60歳女性で厚生年金加入は9ヶ月。厚生年金は加入したほうがいい?
配信日: 2023.04.09
厚生年金についてはこれから加入しておいたほうが良いのでしょうか。
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。
日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。
現状の年金加入記録では年金は65歳支給開始
10年以上の受給資格期間を満たせば、年金自体は受給できます。そして、1963年生まれの女性の場合、厚生年金としての加入期間(会社員などの第1号厚生年金被保険者期間)が1年あれば63歳が年金の支給開始年齢です(【図表1】左)。
しかし、今回の事例の女性は当該厚生年金加入期間が9ヶ月のみ。厚生年金の加入期間は1年以上あることが特別支給の老齢厚生年金(特老厚)の受給条件のため、当該期間が1年未満のままでは63歳から65歳まで特老厚は受給できません。
そのため、そのまま【図表1】の右のとおり、年金は65歳の開始となり、65歳から老齢基礎年金と9ヶ月の厚生年金加入期間で計算された老齢厚生年金を受給することになります。
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厚生年金に加入すると年金が増える
言い換えると、63歳までにあと3ヶ月厚生年金に加入し、加入期間が合計1年(12ヶ月)になれば、63歳から65歳まで特老厚を受けることができます。また、3ヶ月加入した分、65歳からの老齢厚生年金の額も増えることになります。
60歳以降に厚生年金に加入すると、65歳以降の老齢厚生年金については、報酬比例部分と、老齢基礎年金相当の経過的加算額も増えることになり、つまり、実質的に2階建てで年金が増えます。
特老厚が2年間(63歳から65歳まで)受けられるようになるだけでなく、増えた65歳以降の老齢厚生年金が一生涯受けられることにもなります。もちろん、加入する期間が3ヶ月より長くなればなるほど、その額も増えます。
従業員数101人以上の企業等(2022年10月以降)の場合、週20時間のパート勤務でも厚生年金へ加入できます(【図表2】のB)。
厚生年金保険料(他に健康保険料・介護保険料)の負担は発生しますが、将来の年金の受給額に差が出ますので、これから厚生年金に加入してみるのも良いのではないでしょうか。同時に加入する健康保険の保障(病気等で休んだ場合の傷病手当金)もあります。
なお、今回の事例の女性の場合、65歳時点で配偶者によって生計を維持されていれば、老齢基礎年金に振替加算(年額1万5000円程度)も加算されますので、こちらも確認しておきたいところでしょう。
出典
日本年金機構 特別支給の老齢厚生年金
厚生労働省 国民年金法
厚生労働省 厚生年金保険法
政府広報オンライン パート・アルバイトの皆さんへ 社会保険の加入により手厚い保障が受けられます。
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー