更新日: 2023.03.21 厚生年金
最大で年間77万円!? 厚生年金が増額される「長期加入者の44年特例」とは?
そこで本記事では、そもそもどのような制度なのか、どのような人が対象者なのか、受け取れる金額などについて詳しく解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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そもそも「長期加入者の44年特例」とは?
老齢厚生年金における「長期加入者の44年特例」制度とは、厚生年金に44年以上加入した人は、老齢厚生年金の特別支給期間に報酬比例部分だけでなく定額部分も受け取れる、という制度です。
この制度が定められた理由として、報酬比例部分の支給開始年齢の引き上げが挙げられます。というのは、報酬比例部分の支給開始年齢が段階的に引き上げとなったため、一部の人は一定期間、特別支給の老齢厚生年金の定額部分が受給できない状態になっているのです。
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44年特例の適用を受けるための条件は?
44年特例の適用を受けるためには、3つの条件を満たしていなければなりません。まずは、厚生年金の被保険者であった期間が44年以上あることです。
大学を卒業してすぐに職に就いた、という人の場合は44年の期間を満たす前に65歳になってしまいますが、高校を卒業してすぐに働き始めた、という人や、中学を卒業してすぐに働き始めた、という人はこの制度の対象者になる可能性があります。
ただし、日本年金機構が管理する厚生年金、公務員共済組合・私学共済の厚生年金のどれかひとつに44年以上加入していなければなりません。例えば、日本年金機構の厚生年金保険に20年加入し、その後公務員共済組合の厚生年金保険に25年加入した、というような場合は対象外となるため注意が必要です。
次に、支給される時点で厚生年金の被保険者ではないことです。厚生年金の被保険者として働き続けている間は特別支給の定額部分が支払われません。この特例の対象者となるのは、退職して保険を外れた後になります。
最後に、報酬比例部分の支給開始年齢に達していることです。この特例制度は、一部の世代が特別支給の老齢厚生年金の内で報酬比例部分しかもらえない期間があることに対する増額措置だからです。
具体的には、男性であれば1949年4月2日~1961年4月1日までに生まれた人、女性の場合は1954年4月2日~1966年4月2日までに生まれた人が対象者となります。
具体的にいくら受け取れるの?
44年特例によって実際に受け取れる金額は、年齢や厚生年金、国民年金の加入期間によって異なります。60歳で特例の対象になる場合は、60歳から老齢厚生年金の定額部分である老齢基礎年金額が受け取れます。
61~64歳の間に対象になる場合は、それぞれの段階で老齢厚生年金の定額部分である老齢基礎年金額が受け取れます。2023年度の老齢基礎年金の満額は79万5000円(月額6万6250 円)なので、老齢基礎年金を満額受け取れる人であれば、それぞれの年齢の段階で最大79万5000円を受け取れる 、というわけです。
対象の年齢に当てはまる人は、特例制度を考慮してライフプランを立てよう!
60~65歳までの間に特例制度の対象者になる人は、厚生年金の保険を外れることで最大約78万円を受給できます。しかし、仮に60歳以降も働いて収入が78万円以上になる、という場合には、特例を活用せずに働き続けた方が総収入は多くなるでしょう。
もちろん、保険を外れて働き続ける、という選択肢もあります。特例の支給を受け取るのか、現状のままで働き続けるのか、それとも、保険を外れて働きながら特例も受給するのか、自分に合ったライフプランを立てることが大切です。
出典
日本年金機構 特別支給の老齢厚生年金
厚生労働省 令和5年度の年金額改定についてお知らせします
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部