更新日: 2023.03.31 その他年金
生活苦で年金を「70歳」から受け取ろうと思います。金額はどのくらい増えますか?
本記事では、70歳から繰下げ受給を始めた場合での受給額について、その計算方法とともに分かりやすく解説していきます。
執筆者:古田靖昭(ふるた やすあき)
二級ファイナンシャルプランニング技能士
現在は70歳まで働ける環境になりつつある
高年齢者雇用安定法改正によって、今まで一般的な企業で60歳の定年制でしたが、65歳までの雇用確保が義務化され、さらに70歳までの就業確保が努力義務となりました。高年齢者が活躍できる環境整備を目的として改正され、2021年4月1日からすでに施行されています。
法改正によって、65歳定年制にして70歳まで働けるように整備している企業もあれば、65歳までの雇用確保にとどまっている企業もあります。対応方針は事業者ごとに分かれますが、いずれにせよ「60歳で定年を迎えて年金を受給する」というライフスタイルは、変化しつつあるといえるでしょう。
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公的年金の繰下げ受給とは
公的年金は、受給資格期間を満たしていれば、原則として65歳から受け取ることができます。受給資格期間は20歳から60歳になるまでの40年間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間などをあわせて10年以上必要です。
繰下げ受給は、年金を65歳から受給せず、66歳から75歳までの間に受給開始を遅らせて年金を受け取ることです。遅らせることで1ヶ月あたり0.7%増額した分を受給できます。繰下げ受給を希望する場合、66歳から75歳までの間に手続きすることで、増額した受給額が決定します。
例えば、70歳まで長年勤めていた会社で働いて70歳から受給する場合、増額率は42%です。また、70歳から75歳までパートやアルバイトで働いて75歳から受給するとなれば、増額率が84%となります(※実際の増額率は状況により異なる場合があります)。
65歳以降に繰下げ受給することを考えている場合、自分の働き方にあわせて時期を判断するのがよいでしょう。
繰下げ受給すると、どのくらい受給できるのか
繰下げ受給した場合に年金額がどのように変化するか、算出してみましょう。ここでは、国民年金部分にあたる老齢基礎年金が6万円、厚生年金部分にあたる老齢厚生年金が20万円、合計26万円をベースに計算します。
65歳から公的年金を受給せず繰下げ受給した場合の66歳から75歳までの受給金額は、図表1の通りです。
図表1
年齢 | 繰下げ受給額 | 増額率 |
---|---|---|
66歳 | 28万1840円 | 8.4% |
67歳 | 30万3680円 | 16.8% |
68歳 | 32万5520円 | 25.2% |
69歳 | 34万7360円 | 33.6% |
70歳 | 36万9200円 | 42.0% |
71歳 | 39万1040円 | 50.4% |
72歳 | 41万2880円 | 58.8% |
73歳 | 43万4720円 | 67.2% |
74歳 | 45万6560円 | 75.6% |
75歳 | 47万8400円 | 84.0% |
日本年金機構 年金の繰下げ受給を基に筆者作成
年金を繰り下げて70歳から受け取る場合
このように、65歳から年金を受給しないで70歳から受け取る場合、受給できる年金額が26万円であれば、70歳から繰下げ受給して受け取ることができる金額は約37万円となります(実際の受給額は状況によって異なります)。
もちろん、企業によっては70歳まで就業機会を確保しているところもあるため、70歳まで働き続けることも選択の1つです。勤め先の方針や自分自身のライフプランに応じて、本記事で紹介したポイントをふまえ、老後生活をより豊かにすごせる受給開始時期をかしこく見定めるようにしましょう。
出典
厚生労働省 高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~
日本年金機構 老齢年金
日本年金機構 年金の繰下げ受給
執筆者:古田靖昭
二級ファイナンシャルプランニング技能士