更新日: 2023.04.12 その他年金

【10年は必要?】年金受給時期をずらした場合に、元を取るまでに必要な年数はどのくらい?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

【10年は必要?】年金受給時期をずらした場合に、元を取るまでに必要な年数はどのくらい?
年金は原則として、65歳になったら受け取ることができますが、本人が希望すれば65歳より早く受け取ることも、遅く受け取ることもできます。
 
65歳よりも早く受け取る場合は、早めた期間に応じて減額され、65歳よりも遅くに受け取る場合は、遅くした期間に応じて増額されます。
 
ここで疑問なのが、受給時期をずらした場合とずらさなかった場合とを比べて、元を取るためにはどれくらいの年数が必要なのでしょうか?
 
本記事では、年金受給時期をずらした場合に、支払った保険料分の元を取るためにどれくらいの年数がかかるかを説明します。
FINANCIAL FIELD編集部

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受給時期を早めた場合

本記事内では、国民年金は令和5年度の満額である、79万5000円を受け取れるものとします。
 
受給時期を早めた場合の減額率は、1ヶ月早めるごとに0.4%減額されます。5年まで早めることができるため、最大で減額率は24%になります(昭和37年4月1日以前生まれの人は、1ヶ月早めるごとに0.5%減額されます)。
 
5年早く受け取ろうとした場合を考えてみましょう。5年早めると減額率は24%になるため、減額後の国民年金は、79万5000円×(1-0.24)=60万4200円となります。
 
国民年金を満額受け取るために払う保険料は、令和5年度で1万6520円のため、1万6520円×480月(40年)=792万9600円となります。したがって、792万9600円÷60万4200円=約13.12……となります。つまり、60歳から国民年金を受給する場合は、73歳で元を取ることができます。
 

受給時期を遅くした場合

次に受給時期を遅くした場合を考えます。受給時期を遅くした場合の減額率は、1ヶ月遅くするごとに0.7%増額されます。10年まで遅くすることができるため、最大で増額率は84%になります。
 
注意点として、昭和27年4月1日以前生まれの方[もしくは平成29年3月31日以前に老齢基礎(厚生)年金を受け取る権利が発生している方]は、繰り下げの上限は70歳までのため、増額率は最大で42%になります。
 
受け取る時期を5年遅らせた場合と10年遅らせた場合を考えてみましょう。
 
まず5年遅くした場合、増額率は0.7%×60月=42%のため、増額後の国民年金は、79万5000円×(1+0.42)=112万8900円となります。したがって元を取るための年数は、792万9600円÷112万8900円=7.02///…となります。つまり、70歳から国民年金を受給する場合は、77歳で元を取ることができます。
 
次に10年遅らせた場合です。増額率は0.7%×120月=84%のため、増額後の国民年金は、79万5000円×(1+0.84)=146万2800円となります。したがって元を取るための年数は、792万9600円÷146万2800円=5.42……となります。つまり、75歳から国民年金を受給する場合は、80歳で元を取ることができます。
 

受給時期をずらさなかった場合

参考として、受給時期をずらさなかった場合も考えます。792万9600円÷79万5000円=9.97……となります。つまり、65歳から国民年金を受給する場合は75歳で元を取ることができます。
 

まとめ

本記事では、国民年金の受給時期をずらした場合に、元を取るまでどれくらいの年数がかかるかを説明しました。
 
受給時期を早めた方が、若い段階で元を取ることができます。受給時期を遅くしたら元を取る年齢が遅くはなりますが、長生きすればするほどもらえる金額は多くなります。
 
一概に、早めるべきか遅くするべきかを決めることはできないですが、自分の今後の人生を想像して、どれくらい受給時期をずらすのが最適かを考えてみてください。
 

出典

日本年金機構 年金の繰上げ受給
日本年金機構 年金の繰下げ受給
厚生労働省 令和5年度の年金額改定について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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