家族が亡くなった……遺族年金の請求はどうすればよい?

配信日: 2023.02.28

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家族が亡くなった……遺族年金の請求はどうすればよい?
家族が亡くなると、さまざまな手続きに追われます。そのなかで忘れてはいけない手続きの1つが遺族年金の請求です。遺族年金とはどのようなものか、誰が受け取れるのか、どのように手続きを行うのか解説します。
伊藤秀雄

執筆者:伊藤秀雄(いとう ひでお)

FP事務所ライフブリュー代表
CFP®️認定者、FP技能士1級、証券外務員一種、住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー協会会員

大手電機メーカーで人事労務の仕事に長く従事。社員のキャリアの節目やライフイベントに数多く立ち会うなかで、お金の問題に向き合わなくては解決につながらないと痛感。FP資格取得後はそれらの経験を仕事に活かすとともに、日本FP協会の無料相談室相談員、セミナー講師、執筆活動等を続けている。

遺族年金の種類と受給対象者

遺族年金は、亡くなった方の保険料納付済期間等の受給要件が細かく定められています。ここでは、受給要件を満たしているものとして、受給できる遺族の範囲や金額を確認していきます(※)。
 

(1) 遺族基礎年金

国民年金の被保険者等であった方が亡くなった際、生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が受給できます。受給の優先順位は、「子のある配偶者」→「子」の順で、子のある配偶者が受給している間は、その子には支給されません。
 
なお、子については婚姻していない場合に限ります。また、死亡当時に胎児でも出生以降に対象となります。
 

(2) 遺族厚生年金

厚生年金保険の被保険者等であった方が亡くなった際、生計を維持されていた遺族のうち、最も優先順位の高い方が受給できます。対象となる遺族と優先順位は図表1のとおりです。
 
図表1.遺族厚生年金受給の優先順位


出典:日本年金機構「身近な方が亡くなったとき」から筆者作成
 
遺族基礎年金、遺族厚生年金ともに受給できる遺族は、(1)の順位に限られます。どちらの遺族年金も、子(孫)とは18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方を指します。
 
なお、受給額は図表2のとおりです(令和4年度分の金額)。
 
図表2.遺族年金の受給額

出典:日本年金機構「身近な方が亡くなったとき」から筆者作成
 

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死亡に伴うその他の年金等

遺族年金以外にも、遺族には図表3のような年金・給付があります(※1)。国民年金への加入が短期間のケースなどによる一時金や、遺族基礎年金の補填的性格をもつ年金です。こちらも、死亡した方の受給要件を満たしているものとします。
 
今回、詳細説明は省きますが、遺族年金に代わる、あるいは補う役割をもつ大事な給付なので、頭には入れておきたいものです。なお、寡婦年金と中高齢寡婦加算は、妻だけが対象となります。
 
図表3.その他の遺族給付の概要(令和4年度分の金額)


出典:日本年金機構「身近な方が亡くなったとき」から筆者作成
 

受給の手続きについて

遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給請求手続きは、マイナンバーの記入で省略できる提出資料もあり、手続きにかける時間が軽減できるようになってきました。請求に必要な書類は次のとおりです(※1)。
 

1.年金請求書

日本年金機構ホームページからダウンロード、または年金事務所や年金相談センターに備え付けてあります。遺族基礎年金の年金請求書は市区町村役場でも入手できます。遺族厚生年金の書式は、遺族基礎年金の請求を兼ねています。


遺族基礎年金:年金請求書(国民年金遺族基礎年金)様式第108号
遺族厚生年金:年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)様式第105号

提出先は、遺族基礎年金が住所地の市区町村役場の窓口、遺族厚生年金は最寄りの年金事務所または年金相談センターです。
 

2.添付資料

遺族基礎年金、遺族厚生年金とも基本的に同じです。


・基礎年金番号通知書等、基礎年金番号がわかるもの
・法定相続人がわかるもの(戸籍謄本等)
・死亡者の住民票除票
・死亡診断書
・受取先金融機関の通帳等

この他に、世帯全体の住民票、収入が確認できる書類、子の収入が確認できる書類や在学証明書なども必要ですが、これらはマイナンバーを記入することで省略できます。
 

年金受給中に亡くなったら?

すでに年金受給中の方が亡くなった場合、遺族年金請求の前に、権利を失った支給を止めるために「年金受給権者死亡届(報告書)」の提出が必要です(※1)。
 
すみやかに提出しないと、受け取り過ぎた年金を返す手間が発生してしまいます。なお、日本年金機構にマイナンバーが収録されている方は、原則としてこの書類を省略できます。
 
また、亡くなった年金受給者がまだ受け取っていない年金や、死亡日より後に振り込まれた死亡月までの年金は、「未支給年金」として生計を同じくしていた遺族が受け取ることができます。その際は、「未支給年金・未支払給付金請求書」の提出が必要です。
 
亡くなった方が老齢年金等を受給中の場合は、手続きが増えます。さまざまなことに注意しながら、遺族年金の請求手続きを行ってください。
 

出典

(※)日本年金機構 身近な方が亡くなったとき
 
執筆者:伊藤秀雄
FP事務所ライフブリュー代表
CFP®️認定者、FP技能士1級、証券外務員一種、住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー協会会員

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