更新日: 2023.02.02 その他年金

「18歳未満」の子どもがいる会社員、死亡したら「遺族年金」はいくら出る? 誰が受け取れるの?

執筆者 : 福嶋淳裕

「18歳未満」の子どもがいる会社員、死亡したら「遺族年金」はいくら出る? 誰が受け取れるの?
18歳未満の子どもを扶養している会社員・公務員などが亡くなった場合、要件を満たす遺族は「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」を受け取れます。遺族年金制度は多くの人がご存じかも知れませんが、残された家族の生活を支えてくれるのか、疑問に思っている人も多いでしょう。
 
本記事では、18歳未満の子どもがいる会社員のケースにおける遺族基礎年金と遺族厚生年金について、受給要件や年金額について解説します。会社によっては企業年金制度による遺族年金や遺児育英給付もありますが、これらについては割愛します。

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福嶋淳裕

執筆者:福嶋淳裕(ふくしま あつひろ)

日本証券アナリスト協会認定アナリスト CMA、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本商工会議所認定 1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)

リタイアメントプランニング、老後資金形成を得意分野として活動中の独立系FPです。東証一部上場企業にて、企業年金基金、ライフプランセミナー、DC継続教育の実務経験もあります。

https://www.fp-fukushima.com/

遺族基礎年金と遺族厚生年金の基本的な違い


まずは遺族基礎年金と遺族厚生年金について、基本的な違いを確認しましょう。

・遺族基礎年金:「国民年金」からの給付
・遺族厚生年金:「厚生年金保険」からの給付

亡くなった人の年金加入履歴などにより、いずれかまたは両方が給付されます。さまざまな要件があるものの、本記事のケース(18歳未満の子どもがいる会社員)の場合、子どもがいることから遺族基礎年金が給付され、会社員であることから遺族厚生年金が給付されると考えてよいでしょう。
 
ちなみに、過去に会社員・公務員だった自営業者などの人でも、要件を満たせば遺族厚生年金が給付されます。
 

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誰が受け取れる? (遺族とは)

遺族基礎年金

亡くなった人によって生計を維持されていた「子のある配偶者」、配偶者がいない場合は「子」が受け取れます。
 

遺族厚生年金

亡くなった人によって生計を維持されていた人のうち、「配偶者」「子」「父母」「孫」「祖父母」の順で最も優先順位の高い方が受け取れます。
 

続柄ごとの注意点(遺族基礎年金と遺族厚生年金で共通)

「子」「孫」

次のいずれかに該当している間、対象になります。

・18歳になった年度の3月31日までの子、孫
・20歳未満で障害等級1級または2級の子、孫

子は、亡くなった人の実子または養子が対象です。結婚している子、孫は対象になりません(内縁関係を含みます)。また、亡くなったときに胎児であった子は、生まれてから対象となります。
 

「配偶者」

内縁関係も対象になります。「夫」固有の条件は次のとおりです。
 

「夫」「父母」「祖父母」

亡くなったときに55歳以上だった夫、父母、祖父母が対象です。受給開始は60歳です。
 

受け取る条件は? (受給要件)

遺族基礎年金と遺族厚生年金のそれぞれに複数の受給要件があり(図表1)、亡くなった人がそれぞれいずれかの要件に該当する必要があります。
 
本記事のケース(会社員)の場合、給与・賞与から「厚生年金保険料」が差し引かれていると思われ、そうであれば「国民年金の被保険者かつ厚生年金保険の被保険者が死亡したとき」に該当します。
 
ただし過去、自営業や無職など、「国民年金保険料」納付義務があった期間の保険料未納などが一定の限度内であることが必要です。
 
図表1 受給要件

遺族基礎年金 遺族厚生年金
(1)国民年金の被保険者が死亡したとき (1)厚生年金保険の被保険者が死亡したとき
(2)国民年金の被保険者であった人が日本国内に住所を有している60歳以上65歳未満の期間に死亡したとき (2)厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で、初診日から5年以内に死亡したとき
(3)老齢基礎年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間をあわせた期間が25年以上である人に限る)が死亡したとき (3)1級・2級の障害厚生年金の受給権者が死亡したとき
(4)保険料納付済期間と保険料免除期間をあわせた期間が25年以上である人が死亡したとき (4)老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間をあわせた期間が25年以上である人に限る)が死亡したとき
(5)保険料納付済期間と保険料免除期間をあわせた期間が25年以上である人が死亡したとき
(1)(2)の場合は、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの被保険者期間について、保険料納付済期間と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あることが条件となる。
ただし、死亡日が2026年4月1日前にあるときは、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの直近1 年間に保険料の未納がない場合、特例として条件を満たしたものとする。

厚生労働省「年金制度の仕組みと考え方」を基に筆者作成
 

いくら受け取れる? (年金額)

遺族基礎年金(2022年度の額)

対象となる子の数に応じた加算額により、遺族基礎年金の額が決まります。

・1人目、2人目の子の加算額=各22万3800円
・3人目以降の子の加算額=各7万4600円

子のある配偶者が受け取るとき

「77万7800円+1人目以降の子の加算額」です。「配偶者+子1人」であれば1年間で約100万円受け取れます。
 

子が受け取るとき

「77万7800円(+2人目以降の子の加算額)」です。子1人であれば1年間で約78万円、2人なら約50万円ずつ受け取れます。
 

遺族厚生年金

亡くなった人の「老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3」が遺族厚生年金の額になります。
 
厚生年金保険の被保険者期間が25年以上ある人であれば、毎年送られてくる「ねんきん定期便」を基に目安を概算できます(「報酬比例部分」または「老齢厚生年金」の見込み額に0.75をかけます)。25年未満の場合、年金事務所などに試算を依頼しましょう。
 

中高齢寡婦加算(2022年度の額)

次のいずれかに該当する「妻」が受け取る場合、40歳以上65歳未満の間、58万3400円が加算されます。

・夫が亡くなったときの「妻」は40歳以上65歳未満で、生計同一の子がいない場合
・40歳になったときに遺族基礎年金と遺族厚生年金を受け取っていた「子のある妻」が、子が18歳到達年度末に達した(障害1級・2級の場合、20歳に達した)ため、遺族基礎年金を受け取ることができなくなった場合

 

いつまで受け取れる? (受給権の失権)

遺族基礎年金

さまざまな失権事由があるため、主なものを列挙します。
 

子のある配偶者が受け取っている場合

・配偶者が死亡したとき
・配偶者が結婚したとき(内縁関係を含む)
・子ども(全員)が18歳到達年度末に達した(障害1級・2級の場合、20歳に達した)とき

 

子が受け取っている場合

・(それぞれの)子が死亡したとき
・(それぞれの)子が18歳到達年度末に達した(障害1級・2級の場合、20歳に達した)とき

 

遺族厚生年金

こちらもさまざまな失権事由がありますが、おおまかには遺族基礎年金と同じく、

・受け取っている人が死亡したとき
・受け取っている人が結婚したとき(内縁関係を含む)

です。続柄固有の失権事由もあり、代表的なものを以下に記載します。
 

配偶者が受け取っている場合

・「夫」が亡くなったときに30歳未満だった「子のない妻」が、遺族厚生年金の受給権を得てから5年経過したとき

 

子または孫が受け取っている場合

・18歳到達年度末に達した(障害1級・2級の場合、20歳に達した)とき
・孫が受け取っている場合、亡くなったときに胎児であった子が生まれたとき

 

父母または祖父母が受け取っている場合

・亡くなったときに胎児であった子が生まれたとき

 

まとめ

18歳未満の子どもを扶養している会社員・公務員などが亡くなった場合、要件を満たす遺族は「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」を受け取れます。
 
遺族基礎年金は、子どもが高校を卒業する年齢までの生活の一助となるでしょう。遺族厚生年金は、亡くなった人に扶養されていた配偶者の暮らしを終身にわたり、または再婚するまで支えてくれるはずです。
 

出典

日本年金機構 身近な方が亡くなったとき
 
執筆者:福嶋淳裕
CMA、CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、1級DCプランナー