更新日: 2023.03.25 厚生年金
2023年度は働いても年金がカットされにくくなる?
この47万円という部分が2023年度に変わります。
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。
日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。
在職老齢年金制度の仕組み
老齢厚生年金を受けられる人が厚生年金被保険者となると、在職老齢年金制度の仕組みにより年金が支給停止となることがあります。
(1)報酬比例部分の年金の月額(基本月額)と(2)標準報酬月額、(3)直近1年の標準賞与額の12分の1((2)(3)と合わせて総報酬月額相当額)を合計して「支給停止調整額」を超えると、その超えた分の2分の1ずつを支給停止することになっています(図表1)。
【図表1】
報酬比例部分が支給停止の対象となり、老齢基礎年金や経過的加算額は(1)の年金額にも含まれず、また、支給停止されません。
【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資
【PR】J.P.Returns
おすすめポイント
・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる
47万円基準が48万円基準へ
この図表1の支給停止調整額、これが在職老齢年金制度の基準額ですが、2022年度は47万円でした。つまり、年金の月額と月給と賞与の12分の1を合計して47万円を超えた場合に、超えた分の2分の1の年金がカットされます。これにより「47万円基準」という言葉が知られるようになりました。
しかし、この支給停止調整額については毎年度見直しがされることになっています。2023年度は支給停止調整額が48万円に変わります。支給停止調整額は2005年度を基準として、法定額(48万円)から名目賃金変動率を用いて毎年度見直しがされますが、その名目賃金変動率の累積率によって2023年度は48万円になりました(図表2)。
【図表2】
過去に支給停止調整額が47万円だった年度や46万円だった年度もありましたが、これらも法定額(48万円)を基準にして名目賃金変動率を掛けた結果となっています。2023年度については、名目賃金変動率が+2.8%と大幅に上がったため、支給停止調整額も47万円から48万円へと上がります。
支給額や支給停止額の確認を
在職老齢年金制度の基準額である支給停止調整額が48万円に上がり、それだけを見れば年金はカットされにくくなったといえます。一方で、2023年度は2022年度と比べ受給する年金額、言い換えますと図表1の(1)の基本月額も上がります。それらを含めて計算され、支給停止額、支給額が決まります。
60歳台前半はもちろんのこと、65歳以降も働く人も多いことでしょう。年金を受給しながら引き続き働く人はいくら支給停止され、いくら支給されるか、送られる通知で確認してみましょう。
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー