更新日: 2023.02.24 iDeCo(確定拠出年金)

勤務している会社に制度がある人は知っておこう! 確定給付企業年金と確定拠出年金の違いとは?

勤務している会社に制度がある人は知っておこう! 確定給付企業年金と確定拠出年金の違いとは?
「確定給付企業年金」と「企業型確定拠出年金」は、どちらも企業に勤める会社員にとって、退職後の生活をより豊かにするための企業年金制度です。
 
かつては、適格退職年金や厚生年金基金などが主流でしたが、時代とともに、確定給付企業年金が広まり、さらに、企業型確定拠出年金へシフトしつつあります。
 
名称も似ていることから混同しやすく、また両制度が併存する企業もあり、よく分からないといった声が多い現状です。それぞれの違いや特徴について考えてみましょう。

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大竹麻佐子

執筆者:大竹麻佐子(おおたけまさこ)

CFP🄬認定者・相続診断士

 
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表
証券会社、銀行、保険会社など金融機関での業務を経て現在に至る。家計管理に役立つのでは、との思いからAFP取得(2000年)、日本FP協会東京支部主催地域イベントへの参加をきっかけにFP活動開始(2011年)、日本FP協会 「くらしとお金のFP相談室」相談員(2016年)。
 
「目の前にいるその人が、より豊かに、よりよくなるために、今できること」を考え、サポートし続ける。
 
従業員向け「50代からのライフデザイン」セミナーや個人相談、生活するの観点から学ぶ「お金の基礎知識」講座など開催。
 
2人の男子(高3と小6)の母。品川区在住
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表 https://fp-yumeplan.com/

公的年金の上乗せとして、退職後の生活を支える企業年金制度

65歳以降受け取ることのできる公的年金は、長年企業に勤めていた方の場合、20歳以上60歳未満のすべての国民が加入する国民年金の「老齢基礎年金」をベースに、会社員や公務員が加入する「老齢厚生年金」を上乗せとする2階建ての仕組みです。
 
お勤め先企業によっては、さらに、独自の企業年金制度により「3階部分」を受け取ることが可能な場合があります。
 
制度の内容は、退職金として一時金での支給や年金形式との選択ができるなど企業によりさまざまです。また、企業年金は、公的年金と異なり、すべての企業に制度がある訳ではありません。
 
企業年金制度は、かつては、適格退職年金や厚生年金基金などが主流でしたが、それぞれ廃止や新規設立の制限により、「確定給付年金」へと移行し、最近では「確定拠出年金」を導入する企業が増えています。そのほか、「厚生年金基金」が存続しているケースや、中小企業退職金共済制度などを活用する企業も見られます。
 
まずは、お勤め先企業にどのような制度があるのか確認してみることをおすすめします。
 

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退職時の「給付額」が確定している確定給付年金

「確定給付企業年金(DB)」は、労使合意のもと、将来の年金給付額を設定し、必要な掛け金を会社が拠出していく制度です。つまり、将来受け取る「給付額」は、勤務年数や職位などによるものの、あらかじめ確定しています。規約型と基金型がありますが、どちらも年金資産は外部で一括して運用され、運用リスクは会社(事業主)が負います。
 
従業員にとって、受け取る年金給付額が約束されている確定給付年金は、退職後のライフプランや資金計画が立てやすいという点で大きなメリットと言えるでしょう。
 
一方で、企業としては、運用責任と管理は大きな負担です。思うような運用成果が得られず、確定している給付額に満たない場合には、追加で拠出する必要があります。企業の財務状況によっては、追加拠出ができない局面もあり得ますので、いずれにとっても、絶対的安心な制度とは言い切れません。
 

企業の「拠出額」が確定している確定拠出年金

「企業型確定拠出年金(DC)」は、企業(会社)が従業員のために掛け金を拠出し、従業員はその資金で投資信託など複数の商品を組み合わせつつ長期にわたり運用していきます。つまり、あらかじめ確定しているのは、会社が従業員のために拠出する金額です。
 
確定給付年金との大きな違いは、運用リスクは社員が負う点です。運用成果によっては拠出額を大きく上回る可能性も期待できるものの、同時に下回る可能性もあります。定年退職をむかえる時点で、同期でも受け取る金額はそれぞれ異なります。
 
また、相違点として、拠出された資金は、1人ひとり個別管理されることも挙げられます。Web上のマイページなどにログインすれば、投資先や現在の価額などリアルタイムで把握することが可能です。規約によりますが、運用状況や家計状況によっては、定年退職後も「運用指図者」として運用を継続することも可能です。
 
さらに、転職にあたって、転職先に確定拠出年金の制度があれば、資産を移行できる(「ポータビリティ」と言います)ことは確定拠出年金の特長と言えます。
 
一方で、企業にとっては、制度の導入・維持にともなう負担はあるものの、拠出金額が確定しており、運用リスクを負う必要がないことは大きなメリットです。
 

貯蓄から投資へ~長期的視野で取り組みたい退職後の生活資金

確定拠出年金は、投資に対する知識や経験がない方にとっては、将来に対する不安を感じる制度かもしれません。法律により元本保証商品をラインアップに組み込むことが定められているため、不安であれば、元本保証商品を選ぶという選択も可能です。
 
しかしながら、超低金利がつづく現状では、少しずつ投資に目を向けていきたいものです。いずれにしても、定期的に運用リスクや価額の把握など自分自身で管理する必要があります。
 
なお、確定拠出年金は、拠出できる金額に上限があり、企業はその範囲内で拠出額を設定します。企業ごとの規約にもよりますが、限度額までに余裕のある場合には、従業員は給与支給分から任意で上乗せ拠出することも可能(マッチング拠出)です。
 
また、お勤め先の企業に制度がない場合には、「個人型確定拠出年金(iDeCo)」を申し込むことができます。個人型確定拠出年金は、個人で資金を拠出し、老後の資産形成を目指します。「イデコ(iDeCo)」という愛称は聞いたことがあるという方も多いでしょう。お勤め先の企業の制度や概要を確認したうえで、将来に向けた資金計画を考えたいものです。
 

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まとめ~「お金」に向き合うことの必要性

お勤め先に企業年金制度があるのか、そして、どのような制度なのか、きちんと理解しておきたいものです。そのうえで、人生100年時代をより豊かに生きるためには、会社に任せるのではなく、一人ひとりが自助努力として、お金について向き合う必要がありそうです。
 
資産形成は、一朝一夕にはできないため、少しでも早くに始めることが成功へのステップです。
 
執筆者:大竹麻佐子
CFP🄬認定者・相続診断士
 

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