更新日: 2023.04.06 国民年金

厚生年金に加入すれば国民年金も増えるって本当?

執筆者 : 柘植輝

厚生年金に加入すれば国民年金も増えるって本当?
厚生年金に加入することで国民年金の受給額も増える。この事実をご存じでしょうか。厚生年金に加入しているのになぜ国民年金も? と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。そこで、なぜ厚生年金に加入すれば国民年金の受給額も増えるのか解説していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

国民年金と厚生年金の関係性

日本の年金制度は3階建てといわれることがあります。1階部分に国民年金、2階部分に厚生年金、3階部分が企業年金などです。
1階部分にある国民年金は原則20歳から60歳までの日本に居住する全ての方が加入します。2階部分にある厚生年金は主に会社員や要件を満たしたパート・アルバイトの方などが加入します。この1階部分と2階部分は要件を満たす場合強制的に加入することになります。それに対して3階部分については一定の要件を満たす方が任意で加入できるものになります。
 
そのほかにも、自営業者にとっては2階部分および3階部分に相当する国民年金基金もあります。
基本的に上の階層の年金に加入するには下の階層の年金にも加入しなければなりません。
つまり、厚生年金に加入する場合は同時に国民年金にも加入することになるわけです。
実際、厚生年金の加入者は国民年金の第2号被保険者とされ、毎月支払う厚生年金の保険料には国民年金の保険料も含まれています。
 

厚生年金に加入すると国民年金も増えるのは本当?

国民年金の受給額は480月を上限に保険料を納めた月数に比例します。そして、先述したように、厚生年金の保険料には国民年金の保険料も含まれています。つまり、厚生年金の受給額が増えるとき、同時に国民年金の受給額も増えていくことになります。
そのため、厚生年金に加入すると国民年金の受給額も増えていくというのは本当だということになります。
 

60歳以降も厚生年金に加入すると国民年金の受給額を増やせる?

ここで疑問に上がるのが、国民年金は60歳までしか加入できないが、それ以降も厚生年金に加入することで国民年金の受給額を増やせるのではないかという点です。
残念ながらそれはできないことになっています。厚生年金に加入することで国民年金の受給額が増えるのはあくまでも20歳から60歳までの間とされており、それ以降は厚生年金に加入しても国民年金の受給額は増えません。
 
しかし、厚生年金には経過的加算があります。経過的加算について簡単に説明すると、国民年金が満額支給されない場合にその差額を支給するというものになります。この経過的加算は60歳以降も増え続けます。
そのため、国民年金自体は増えませんが、実質的に国民年金が増えるのとほぼ変わらないことになります。もちろん、経過的加算以外の部分の厚生年金も通常どおり加入期間に応じて増えるので、60歳以降厚生年金に加入することが無駄になるわけではありません。
 

厚生年金加入中は国民年金の任意加入はできない

国民年金には任意加入という制度があります。国民年金を満額受給できない場合60歳以降も65歳になるまで国民年金に任意で加入できるというものです。
ここで「厚生年金に加入して経過的加算を増やしながら任意加入をすれば年金がより多くもらえるのでは?」と疑問に思うかもしれません。
 
しかし、それはできません。厚生年金に加入中は国民年金の任意加入ができなくなっているからです。そもそも、国民年金を満額受給できない場合の補填的な役割を経過的加算が担っています。そのため、任意加入しながら厚生年金に加入して経過的加算を増やしつつ国民年金の受給額を増やすことはできないのです。
 

厚生年金に加入すれば原則国民年金の受給額も増える!

20歳から60歳までの間であれば、厚生年金に加入すればその間国民年金にも加入したことになり、国民年金の受給額が増加します。
自分は厚生年金に加入しているから将来受け取れるのは厚生年金のみで国民年金は受け取れないと心配する必要はありません。
厚生年金に加入中は国民年金の受給額が増えることも知っておくと将来のライフプランをより現実的に設計していくことができるでしょう。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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