更新日: 2023.03.07 その他年金
企業型DC、退職時や転職時の手続きを怠ったらどうなるの?
企業型DCに加入している会社を退職したときに手続きを怠ると、それまで積み立ててきた自分の企業型DCはどうなってしまうのでしょうか。
執筆者:杉浦詔子(すぎうらのりこ)
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント
「働く人たちを応援するファイナンシャルプランナー/カウンセラー」として、働くことを考えている方からリタイアされた方を含めた働く人たちとその家族のためのファイナンシャルプランニングやカウンセリングを行っております。
2005年にCFP(R)資格を取得し、家計相談やセミナーなどのFP活動を開始しました。2012年に「みはまライフプランニング」を設立、2013年よりファイナンシャルカウンセラーとして活動しています。
企業型DCとは
企業型DC(企業型確定拠出年金)とは、従業員の年金を積み立てるために、勤務先の企業が毎月の掛け金を拠出する制度です。掛け金は会社の役職や年収などに応じて毎月の拠出額が決まるのが一般的で、厚生年金基金や確定給付企業年金など他の企業年金がある場合は月額2万7500円、他の企業年金がない場合は月額5万5000円が上限です。
会社が拠出した掛け金は、従業員が自分で金融商品を選択し、資産配分を決定し、資産運用を行います。自分で運用するため、将来受け取れる年金の額は運用の結果によって変動します。
なお、企業型DCへの加入は、会社が自動的に従業員を加入させる場合と、加入するかどうかを従業員に選択させる場合があります。
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マッチング拠出とは
企業が拠出する掛け金に従業員が掛け金を上乗せする「マッチング拠出」という制度もあります。
マッチング拠出にも上限があり、従業員が拠出する掛け金の金額が企業の拠出する掛け金の金額を超えないことと、企業が拠出する掛け金と従業員が拠出する掛け金の合計額が掛け金の拠出限度額を超えないことの、2つの要件を満たす必要があります。
なお、企業型DCは導入されていてもマッチング拠出を採用していない企業もあります。
企業型DCの退職時や転職時の手続き
転職などで企業型DCのある会社を退職するときには、企業型DCの移換手続きが必要になります。企業は従業員退職時に企業型DCの資格喪失の手続きを行い、退職者はこれまで積み立てた企業型DCの資産を移換する手続きを行います。
転職先に企業型DCがある場合は退職してから6ヶ月以内に転職先の企業型DCに資産を移換する手続きを行います。転職先に企業型DCがない場合や退職後に自営業や専業主婦(夫)となる場合は、退職してから6ヶ月以内に個人型確定拠出年金(iDeCo)に資産を移換する手続きを行います。
企業型DCの移換手続きを忘れたら?
企業型DCの資産の移換手続きを忘れてしまい、退職してから6ヶ月という移換期限を越えてしまうと、企業DCで積み立てた資産は国民年金基金連合会に自動移換されてしまいます。自動移換されてしまうと、その後は資金の運用の指図ができなくなり、管理手数料が徴収されてしまいます。
移換手続きを忘れていることに気づいたときには早急な手続きが望ましいですが、転職先に企業型DC制度があるかないかにより手続き先も異なります。
転職先に企業型DC制度がある場合は、転職先の企業型DCに国民年金基金連合会から移換できるかまずは転職先の担当者に確認、転職先に企業型DCがない場合や退職後に自営業や専業主婦(夫)となる場合は、iDeCoの口座を開設し移換手続きを行いましょう。
なお、自分の企業型DCの状況が不明な場合は自動移換者専用コールセンターにお問い合わせください。
出典
iDeCo公式サイト
執筆者:杉浦詔子
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント