更新日: 2023.04.07 その他年金

年金を70歳から受け取ると「77歳」まで生きないと「損」!? 年金の「繰下げ受給」について解説

年金を70歳から受け取ると「77歳」まで生きないと「損」!? 年金の「繰下げ受給」について解説
公的年金は通常65歳から受け取れることになっていますが、繰下げ受給の制度を使って受け取り時期を遅らせると、年金額を増やすことができます。1ヶ月繰り下げるごとに0.7%が年金額に加算され、その金額は生涯続きます。そのため、元気に働けるうちは年金を受給しないで増やそうと考えている方もいるのではないでしょうか。
 
一方、繰り下げをすると受け取り始めてから寿命を迎えるまでの時間が短くなるため、結局生涯でもらえる額が減り、払った保険料分をペイできなくなってしまうのではないか、と考えている方もいるかもしれません。
 
そこで本記事では、年金受給を5年繰り下げて70歳から受け取る場合、何歳まで生きれば支払った保険料を上回って“お得”になるのか試算してみます。年金を受け取る時期を決める参考にしてみてください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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国民年金加入者の場合

厚生労働省が発表した令和5年度の情報を基に、自営業で国民年金に20歳から60歳まで加入する場合を考えてみましょう。国民年金保険料は月額1万6520円(令和5年度)のため、40年間で支払う保険料の合計は以下のとおりです。
 
1万6520円×12ヶ月×40年=792万9600円
 
また、老齢基礎年金の満額は月額6万6250円のため、1年に受け取れる年金額は以下のとおりです。
 
6万6250円×12ヶ月=79万5000円
 
5年繰り下げて70歳から受け取る場合、以下のとおり年金額は42%加算されます。
 
0.7×12ヶ月×5年=42
 
70歳から受け取れる年金額(年額)は、以下のように計算します。
 
79万5000円×142%=112万8900円
 
792万円9600円÷112万8900円=7.024…
 
そのため、7年ほど受け取れば支払った保険料の元が取れることが分かります。70歳から受け取る場合、「77歳まで生きればお得になる」ということですね。
 

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厚生年金加入者の場合

続いて、会社員が厚生年金に加入している場合を考えてみましょう。令和4年度の厚生労働省の情報を基に、厚生年金に20歳から60歳まで加入、平均標準報酬月額を30万円として考えます。
 
令和4年度の保険料率(自己負担分)9.15%を使って、40年間で支払うトータルの厚生年金保険料額を求めると、以下のとおりとなります。
 
30万円×9.15%×12ヶ月×40年=1317万6000円
 
年金受給額については、2003年以降に働き始め、賞与がないものとして簡易的に計算します。平均標準報酬月額に0.005481と厚生年金加入月数をかけて、受給額は78万9264円になります。
 
30万円×0.005481×12ヶ月×40年=78万9264円
 
さらに、厚生年金保険料には国民年金保険料も含まれていることから、国民年金受給額の79万5000円も受け取れることになります。
 
78万9264円+79万5000円=158万4264円
 
よって、65歳から受け取る場合、厚生年金額の年額は158万4264円。70歳から受け取る場合は42%加算されるため、以下のようになります。
 
158万4264円×142%=約224万9655円
 
40年間で支払う厚生年金保険料額を1年に受け取れる厚生年金額で割ると、以下のようになります。
 
1317万6000円÷224万9655円=5.856…
 
よって、6年弱で支払った保険料分の年金を受け取れることが分かりました。70歳から受け取ると、76歳でペイできることになりますね。
 

まとめ

年金を繰り下げて70歳から受け取る場合、国民年金加入者は77歳、厚生年金加入者は76歳頃で、支払った金額以上の年金を受け取れることが分かりました。
 
現時点での情報を基に計算しているため、将来、年金額は変動すると考えられます。あくまで参考としつつ、自身がいつから年金を受け取るべきなのか考えてみてはいかがでしょうか。
 

出典

日本年金機構 年金の繰下げ受給
厚生労働省 令和5年度の年金額改定についてお知らせします
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和4年度版)
日本年金機構 は行  報酬比例部分
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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