合意した任意の割合で、当事者の一方または双方の請求により分割できるものです。また、話し合いがうまくいかない場合は、当事者の一方の求めにより裁判所が按分する割合を定めることもできます。
一方、3号分割とは、専業主婦など国民年金第3号被保険者であった方からの請求によって、第3号被保険者期間中の相手方の厚生年金記録を2分の1ずつ分割できる制度です。3号分割の請求は当事者間での合意は必要ありません。
65歳で離婚した場合も年金分割はできる?
65歳で離婚した場合、年金分割が可能なのかという点について気にする方は少なくないようです。
65歳といえば、原則で老齢年金の受給が始まる年齢ですが、年金分割は65歳以降で老齢年金をすでに受給中であったとしても行うことができます。
年金の受給中に離婚によって年金分割を行った場合は、請求があった月の翌月分から分割の内容に応じて年金額が改定されます。そのため、65歳以降で離婚をしたら年金分割ができないのではないかと心配する必要はありません。
年金分割の注意点
年金分割を行うに当たっての注意点は、主に以下の3つがあります。
対象となるのは厚生年金のみ
年金分割の対象となるのは、婚姻期間中の厚生年金の加入記録です。国民年金の加入記録については分割の対象となりませんので、離婚した元夫が自営業者など国民年金第1号被保険者であるといった場合は、年金記録の分割を受けられません。
年金分割の請求期限は離婚の翌日から2年以内
年金分割はいつでもできるというわけではなく原則、離婚をした日の翌日から2年以内に請求手続きを行わなければなりません。
さらに、すでに離婚が成立し、年金割合について合意や裁判が行われていても、相手が亡くなった場合は死亡日から1ヶ月を経過すると請求手続きができなくなります。手続きの詳細については、最寄りの年金事務所へご相談ください。
思ったほど年金額が増えないこともある
年金分割は、婚姻期間中の厚生年金記録を分割するものであり、将来受け取る年金額自体を分割するわけではありません。
そのため、婚姻期間の長さや相手の年金記録(標準報酬額など)によっては、分割しても将来受け取る年金額がほとんど増えないどころか、婚姻期間中に自身も厚生年金に加入しており、相手より収入が多かった場合は分割により年金が減ってしまうということもあります。
65歳以降で離婚しても年金分割が可能
年金分割は原則、何歳で離婚しても可能であり、65歳以降ですでに年金を受け取っているケースでも婚姻期間中の年金記録を分割できます。
しかし、分割の対象となるのは婚姻期間中の厚生年金記録であることや、申請できるのは原則として離婚の翌日から2年以内という注意点もあります。離婚後の年金分割を考えられているのであれば、制度の内容を確認し、速やかに手続きを進めていくようにしてください。
執筆者:柘植輝
行政書士