更新日: 2023.02.25 国民年金

「受給できなくても自己責任だし」国民年金の保険料は未納のままでもいい?

「受給できなくても自己責任だし」国民年金の保険料は未納のままでもいい?
「国民年金保険料が未納でも自分が年金をもらえなくなるだけだし、納めなくてもいいか」と考えている人もいるのではないでしょうか。しかし、実は国民年金保険料を未納のままにすると、年金以外の財産も失う可能性があるため注意が必要です。
 
本記事では、国民年金保険料を未納のままにするリスクや、リスクを回避できる制度を詳しく解説します。未納の国民年金保険料がある人は、危険性をしっかり理解しましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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国民年金保険料の未納は差し押さえのリスクがある

 
国民年金保険料の未納期間があると、将来の年金額が全期間納めた場合と比べて少なくなる、障害年金を受け取れないケースがある、などのリスクがあります。また、支払い能力があるにもかかわらず国民年金保険料の滞納が続くと、財産を差し押さえられる可能性があるため、注意が必要です。
 
国民年金の未納が発生してから差し押さえまでの流れと、差し押さえの対象となる財産の種類は、それぞれ以下のとおりです。
 

未納の発生から差し押さえまでの流れ

 
国民年金保険料未納による差し押さえは、一般的に次のような流れで実行されます。
 

1.電話や書面による催告
2.特別催告状の送付
3.最終催告状の送付
4.督促状の送付
5.差押予告通知の送付
5.滞納処分(差し押さえ)実行

 
納付期限までに国民年金保険料が支払われない場合、年金事務所はまず、電話や書面で納付を促します。それでも納付されないときに送付される催促の書面が特別催告状です。特別催告状の送付は数回に渡り、段階を追って青、黄、赤と封筒の色が変わります。
 
赤色の特別催告状を送付したあとも納付されない場合、強制徴収の対象者に最終催告状が送付されます。強制徴収の対象となるのは、主に次の両方に該当する人です。

●控除後所得が300万円以上である
●国民年金保険料を7ヶ月以上滞納している

 
最終催告状が届いても納付しない人に対しては、督促状が送付されます。それでも納付されない場合は、差押予告通知送付ののちに差し押さえの実行となります。
      

差し押さえの対象となるもの

 
差し押さえの対象となる財産は、主に次のようなものです。
 

●給料のうち一定額
●銀行預金
●不動産
●自動車
●生活必需品(家具家電など)を除く動産
●有価証券などの債権

 
年金や生活保護費は、差し押さえの対象となりません。
 
注意しなければならないのは、差し押さえられるのは必ずしも自分の財産だけではない点です。国民年金法では保険料の納付について、世帯主や配偶者の連帯義務を定めているため、家族の財産にも差し押さえが及ぶ可能性があります。
 

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国民年金保険料の支払いが困難なときは免除・納付猶予制度を利用しよう

 
国民年金保険料の支払いが経済的に困難な場合は、未納のままにせず、「保険料免除制度」「納付猶予制度」「学生納付特例制度」の手続きをして支払いの免除や猶予を受けましょう。
 
保険料免除制度・納付猶予制度・学生納付特例制度の対象者は、前年所得が所得基準以内の人です。※保険料免除制度は本人・世帯主・配偶者、納付猶予制度は本人・配偶者、学生納付特例制度は本人の所得が審査されます。
 

●全額免除:(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円

●4分の3免除:88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

●半額免除:128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

●4分の1免除:168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

●納付猶予制度:(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円

●学生納付特例制度:128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等

 
保険料免除制度・納付猶予制度・学生納付特例制度を利用すると、その期間は老齢基礎年金の受給資格期間にカウントされます。また、制度を利用した期間の国民年金保険料は、10年までさかのぼって後払い(追納)が可能です。
 
なお、特別な事情がある人を対象とする、以下のような免除制度もあります。
 

産前産後期間の免除制度

 
出産予定日または出産日(妊娠85日以上の早産、死産、流産を含む)の前月から4ヶ月分の国民年金保険料が免除される制度です。多胎妊娠の場合には、出産予定日または出産日の3ヶ月前から6ヶ月間に免除期間が延長されます。
 

配偶者からの暴力を受けた場合の特例免除

 
配偶者からの暴力を理由に配偶者と別居している場合に、配偶者の所得に関係なく、本人の前年所得で国民年金保険料免除の可否を判断してもらえる特例です。ただし、父母などが世帯主の場合は、所得審査の対象となることもあります。
     

国民年金保険料を未納のまま放置してはダメ!

 
国民年金保険料を納めないことで起こる問題は、年金が受給できなくなることだけではありません。支払い能力があるにもかかわらず、国民年金保険料を未納のまま放置すると、最終的には財産の差し押さえが行われるため注意が必要です。
 
経済的な理由で国民年金保険料の納付が難しい場合は、決して放置せずに保険料免除制度や納付猶予制度、学生納付特例制度などの申請をしましょう。
 

出典

日本年金機構 日本年金機構の令和4年度の取組状況について

e-Gov法令検索 国民年金法

日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度

日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度

日本年金機構 国民年金保険料の産前産後期間の免除制度

日本年金機構 配偶者からの暴力を受けた方の国民年金保険料の特例免除について

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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