年金の繰上げ受給は避けたほうがいい? その理由とは?

配信日: 2023.03.02

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年金の繰上げ受給は避けたほうがいい? その理由とは?
年金は原則として65歳から受け取りができますが、早く受け取りたい方は60歳から繰上げ受給が、もっと後になって受け取りたい方は最大75歳まで繰下げ受給が可能です。
 
長寿による経済的なリスクも高まってきている今、自分に合った年金の受け取り方を見つけなくてはいけません。
 
本記事では、年金の3種類の受け取り方と、年金を繰上げ受給で受け取るのはなぜ避けた方がよいのか、解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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年金の受け取り方は3種類ある

年金の受け取り方は下記の3種類があります。

・65歳から受け取る(通常)
・繰上げ受給
・繰下げ受給

 

繰上げ受給とは

繰上げ受給は、希望をすれば60歳から65歳になるまでの間に受け取れます。ただし、繰上げ受給を請求した時点で年金が減額され、減額率は一生変わりません。
 
減額率は0.4%で、減額される年金額は、自身が受け取る老齢厚生年金額と老齢基礎年金額に減額率をかけて、下記のように算出します。
 
・減額率(最大24%)=0.4%×繰上げ請求した月から65歳に達する日の前月までの月数
 
なお、昭和37年4月1日以前生まれの方の減額率は0.5%となり、最大30%の減額率となります。
 

繰下げ受給とは

繰下げ受給とは年金を65歳で受け取らずに、66歳以降75歳までの間に受け取るというものです。繰り下げた期間に応じて年金額が増額されます。
 
増額率は0.7%で、繰下げ受給をした場合の加算額は、老齢基礎年金の額(振替加算額を除く)、および老齢厚生年金の額(加給年金額を除く)に増額率をかけて、下記のように算出します。
 
・増額率(最大84%)=0.7%×65歳に達した月から繰下げを申し出た月の前月までの月数
 
なお、昭和27年4月1日以前生まれの方[または平成29年3月31日以前に老齢基礎(厚生)年金を受け取る権利が発生している方]は、繰り下げの上限年齢が70歳(権利が発生してから5年後)までとなるため、増額率は最大で42%となります。
 

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年金の繰上げ受給はもったいない理由3つ

年金の繰上げ受給をすると、次に挙げる3つの理由でもったいないといえます。

・減額された年金額が一生涯変わらなくなる
・年金受給額が減少している
・国民健康保険料が値上がりしている

ご自身のライフスタイルに合わせて、繰上げ受給をしなくても大丈夫であれば、65歳から年金を受け取るか繰下げ受給を検討してみてください。
 
それでは、理由を1つずつ詳しくみてみましょう。
 

一度繰上げ受給をすると減額された年金額が生涯変わらなくなる

企業によっては退職金制度を設けていないところもあり、また、退職金があっても満足する金額がもらえない可能性があります。
 
もしも勤め先に退職金制度がない場合、年金の繰上げ受給をすると、一度決定した減額率は一生涯変わらないため老後資金が不足してしまう可能性もあります。そのため、無理に受給を早める必要がなければ、繰上げ受給はしない方がよいでしょう。
 

年金受給額が減少している

令和3年度「厚生年金保険・国民年金事業の概況 」によると、平成29年度~令和3年度の厚生年金保険の受給権者平均年金月額の推移は(図表1)のとおりです。
 
【図表1】

老齢年金
平成29年度 14万4903円
平成30年度 14万3761円
令和元年度 14万4268円
令和2年度 14万4366円
令和3年度 14万3965円

出典:厚生労働省 「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 」
 
平成29年度の老齢年金額が14万4903円であるのに対して、令和3年度は14万3965円となり938円減額しています。将来的に年金受給額がさらに減少する可能性もあります。繰上げ受給をして受給額を減額させない方が安心です。
 

国民健康保険料の値上がり

2022年秋、令和5年度の国民健康保険料は2万円引き上げられると報じられて話題となりました。所得などに応じて国民健康保険料は異なりますが、年間の上限額が85万円から87万円となり、今後も値上がりする可能性があります。
 
繰上げ受給をすると年金額が減額されるため、国民健康保険料がさらに値上がりした場合、保険料を納めることも大変になる可能性があるでしょう。
 

自分に合ったタイミングで年金を受け取ることが大切

一度繰上げ受給をすると、減額された年金額が生涯変わりません。しかし、人によっては健康上の問題や、仕事がなく収入が減少などで、早く年金が欲しいという方もいるでしょう。無理に繰上げ受給をがまんして、健康を損なったり、生活が苦しくなったりしたら意味がありません。
 
収入や現在の貯金額、生活費のバランスなどを考慮して、自身にあった年金を受給するタイミングをみつけましょう。
 

出典

日本年金機構 年金の繰上げ受給
日本年金機構 年金の繰下げ受給
厚生労働省 令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
厚生労働省 国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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