更新日: 2023.03.22 その他年金

60歳で退職しても貯金は「100万円」。生活が厳しいから国民年金の「繰上げ受給」を検討中。デメリットはある?

60歳で退職しても貯金は「100万円」。生活が厳しいから国民年金の「繰上げ受給」を検討中。デメリットはある?
「現在60歳で貯金は100万円あるけれど、定年退職すると収入がなくなって生活が厳しくなる。国民年金を繰り上げ受給しても大丈夫だろうか」このような疑問が出てくるケースもあります。
 
本記事では年金を早めに受け取るとどのようなデメリットがあるのか、解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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貯金100万円で生活するのは厳しい

人生100年時代とも呼ばれますが、仮に100歳まで生きるとすると60歳で定年退職後も40年間生活する必要があります。その間も当然ながら生活費は発生します。
 
総務省統計局の家計調査年報(家計収支編)によると、2021年の65歳以上の夫婦のみの無職世帯の消費支出は月額22万4436円、65歳以上の単身無職世帯は月額13万2476円でした。単身生活をする場合でも、生活費だけで毎月約13万円の支出が発生する可能性があります。実際は、自宅の一部修理(リフォーム等)や冠婚葬祭、家具家電の買い替えなどの出費が発生するケースもあります。
 
これらも総合的に考えると、どれだけ生活を切り詰めても毎月20万円近くの支出が発生する可能性が高いです。もし、貯金100万円で収入がない場合、わずか5ヶ月ほどで生活が困窮するおそれがあります。
 

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年金の繰り上げ受給をする方法

貯金だけで生活するのは難しいとなると年金が頼りですが、原則65歳になるまで受け取ることができません。ただし、本人が希望すれば60歳から65歳の間でも繰り上げて年金を受け取ることができます。
 
繰り上げ受給を希望する場合は、60歳から65歳までの間で希望するタイミングで手続きを行う必要があります。繰り上げ請求書を最寄りの年金事務所または年金相談センターへ提出しましょう。繰り上げ受給の手続きを行って問題なく受理されると、請求した日の翌月分から年金が支給されます。
 
ただし、手続きを行ったタイミングで繰り上げ減額率が決まります。繰り上げ請求をすると、あとで取消すことはできないので注意しましょう。
 

年金の繰り上げ受給のデメリットや注意点

年金の繰り上げ受給をすることで収入が完全にゼロになる心配がないのは大きなメリットですが、繰り上げ受給にはデメリットや注意点も存在します。
 
繰り上げ受給をすると単に「年金が早くもらえる」わけではありません。65歳から受け取る場合に比べると受給額は減ってしまいます。しかも減額率は一生変わりません。生涯にわたって減額された年金を受給し続けることになるので、繰り上げをするかどうかは慎重に検討することをおすすめします。
 
どのくらい減額されるのかというと、1962年4月2日以降生まれの場合は、1ヶ月あたり0.4%、1962年4月1日以前生まれの場合は、1ヶ月あたり0.5%ずつ減額されます。
 
前者の場合は、60歳0ヶ月で繰り上げ受給すると24%減額されます。2割近く本来の金額から減るのは影響が大きいですね。
 
減額されること以外にも、次のような注意点も存在します。

●国民年金の任意加入や保険料の追納ができない
●厚生年金から支給される分も減る場合がある
●65歳になるまでに雇用保険の基本手当等が支給される場合は、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止されることがある
●国民年金の寡婦年金が支給されない

本当は受け取りたいと思っていたにもかかわらず、繰り上げたことで受け取れなくなるリスクを減らすためにも、事前に詳しく検討したほうがいいかもしれません。
 

まとめ

今回は、定年退職すると生活が厳しくなるので年金を繰り上げ受給してもいいか、デメリットはあるのか、解説しました。
受給額を減らされること以外にも注意点があるので、「こんなはずじゃなかった」という事態を防止するためにも、必要に応じて役所や年金事務所でも相談してみましょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)家計の概要(総世帯及び単身世帯の家計収支)
日本年金機構 65歳前に老齢年金の受給を繰上げたいとき
日本年金機構 年金の繰上げ受給
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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