更新日: 2023.02.09 その他年金

自営業(18歳未満の子あり)です。いま死亡したら遺族年金は出ますか?

自営業(18歳未満の子あり)です。いま死亡したら遺族年金は出ますか?
18歳未満の子どもを扶養している方が亡くなった場合、要件を満たす遺族は「遺族基礎年金」を受け取れます。
 
本記事では、18歳未満の子どもがいる自営業の方のケースにおける遺族基礎年金について、解説します。内容を理解しやすくするため、この方に会社員や公務員の職歴はないものとします。
福嶋淳裕

執筆者:福嶋淳裕(ふくしま あつひろ)

日本証券アナリスト協会認定アナリスト CMA、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本商工会議所認定 1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)

リタイアメントプランニング、老後資金形成を得意分野として活動中の独立系FPです。東証一部上場企業にて、企業年金基金、ライフプランセミナー、DC継続教育の実務経験もあります。

https://www.fp-fukushima.com/

誰が受け取れる? ―「遺族」とは?

「子のある配偶者」または「子」が受け取れます。
 

次のいずれかに該当する子が対象です。
 

(1)18歳到達年度末(3月31日)までの子
(2)20歳未満で障害等級1級または2級の子

 
いずれも、亡くなった方の実子または養子が対象です(養子縁組されていない配偶者の子は対象になりません)。
 
結婚している子は対象になりません(内縁関係を含みます)。亡くなった時点で胎児だった子は出生後に対象となります。
 

配偶者

内縁関係の配偶者も対象になります。
 

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受け取る条件は? ―遺族基礎年金の受給要)

亡くなった方が次のいずれかに該当する場合、その方によって生計を維持されていた「子のある配偶者」、または「子」は遺族基礎年金を受け取れます。
 
本記事のケース(18歳未満の子どもがいる自営業の方)の場合、国民年金保険料の納付履歴に問題がない限り、いずれかを満たせるでしょう。
 

(1)国民年金の被保険者である間に死亡したとき
(2)国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有していた方が死亡したとき
(3)老齢基礎年金の受給権者であった方が死亡したとき
(4)老齢基礎年金の受給資格を満たした方が死亡したとき

 
※(1)と(2)には保険料納付要件というものがあり、保険料の未納などが一定の範囲内であることが必要です。
※(3)と(4)については、保険料納付済み期間、保険料免除期間、合算対象期間を合計した期間が25年以上あることが必要です。
 

いくら受け取れる? (2022年度の場合に遺族基礎年金額)

対象となる子の数に応じた加算額により、遺族基礎年金の額(年額)が決定されます。
 

●1人目、2人目の子の加算額=各22万3800円
●3人目以降の子の加算額=各7万4600円

 
子の数の増減に応じて遺族基礎年金の額も増減します。1人目の子が対象でなくなると、2人目だった子が1人目に繰り上がります。
 

子のある配偶者が受け取るとき

「77万7800円+1人目以降の子の加算額」です。「配偶者+子1人」であれば1年間で約100万円受け取れます。子のある配偶者が受け取っている間、子は受け取れません。
 

配偶者がおらず、子が受け取るとき

「77万7800円(+2人目以降の子の加算額)」です。2人目以降の子がいる場合、合計額を子の数で割った額が1人あたりの額です。
 
子1人であれば1年間で約78万円、2人なら約50万円ずつ、3人なら約36万円ずつということになります。
 

いつまで受け取れる? ―遺族基礎年金の受給権の失権

遺族基礎年金の受給権の失権には、さまざまな事由が規定されていますが、おおまかに次のように理解しておきましょう。
 

子のある配偶者が受け取っている場合

●子ども(全員)が18歳到達年度末に達した(障害1級・2級の場合、20歳に達した)とき
●配偶者が再婚したとき(内縁関係を含む)

 

子が受け取っている場合

●子それぞれが18歳到達年度末に達した(障害1級・2級の場合、20歳に達した)とき

 

遺族基礎年金以外の給付

国民年金の「寡婦年金」と「死亡一時金」についても紹介します。
 

寡婦年金

国民年金第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)の、保険料納付済み期間と保険料免除期間の合計が10年以上ある「夫」が亡くなったとき、夫によって生計を維持され、夫との婚姻関係が10年以上継続していた「妻」は、60歳から65歳未満の間「寡婦年金」を受け取れます。
 
夫が老齢基礎年金、または障害基礎年金を受け取ったことがある場合は請求できません。
 
受給額は、夫の第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)期間で計算した老齢基礎年金の4分の3です。2022年度の場合、概算する式は次のとおりです。
 
77万7800円×(夫の第1号被保険者月数+任意加入被保険者月数)÷480ヶ月×3÷4

60歳から65歳未満の間に妻がほかの年金(遺族基礎年金を含む)を受け取れる場合、死亡一時金を受け取れる場合は、それぞれ寡婦年金とどちらを受給するか選択をすることになります。
 

死亡一時金

遺族基礎年金を受け取れる方がいる場合と、亡くなった方が老齢基礎年金または障害基礎年金を受け取っていた場合は請求できませんが、亡くなった方に国民年金第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)の保険料納付済み期間が3年以上あれば、遺族は「死亡一時金」を受け取れます。
 
対象となる遺族は、亡くなった方の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の優先順位で、亡くなったときに生計同一関係にあった方です。
 
受給額は、亡くなった方の保険料納付月数によって12万円から32万円までの6段階あります。妻が寡婦年金を受け取れる場合、どちらを受給するか選択をすることになります。
 

まとめ

18歳未満の子どもを扶養している方が亡くなった場合、その方の年金保険料の納付履歴に問題がない限り、「子のある配偶者」または「子」は「遺族基礎年金」を受け取れます。
 
一番下のお子さまが高校を卒業するまでの間、ご遺族の生活の一助となるでしょう。要件を満たす妻が受け取れる「寡婦年金」も、60代前半の奥さまの暮らしを支援してくれるはずです。
 

出典

日本年金機構 身近な方が亡くなったとき

日本年金機構 寡婦年金

日本年金機構 死亡一時金

 
執筆者:福嶋淳裕
CMA、CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、1級DCプランナー

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