更新日: 2023.04.19 その他年金
年金の「元が取れる」のは何歳? 月収「30万円」の人のケースで検証!
繰下げ受給をすると毎月受け取る年金額は増えますが、受給開始年齢が遅くなるため、年金を受け取れる期間が短くなります。何歳まで生きられるか分かりませんが、受給期間の長さによっては支払った保険料よりも受け取った金額が少なくなる可能性もあります。
少なくとも過去に支払った保険料分は年金として受け取りたいと考える人も多いのではないでしょうか。
本記事では、平均月収30万円の人を例として、繰り下げた場合に支払った保険料分の年金を受給できるのは何歳なのかについて解説しています。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
繰り下げると毎月0.7%の年金額が増える
年金は65歳で受け取らずに66歳以後75歳までの間で繰り下げが可能で、繰り下げた分だけ増額した年金が受給できます。具体的には1ヶ月繰り下げる度に0.7%が増額率として加算され、繰り下げた期間が長いほど年金は増額されるという仕組みです。
そのため、66歳では8.4%、70歳では42.0%、75歳では84.0%の増額率が、65歳から受け取るはずだった年金額に加算され、加算された金額を生涯受け取れます。ちなみに、65歳より前に受け取る繰上げ受給も選択できますが、その場合は毎月受け取る年金額が65歳よりも減少します。
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平均月収30万円の場合、保険料支払総額はいくら?
それでは、平均月収30万円の人が支払う保険料の総額を見ていきましょう。ここでは20歳から60歳まで会社員として働き、その期間の平均月収が30万円だったとします。
平均月収が30万円の場合、毎月支払う厚生年金保険料の平均は2万7450円です。そのため、40年間で支払う保険料の総額は下記のとおりです。
2万7450円×12ヶ月×40年間=1317万6000円
繰り下げたら、何歳で支払った分の元が取れるのか
続いて、何歳まで年金を受給すれば、支払った保険料の1317万6000円に達するのかを見ていきます。まずは65歳で受け取った場合の年金受給額についてです。厚生年金に加入している人は、国民年金と厚生年金を受給できます。
今回のケースでは、国民年金は年間で満額の79万5000円受け取れます。厚生年金は一般的な報酬比例部分の他、条件を満たせば経過的加算や加給年金といったプラスアルファ分もありますが、今回は報酬比例部分のみで計算します。
40年間平均月収30万円で働いた場合、報酬比例部分年金額は年間で次のとおりです(加入期間は全て平成15年4月以降とする)。
30万円×5.481÷1000×12ヶ月×40年間=78万9264円
国民年金と合わせると158万4264円となります。支払った保険料が1317万6000円ですので、毎年158万4264円受け取ると、約8.3年で支払った保険料分を受け取れます。年齢にすると65歳+8.3年で73.3歳です。
同じように、66~75歳の間で繰下げ受給をした場合の年間で受け取る年金額と、その総額が1317万6000円に達する年齢を一覧にすると図表1のとおりです。
図表1
受給開始年齢 | 年間年金受給額 | 1317万6000円に達する年齢 |
---|---|---|
65歳 | 158万4264円 | 73.3歳 |
66歳 | 171万7342円 | 73.7歳 |
67歳 | 185万420円 | 74.1歳 |
68歳 | 198万3499円 | 74.6歳 |
69歳 | 211万6577円 | 75.2歳 |
70歳 | 224万9655円 | 75.9歳 |
71歳 | 238万2733円 | 76.5歳 |
72歳 | 251万5811円 | 77.2歳 |
73歳 | 264万8889円 | 78.0歳 |
74歳 | 278万1968円 | 78.7歳 |
75歳 | 291万5046円 | 79.5歳 |
日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 は行 報酬比例部分を基に作成
年金を65歳でもらい始めると、元が取れるまで8年以上かかりますが、70歳であれば6年、75歳であれば5年となります。とはいえ、人は何歳まで生きられるか分かりませんので、やみくもに受給年齢を遅らせればよいというわけでもありません。
年金を繰り下げる場合は、貯蓄や生活スタイルなどを総合的に考えよう
年金は繰り下げた方が毎月受け取る年金額が増え、しかも生涯受け取れます。しかし、受け取るまでの期間は働いたり貯蓄を切り崩したりしながら生活費を捻出しなければなりません。
また、何歳まで生きるかは誰にも分かりません。繰り下げについては今回見てきた「元が取れる」年齢を参考にしつつ、自身の貯蓄や生活スタイルなどを総合的に考えましょう。
出典
日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和5年度版)
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 は行 報酬比例部分
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部