更新日: 2023.02.11 国民年金
結婚相手が「年金滞納者」だった!「自分の財産」も差し押さえられるって本当?
今回は、結婚相手が年金を払ってないときの影響や差し押さえまでの流れ、対処法を解説します。
執筆者:新川優香(あらかわ ゆうか)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士
結婚相手の滞納は配偶者にも支払い義務がある
結婚相手の滞納は、滞納した本人だけでなく配偶者にも支払い義務があります。国民年金法によって、日本に住む20歳以上60歳未満の人は、国民年金保険料の支払いが義務づけられています。保険料の支払いは加入者本人だけの責任となりそうですが、実はそうではありません。
国民年金法第88条によると、下記のように定められています。
1項 被保険者の保険料納付義務
2項 世帯主は、その世帯に属する被保険者の保険料納付義務の連帯義務を負う
3項 配偶者の一方は、他方の配偶者の保険料納付義務の連帯義務を負う
3項は「連帯納付義務」といわれ、夫が滞納していれば妻が、妻が滞納していれば夫が、滞納分の保険料の支払い義務を負うことになります。「払いたくない」「お金がない」などの理由で支払いを怠ると、滞納者本人だけでなく配偶者の財産まで差し押さえられる可能性があります。
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財産が差し押さえられるまでの過程
滞納が続くと、財産の差し押さえが行われる場合がありますが、突然差し押さえが実行されるのではなく、滞納者本人や世帯主・配偶者などの連帯納付義務者に対して、順を追って納付を促します。流れは次のとおりです。
- 納付督励
- 特別催告状
- 最終催告状
- 督促状
- 差押予告通知
・納付督励
滞納が続くと電話や訪問を通じて、納付を促されます。納付督励をしても国民年金保険料を支払わない場合は、「国民年金未納保険料納付勧奨通知書(催告状)」と紫色の文字で書かれたはがきが届く仕組みです。はがきには、国民年金保険料を納付していない期間とその金額が記載されています。
・催告状
催告状を無視すると「特別催告状」が届きます。青、黄色、赤と封筒の色が、事態の深刻度に合わせて変わっていきます。この特別催告状にも応じなければ「最終催告状」が届き、記載された納付期日までに保険料を納付しない場合、「督促状」が送られます。
・督促状
督促状はそれまでの文書より厳しいもので、差し押さえが実行される旨や、延滞金が加算される旨の記載があります。督促期限後も保険料が納付されない場合は「差押予告通知」が届きます。ここで滞納が解消されなければ、滞納者本人や配偶者の財産調査が実施され、いよいよ財産が差し押さえられます。
・財産の差し押さえ
差し押さえは滞納者本人だけでなく、配偶者の銀行口座も対象となります。なお、差し押さえの対象者となる条件は、未納期間7ヶ月以上の控除後所得額300万円以上の人です。
払えない場合は免除・納付猶予制度の検討を
結婚相手が経済的に保険料を払えない場合は「免除制度」と「納付猶予制度」を活用しましょう。
・免除制度:本人や世帯主、配偶者の「前年所得が一定額以下の場合」や「失業した場合」などに、保険料の支払いが免除される制度
・納付猶予制度:本人や配偶者の「前年所得が一定額以下の場合」に保険料の支払いが猶予される制度
国民年金保険料の滞納は家族全体に影響がある
結婚相手が国民年金保険料を滞納していた場合、配偶者にも支払い義務が生じ、支払わない場合は差し押さえの可能性もあります。やむを得ない事情がある場合は、結婚相手に免除制度や納付猶予制度を活用するよう促しましょう。
出典
厚生労働省 強制加入被保険者(法7)
日本年金機構 「国民年金保険料の強制徴収の取組強化」について
日本年金機構 令和4年度計画
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
執筆者:新川優香
2級ファイナンシャル・プランニング技能士